遊べる・学べる淡海子ども食堂 新型コロナウィルス対策ハンドブック★これ、だいじ★
滋賀の縁創造実践センター 滋賀県社会福祉協議会 子ども食堂つながりネットワークSHIGA事務局
滋賀の縁創造実践センター 滋賀県社会福祉協議会 子ども食堂つながりネットワークSHIGA事務局
滋賀県社会福祉協議会(以下:社協)が作成作業にあたった「遊べる・学べる淡海子ども食堂 新型コロナウイルス対策ハンドブック★これ、だいじ★」が6月23日に発行されました。( https://shiga-hug.jp/1689.html )このハンドブックは、子ども食堂の運営者視点で作られていることはもちろん、参加する子どもや大人、高齢者の視点も取り入れられていることが見てとれます。
作成に携わった、滋賀県社会福祉協議会 地域福祉部門 はぐくみグループ 山本亜紀さんに作成に至ったプロセスをお伺いしました。
まず全国に休校要請が出た際、子ども食堂に対して2月28日に「開催中止のお願い( http://www.shigashakyo.jp/general/20200228-1067/ )を発信したと同時に、運営者や市町社協に今後の活動について聞き取りを行いました。また、4月に入り、休校が続く中で「今できることを」と動いておられたり、「再開したいがどのようにしたらよいかわからない」と悩まれていたりする声を聞くようになったため、4月1日~27日の間に職員4人で改めて運営者と市町社協に電話にて活動状況や困りごと等について聞き取りを行いました。1本1本の電話ヒアリングでは、子ども食堂実践者の不安や焦り、ストレス等もあり、時間をかけて話を聞きました。そこで、活動を中止せざるを得ない声や思い、形を変えての活動状況、そしてさまざまな葛藤が明らかになり、それらをまとめて「はぐプロ通信 特別号」( https://shiga-hug.jp/1599.html )として、運営者や市町社協へ送付しました。
その聞き取りの中で、子ども食堂運営者のみなさんが活動再開に向けて、「どこまで感染対策をすればよいのか」「再開しても子どもたちは来てくれるのだろうか」等、さまざまな不安を抱えておられることがわかりました。そして学校再開に合わせて、子ども食堂の活動も再開を検討されるところが増えてきたため、少しでもその後押しとなるように「ハンドブック」を作成することとなったそうです。
作成の際は、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが発行した「こども食堂・フードパントリー開設簡易ハンドブック」や他の団体が出している居場所作りのガイドライン等を参考に、滋賀の子ども食堂の実態に合うものになるよう、掲載する内容を検討し、運営者や市町社協、滋賀県にも確認してもらいました。
完成したハンドブックは、子ども食堂関係者をはじめ、市町社協や関係者にも配付され、「再開に向けて参考にしているよ(子ども食堂)」、「高齢者サロンの再開のガイドラインにも使いたい(市町社協)」等の声が届いているということです。
また、ハンドブックを作成していた一方で、「子どもの笑顔はぐくみプロジェクト(子どもを真ん中においた地域づくりの応援団を募集しているプロジェクト)」のスポンサー(令和2年7月1日現在:団体404名、個人61人)や滋賀県を通じて、子ども食堂に食材や衛生用品等、多くのご寄付をいただき、活動されている子ども食堂へ個別にお渡ししたり、民間の助成金情報を案内したり、さまざまなサポートも行っていました。地域の飲食店やホテルが子ども食堂で配るものを提供してくれたと言う事例もありました。
ハンドブックの「はじめに」や、はぐプロ通信特別号の裏面を読んでいただくとわかると思いますが、滋賀県社協が中間支援組織として「当事者主体」・「地元中心」の原則のもと、協働視点をしっかり持った姿勢が感じ取れます。
インタビューの中で「滋賀県の子ども食堂にはオール滋賀で子どもたちを大事に育てて行こうという雰囲気がある」「滋賀の子ども食堂は、子どもに限った事業ではなく誰も排除せず、地域の高齢者をはじめ多世代参画を進めてきました」と言った言葉がとても印象的でした。子ども食堂<地域食堂の機能があるわけです。
コロナによる休校期間中も活動を続けておられた子ども食堂もありましたが、現在は60ヶ所ほどが活動再開もしくは再開を検討しているとのことです。その一方で、まだ中止せざるを得ない子ども食堂もあり、「せっかくこれまでにできたつながりが途切れてしまうのではないか」、「再開しても子どもたちに来てもらえないんじゃないだろうか」、「スタッフの気持ちが切れてしまわないか」等の不安を抱えておられるそうです。
滋賀県社協としては、ここからが大事と考えています。しかし、コロナ禍が収まらない中で、どうすれば子ども食堂同士の学びや交流の場を作れるか、新しい子ども食堂の立ち上げ支援等を実施できるのか、もどかしい思いでおられるとのことでした。しかし、「滋賀県は子どもをみんなで見守ることのできる地域性があるので、これまでの子ども食堂の形に限らず、何らかの形で見守りやつながりを途切れさせないようにできるのではないか」と、引き続き、運営者の方々の声を聞きながら、これからの子ども食堂のあり方を考えていきたいとのことでした。
〈文:2020.07.31 コミュニティ・エンパワメント・オフィスFEEL Do 代表 桒原英文〉