舟形ライフル射場や大会に関する話題を気の向いたときに書き込みしたもの。
不発3発(2017/6/19)
春季大会で起こった珍事の一つです。リローディングした実包で不発3発は非常に珍しいです。筆者も大口径射撃は長いですが、不発は記憶にないぐらい、めったにありません。雷管はCCIだそうですが、そのロットに不良品があったとしても1パック(100個)に1個ぐらいでしょう。
写真を見てください。口径は308,3個とも撃針の打痕がちょっと浅い感じがします。
撃針先端のボルトフェースからの突き出し長さは1.6mmなので雷管が撃発しない状態であれば打痕はもっと深くなるはず。
元々撃針先端が短めなのか、ボルトスプリングが弱いのか、新品薬莢のようなのであり得ないですがヘッドスペースが合ってないのか?よくわかりません。射手に聞いたら2回撃っても撃発しなかったそうです。
要因が雷管かアクションか判別するには、同じ口径の銃をもう1丁所持してれば、不発の実包をそれで撃ってみる方法はありますが・・・結局、持ってきた弾が足りなくなり40発競技で38発の点数になってしまいました。
アクションネジの折損(2016/11/13)
長いことやっているといろいろな事に遭遇するもんですね。秋季大会であったアクションネジの折損です。前後2本ともキレイに破断しています。
左の写真、アクション底部前後の丸穴状の部分が折損したネジ、右端に縦状に見えるのがラグ
銃はSAKO・308、ストックはオリジナルではなくアンシュッツのプローン用ストックに乗せたものです。原因はすぐ分かりました。
アクション下部にあるラグがストックに反動を伝えますが、べディング処理の不良でラグ溝の反動を受ける当たり面がきちんと平面が取れてない状態でした。
撃発の反動は、ボルトのラグで受けてアクションボディーにかかり、アクション下部にあるラグでストックに伝わって最後に射手の肩で受けることになりますが、恐らく、ラグ溝の当たり面で撃発の度に振動を起こし、その繰り返しでネジが破断したのではと思います。グルーピングにも影響していたと思います。ストックを替えるときのべディングはやはりきちんとすべきですね。
ボルト・メインスプリング交換結果(2015/12/18)
12月13日、栃木県大口径大会(長瀞)、ムネオさんがAHGのボルト・メインスプリングを新品にした効果を確かめるためにオープン参加したそうです。
左は11月29日マスターズ大会の60発(598点)、右が今回の60発(597点)です。標的の画像は送られてきた枚数の画像を合成して全体の集弾を比較できるようにしました。一目瞭然ですね。
銃、リローディング他は11月29日と同じ、替えたのはボルトのメインスプリングだけ。点数はほぼ同じで射手としてのパフォーマンスは同じ状態だったと思います。
左は10点圏に平均的に散布してる感じ、右はセンター圏寄りでグルーピングが一回り小さくなってます。ムネオさんに”撃った感触、どうだった?”と聞いたら、”ベツモノ!!”、銃が別物に感じられたそうです。やはりロックタイムを小さくする努力は重要ですよ、理屈上もそうだもんね~
598(2015/12/1)
舟形大口径大会のチャンプ・シューターの一人、ムネオ氏が素晴らしい記録を撃ちました。11月29日、マスターズ秋季大口径大会(長瀞)、P60(スコープ)。
本当にいい集弾ですね。5シリーズで少しバラけかかってますが、6シリーズ、気合を入れて戻しています。参考に使用銃とリローディング・データを紹介します。
銃 AHG(ストック、ANSプレサイズ)
口径 6mmBR
バレル シーレン、ツイスト14インチ(バレル加工、滝田浩)
弾頭 シエラ 70gr HPBT Matchking
火薬 IMR4895 30.1gr
雷管 チェコ、4,4 SR BOXER
スコープ リューポルド 36倍
試射のとき不発が数発出たため、急遽、ボルトのメインスプリングをもう1丁のAHG(308)と取り替えたそうです。後でスプリングの長さを比較したら不発が出た方は約1mm短かく、空撃ちで撃針が落ちる音の感じでは微妙な差があったとのこと。
ムネオ氏は”もう出ないのでは”と言ってましたが、いやいや、まだまだ・・いけますよ。それにしてもこの点数、仲々出るものではありません。凄い!おめでとう!
AHGのボルト(2015/11/13)
2014/1/24のコラムでAHGのボルトは撃針の構造がレミントンやシーレンDGAと違い、軽く、加速度=(加える力/質量)の関係から撃針の移動時間(撃針のロックタイム)が小さいのではということを書き込みましたが、肝心の写真がありませんでした。
ボルトの外観です。ロングアクション用ではと思うくらい長くゴツく頑丈です。
でも、中はご覧のとおり。コッキング・インジケータピン(写真の中の細い棒状)と撃針(ストライカーピン、写真の左下)が分離しててストライカーピンはコッキングピースと一体成形で手に持つとびっくりするくらい軽いです。
20年以上前のモデルですが、長いボルトでいかに撃針のロックタイムを小さくするか、競技銃メーカーらしい作りだと思います。
F-Class(2015/6/27)
欧米の大口径ライフル射撃界で”F-Class”という名称の競技スタイルが話題になってます。これは今、USAを中心に最も盛んになりつつある競技で、簡単に言えばハイパワー・ロングレンジ・マッチと1000ヤード・ベンチレストを足して2で割ったような競技です。
射撃姿勢はプローン
スコープ、フロントレスト、バイポッド、後ろはサンドバック使用可
射距離は600ヤード以上
競技時間は試射2発+本射20発で22分
記録は点数制、点数+X数、4点以下なし
銃は、オープンとターゲット・ライフルのクラス分けがありそれぞれ口径と重さの規定があります。
提唱したのはカナダ人の射手”George Farquharson”さん。名前の頭文字”F”を取ってF-Classと言われるようになりました。2001年にカナダ国内大会として行われたのが最初です。
本来、ポジション射撃競技はアイアンサイトのみです。アイアンサイトは眼力が弱くなれば撃てなくなるし、時間も長く体力も必要なので、いつまでもこのスポーツを続けられるような競技方法はないものかと考えたようです。
ロングレンジを撃つ魅力はそのままに、スリングを使うプローンのフィジカルな能力を必要とせず、試合時間も短時間、加えてベンチレスト的要素もあり面白いということで急速に広まったようです。
さて、秋季大会からやる予定の「舟形F-Class選手権」は射距離が300mで短いため次のように考えてます。
(ルール改訂、2016年10月)
銃 スコープ、アイアンサイト自由、レスト、バイポット使用可
姿勢 プローン(ベンチ台使用不可)
競技時間 試射+本射=13発で15分
標的 100m標的使用、センター部の白丸マーカ使用
記録 点数制 上位点10発を集計する。X数+10点数+9点数の合計、8点以下はカウントしない
伏射(スコープ)シリーズ満射とリローディングデータ(2014/10/22)
2014秋季大会で伏射40発(スコープ)でシリーズ満射が出ました。天気、晴れ、気温約16℃、湿度65%、陽炎なし、風、後方から
銃 AHG
口 径 308
バレル オリジナルバレル、ツイスト12インチ
弾 頭 シエラ168gr、HPBT、マッチキング
火 薬 IMR4064,41.5gr
AHGの大口径銃は1990年代の6mmBRが全盛になる前の競技銃で、アクション(角型)が長くがっしりしてて無骨なデザインであまり人気はありませんでしたがポテンシャルの高い競技銃だと思います。ストックのべディングはエニスで半年かけてやったそうです。
陽炎対策(2012/10/20)
2012年の舟形は不思議なくらい風が吹きませんでした。舟形で射撃が始まった08,09年頃はいつも風が吹いていて”舟形”といえば”風”というイメージがありましたが、去年頃からでしょうか風が吹くことが少なくなっています。風がないと陽炎が出ます。陽炎には射面と標的側に現れるものと、銃のバレルの熱で起こる銃側の陽炎があります。
大口径の場合、後者の対策としてバレルの陽炎ベルト(またはスコープのミラージュ・フード)は必須のアイテムですが、秋の三県大会でこれを忘れた射手がいました。ナミハ(山形)さんです。P40(S)前半、陽炎ベルトなし(149点)、後半、人から借りて陽炎ベルト取付け(187点)、これだけ違います。
風が絶え間なく吹いているときは射座の中も風が通るので陽炎ベルトがなくてもいい場合がありますが、風が止まるとバレルの熱で起こる目の前の陽炎が狙点を乱します。特に外気温が高い時期で風がピタッと止むようなときは首振り式の扇風機を併用した方がいいと思います。
F40、シリーズ99点の銃とリロードデータ(2012/10/18)
12秋三県大会のF40で新記録を撃った銃とリロードデータです。
銃 レミントン40X 6mmBR
バレル ハート、ツイスト14インチ、バレル長22インチ
火薬 IMR3031 30.5gr
弾頭 バーガー68gr ノンモリコート
スコープ ナイトフォース 42倍で使用
気象条件 天候、曇り、気温13~14℃、湿度72%
微風、陽炎なし
無線ビデオ監的システム使用
1時方向、10点に6発入ってます。その部分のグループは13mm、11時方向の9点線上の1発を除けば素晴らしい集弾です。
風がないこと、気温が低く射面も射座周りも陽炎が出にくい条件だったことが大きかったと思います。これは三浦弘幸氏(秋田)がP40(S)で399点を撃った時と同じような気象条件です。ベンチレストや腕比べ大会などの経験では、陽炎が出ると狙点が乱れるためこのような集弾は難しいです。気温が15℃以下で陽炎がない、しかも風がない条件のときに、ビッグ記録が出るようですね。
侮りがたし6.5アリサカのポテンシャル(2012/7/29)
最近のGUN情報をみるとロングレンジで6mm径は力不足(弾頭重量と弾速の兼ね合いで)なのか6.5mm口径がじわじわと広がってきてるようです。先日、秋田の三浦さんから6.5アリサカの実射情報が寄せられましたので紹介します。
使用銃はホーワドルフ・6.5アリサカフリーライフル、バレルはハート65cm、ツイスト9です。
薬莢:Norma 6.5Jap
火薬:H322,34gr
弾頭:Sierra 120grMK
弾速:2879fps(5発平均)
左の写真、100m、伏射5発、ワンホールでした。
(参考)メーカーのリローディングデータは下記のようになっています。
ホジドン:H335 37gr で 2597fpsMax
シエラ :H335 38gr で 2700fpsMax
弾頭を140grに替えた場合
火薬:H322,33gr
弾頭:Sierra 140grMK
弾速:2710fps(5発平均)
(参考)メーカーのリローディングデータ
ホジドン:H335 35gr で 2414fpsMax
シエラ :IMR4320 36.8gr で 2500fpsMax
6.5アリサカは、どの(メーカ)データを見ても2500fps前後がMaxですが、実際は、200~300fpsも高い値で、最新の6.5X47Lapuaや6.5Creedmoorなどと比較しても遜色の無い値でポテンシャルの高さに驚きました。最近Sierraから123grMKが出ています。BC値が0.51程で限りなく140grMKの0.526に近い値です。個人的には6.5アリサカに140grの弾頭は少々重すぎると思います。300m射撃では、120gr前後で2800fps位が最適かと思います。今後機会をみて300mレンジで120gr,123gr,140grの実力を試してみたいと思います。(以上、三浦氏記)
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BC値(ballistic coefficient,弾道係数) (2013/10/3一部補足)
弾頭質量/(空気抵抗係数×基準断面積)の関係式で表される係数で弾速が空気抵抗で減速する度合を示す。(注:重量1ポンド、口径1インチのFBタイプの標準弾頭の弾道を1とした係数)。この値が大きいと減速度合が小さい、小さいと減速が大きい。なのでBC値が大きいほど良いことになるが弾頭が重ければ良いってもんじゃなく、口径(≒断面積)、初速、集弾精度、撃ち易さとのバランスが求められます。最近、アメリカのロングレンジで6.5mm口径が注目されてるのはこの点ではないかと思います。ちなみに代表的な口径308、Sierra,168grMKのBC値は初速、2600fps前後で0.44~0.46です。123grMKでBC値0.51、しかも弾速も出るとなればロングレンジでは6.5mm口径に優位性があるようです。
舟形300mのスコープの選び方(2011/9/3)
ベンチレストを始めて最初に使ったスコープは約40年前のリューポルド36X、古くてもさすがリューポ、解像度も良く視界も広く使い易いスコープでした。300mでは弾痕が見にくいので監的スコープを併用しました。ベンチを始めた年の終わり頃、1クリックの弾着移動量が大きいと思っていたらターレットの目盛りが1/4MOAでした。概算で100mで6mm径の弾で1個分です。これだとベンチレストで狙点を正確に合わせることはできません。1/8MOAが必要です。
翌年、50Xのスコープにしました。これを選択した理由は300mで弾痕が見えるためです。確かに視界がクリアなときは5.6mmの弾痕も見え併用していた監的スコープがいらなくなりました。ただ、ベンチ台などの揺れからくる狙点のブレが非常に大きく見えます。倍率が上がったので当然なんですけど。ぎりぎり狙って撃つタイプの射手は気にならないかも知れませんが射撃に神経を使うようになりました。
陽炎が出たり天候不良で視界が悪くなるとどんな倍率のスコープでも弾痕は見えにくくなりますが、特に高倍率は陽炎が出ると揺らぎが大きく見えるため撃ちにくくなります。また視界不良で暗くなると明るさが低下しさらに見えにくくなります。どっちみち弾痕が見えないのであればこの視界では倍率を下げたいと思うことが度々ありました。また高倍率は相対的に視野が狭い弱点もあります。
スコープの見え方は眼の能力にもよるし人それぞれなので、一概にこうだとは言えませんが、50Xを使った経験から、高倍率は気象変化に適応しにくく、委託射撃で固定倍率であれば40Xぐらいをお勧めします。倍率がほどほどで明るいし視野が広いメリットがあります。射手に聞くとズームでも委託射撃の場合は40倍、伏射の場合は20倍前後が多いようです。