433 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:05:00 ID:FBY8KdD20Case12-Day9「月日は巡る」 ________ / /| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / / _ | / | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ::| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/| _____.| | ::| / . / |/| . |________ | ::| / . / |____/ /| | ::| /_______/ ./ / _ | | ::| | 筆府市立病院 | / / _ | | ::| | ≡≡≡≡≡≡ | /__________/ _ | | / | ≡≡≡≡≡≡ | ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ,;:'""':; | ≡≡≡≡≡≡ | ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ,,;:" ,; | ≡≡≡≡≡≡ | ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ,,;:' ,;" | ≡≡≡≡≡≡ | ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ,;'" ,;" | ≡=====/ .≡ | ≡≡≡≡≡≡,;;"'':;,≡,;:'"":;,;:'" ,;:''" | ≡|| ||/ ≡ |/ ̄ ̄ ̄ ̄,;:'"",,.,,,___ "':;____,,_,,,_;'"  ̄ ̄----  ̄ ̄ ̄  ̄  ̄,, , , ,,;;:;-,,;;.,,. ,,;;;,;;-.;;,,;;-;,;,;-.;;,,;;-;,;,;- " "' ""'':i;,, ,,;;i;:''"""''" "':; ,i' "':; ,;' ,, ,, ,,, ;,,, ,;, ,,; ,;:' ,;",, ,, ;;, ;, ;, ,; ,;, ,; , ;;; ;,; ,, l,,;;;ll,;;;,il;;::;,,li;;i;i,,li,;li;;;;;ll/ "';l,,l,,ii,,,l,i,,,i,,,ll, ii, i,ll ,i,,,,l,,,ii l,,l,ii, i,ll ,i,,,,l,,,ii l,,l,ii, ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
434 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:09:31 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「よう弟者、生きてるか?」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「ふむ……今日は心なしか元気そうじゃないか」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「美和ちゃん、ようやく退院の目途が立ったとよ」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「今のお前と会わせて良いもんかどうか、悩ましいがな」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「……駄目、だろうな。到底耐えられるとは思えん」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「さりとて、引き留めも限界……どうしたもんかね」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「お前が治ってくれりゃ解決なんだが……そこんとこどうなんだ?」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
435 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:10:04 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「お姫様のキスで目覚めるのに賭けるしかないのか?」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「……ないわな、そんなご都合主義。科学の徒たる弟者ならそう言う」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「聴こえてんのか知らねーけど、お前は愛する女の心も守れねえってのか?」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「起きろよ、弟者。美和ちゃん孕ませなきゃ死ぬに死ねねーだろう?」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( _ゝ )「……起きろってんだよ、寝坊は俺の役目だろうが」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( _ゝ )「五月館のこと美和ちゃんに全部バラすからな?」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
(#´_ゝ`)「……何とか言えよ、なぁ……!」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
436 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:10:38 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「……」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「頼むから、入院費で破産する前に良くなってくれよ?」
(゚<_゚ )「ぁっ……ぁっ……」
( ´_ゝ`)「……また来る」
―――。
437 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:23:31 ID:FBY8KdD20【流石探偵事務所】 | | ̄ ̄ ̄|:l | | ::| ,| | | ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | 流 石 探 偵 事 務 所 | | l__________________,| | | |`''-、_ | | | | 「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | | | | | | | | | | | | | | r‐┐| r‐┐ ,| | | | | | ||! ! .| |ノヽ-ヘィiヘl^ヽ-, | | l └‐'゙ l└‐' | |―――――┐ス ! ! | | | | | ,レi | | |______,|_____,,| | | Z | | / ,|_|/ | ヘ |_|/
438 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:24:04 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「戻ったぞー」
('A`)「あっ、所長。お帰りなさい」
( ´_ゝ`)「特に何もなかった?」
('A`)「はい、宮崎さんからお礼のお電話があったくらいです」
( ´_ゝ`)「お、離婚調停うまくいった感じかな?」
('A`)「らしいです。よろしくお伝えくださいって言ってました」
( ´_ゝ`)「よかった。結構気になってたんだよな」
('A`)「ちなみにどんな案件だったんですか?」
( ´_ゝ`)「托卵」
(;'A`)「うわぁ……」
( ´_ゝ`)「元々は浮気調査の依頼だったんだけど、浮気相手が息子さんとそっくりでな……」
(;'A`)「ほんとにあるんですね、そんなこと」
( ´_ゝ`)「今でも何かの間違いだったと思いたい」
('A`)「そもそも浮気自体理解できないけど、輪をかけて理解不能だなぁ……」
439 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:24:56 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「天丼さんの依頼は何とかなりそう?」
('A`)「はい、どうにか。副所長ほど上手くはやれてないと思いますけど」
( ´_ゝ`)「十分十分。太客手放さなくて済んで助かってるよ」
('A`)「凄いですよね、天丼さん。お金持ちなんですかね?」
( ´_ゝ`)「お金持ちなんだろうな」
('A`)「世の中には色んな人がいるなあと実感します」
( ´_ゝ`)「それはほんとにそう。この仕事してるとよくわかる」
('A`)「世界が広がった感じがして面白いです」
( ´_ゝ`)「……しかし本当によかったのか? ヌケドも就活もやめちまって」
('A`)「就活はやめたんじゃなくて終わったんですよ。今更内定取り消しとか言わないでくださいよ?」
( ´_ゝ`)「いや、それはないが……本当にこんなヤクザな仕事でいいのか?」
('A`)「正直迷いましたけどね。実際にバイトして、結構楽しいなって」
( ´_ゝ`)「まあ、こっちは助かるしドッくんが良いなら止めないが……」
('A`)「正直、SE目指してたのも惰性でしたから……むしろ良かったのかも」
440 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:25:42 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「いきなり潰れるかもよ?」
('A`)「まあ、その時はその時じゃないですかね。 御前さんの話だと、今やってるような経験あれば引く手数多らしいですし」
( ´_ゝ`)「フリーランスBPとしてならいつでも捻じ込めるとも言ってたな……」
('A`)「どんだけ人手不足なんでしょうね……」
( ´_ゝ`)「半人前で上等、いない方がマシな人材ですら割と案件決まってくとか地獄みある」
('A`)「ですよねぇ」
( ´_ゝ`)「ドッくんはいたら確実に役に立つから御前さんも手ぐすね引いてそう」
('A`)「ですかねぇ」
( ´_ゝ`)「仕事の飲み込み早すぎるんよ。弱点は口下手とチキンハートと声が小さいことくらい?」
('A`)「そうですか?」
( ´_ゝ`)「そうだ」
('A`)「うーん、自分ではよくわかんないですけどね」
( ´_ゝ`)「まあ、長所ってそんなもんだよな」
441 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:26:15 ID:FBY8KdD20
('A`)「……強いて後悔してると言えば、ヌケドやめたことくらいですか」
( ´_ゝ`)「なかなか会えなくなったもんな」
('A`)「ヌケドにはちょくちょく顔出してるし、たまに食事にも行ってますけどね」
( ´_ゝ`)「そろそろちゃんとしたデートに誘ってもいいんじゃないか?」
('A`)「どうなんでしょう? 迷惑じゃないですか?」
( ´_ゝ`)「興味ないことなら面倒がるだろうが、興味あることなら大丈夫だと思うぞ」
('A`)「うーん……剣道の大会とか?」
( ´_ゝ`)「悪くはなさそう。ドッくんが興味あるなら」
('A`)「……正直あんまないですね」
( ´_ゝ`)「それは悪手。死んでも相手に合わせ続ける覚悟があるならいいけど」
('A`)「あ、居合。居合はちょっと見てみたいです」
( ´_ゝ`)「ほう。なら講習会的なのとか、道場の見学が良いかもな」
('A`)「なるほど」
( ´_ゝ`)「ちょっと調べてみたら良いかもね」
442 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:26:49 ID:FBY8KdD20
「邪魔するよ」
( ´_ゝ`)「むっ?」
(;'A`)「えっ? ……あっ」
@@@ @#_、_@ ( ノ`) (´<_`∬ (⌒`:::: ⌒ヽ ,r'⌒ ::::`⌒) ..ヽ:::: ~~⌒γ⌒)(⌒γ⌒~~ ::::,r' ヽー―'^ー-' '-ー^'―ー,r' 〉 │ │ 〈 / ̄/ココ / ̄/ココ / ̄/ココ ./ ̄/ココ / ̄/ココ / ̄/ココ / ゙ー-; / ゙ー-; / ゙ー-; / ゙ー-; / ゙ー-; / ゙ー-; / /ー--'゙ / /ー--'゙ / /ー--'゙ / /ー--'゙ / /ー--'゙ / /ー--'゙ /_/ /_/ /_/ /_/ /_/ /_/
∬´_ゝ`)「ふぅん、久しいな愚弟よ」
( ´_ゝ`)「母者、姉者」
443 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:27:22 ID:FBY8KdD20
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「随分と腑抜けたツラしてんじゃないか」
( ´_ゝ`)「そうか?」
∬´_ゝ`)「そうだ。実に情けないツラをしている」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「む、あんたがドクオくんかい。愚息が世話になってるね」
(;'A`)「え? ど、どうも」
∬´_ゝ`)「愚弟、茶くらい出さんか」
( ´_ゝ`)「あーはいはい、ちょっと待ってろよ」
(;'A`)「えっ?」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「あんた、あの子からパワハラとか受けてないかい?」
(;'A`)「いえ、いつも良くして頂いてます」
∬´_ゝ`)「奴が適当なことを言っていたらきちんと躾けるのだぞ」
(;'A`)「は、はぁ……?」
444 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:27:56 ID:FBY8KdD20
jI斗一  ̄ ̄ ` ア゚ ,., `'≪ ア゜ ~"寸 〝〟 ,' ,イ ア ヽ i {{ ゝ ' ノリ _jI斗‐━ァマ ¦ ゞー__ 。o 彡'' f^''"~ j! ', ‘, _,, ...__ ・ ̄ ', { j} ¦ ,ィ ~"''≪ ゛、_rf(  ̄~"''ゝ。' _У `寸 ァ( / '; ,, r‐ ', _,xく _j幺ェェォ__イ__,:ノ. r㎡_ ア_幺孑ヤ升 ,,。*''“゚ j´。厂゛>、 うぅ==七" ,ィ'” ..: : '⊂⊃ ノo゚イ . 寸 〃 . : ' χ イ{ ゛ :. マ {{ .0o 。 ゜ ζ δ ゚ :. リ “t。 ゚ c。 λ .。廴 s ;,ィ(、 /∧(h。 ゙^ ~ ‘’ ,+`,らヘ た//, う≧=ー-- 一=≦ 八/ム £///: , ,:'////} Ⅵ///_ゝ、, . イ////Ⅳ ゞ//////≧ぃzッzzャぉI〔/////// `'≪////_///////////__j彡''’  ̄ ―--=‐━  ̄
445 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:29:17 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「見舞い帰りか?」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「ああ」
∬´_ゝ`)「相変わらずだったがな」
( ´_ゝ`)「だよな……」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「あんたがそんなツラしてちゃ治るもんも治んないさ」
( ´_ゝ`)「そうか?」
∬´_ゝ`)「そうだ。貴様が塞ぎ込んでどうする、いつも通り愚かしいツラを晒していろ」
( ´_ゝ`)「えぇ……」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「デイジーの言う通りだよ。病は気から!」
( ´_ゝ`)「いや病んでるの俺じゃないんだけど……」
(;'A`)(すごい圧だなあ……)
446 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:29:50 ID:FBY8KdD20
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「ちょいと鍛えなおしてやるとするかい」
( ´_ゝ`)「えぇ……」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「あんたがもっと強かったら、違う結果もあったんじゃないのかい?」
( ´_ゝ`)「そうかな……そうかも?」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「もっと強くなんな。そんな結果はなかったって言い切れるくらいに」
( ´_ゝ`)「いやそれ結局解決してないんじゃ……」
∬´_ゝ`)「少なくともそんな煮え切らん顔にはなるまい。違うか?」
( ´_ゝ`)「……」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「午後は九折の知り合いのとこ手伝ってるから、仕事終わったら連絡しな」
( ´_ゝ`)「わかった」
―――。
447 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:30:23 ID:FBY8KdD20
('A`)「いやー、おっかないですね」
( ´_ゝ`)「だろ?」
('A`)「でも……何て言うんだろう、暖かい思いやりのようなものを感じました」
( ´_ゝ`)「……まあな」
('A`)「素敵なお母さんじゃないですか」
( ´_ゝ`)「ドッくんのそういうとこ、素直に凄いと思うよ」
('A`)「そうですか?」
( ´_ゝ`)「そうだ。……ま、俺もいい加減切り替えなきゃかな」
('A`)「副所長が復帰する前に事務所潰れちゃ目も当てられませんしね」
( ´_ゝ`)「普通にありえるから困る」
('A`)「俺も頑張るんで、なんとか維持しましょ」
( ´_ゝ`)「ありがてぇ……ドッくんが来てくれてよかったよ、ほんとに」
('A`)「はは、なんか照れますね」
―――。
448 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:32:47 ID:FBY8KdD20【中華そば 小池】. :|:..  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...:|: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:|__| |__小___________.十___________| ̄| |_____ | |{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:', | |_| | |:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.,,:.:.:.:.:.:.:.;;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.', |___| | |:::',:.:.:.:.:〝:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.#:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.', | ;,::,:,| | |:::::',,,,,,,,,,,,,,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.', !. | | |_ ',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':,|. | | ||γ!:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\____|______ | ||〈大_\_____________________\.!__|___ | |.-.-.-.-.|::::::::::::::::::|::::::::::::::::: |::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::|::::::::::::::::: |.! !三三三三三 | ||「 ̄ ̄.|::::::中::::::||::::::華::::::||::::::そ::::::||::::::ば::::::||:::::小池:::|| ;. |三三三三三 | ||| // .!:::::::::::::::::|| :::::::::::::: ||:::::::::::::::::|| :::::::::::::: ||::::::::::::::::: || |三三三三三 | ||| /  ̄/|| ̄ ̄ ̄ ̄ || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||/ / ̄ ̄/ || ̄ ̄! !三三三三三 | |||′ / .|| ||// // || / / . ||:::┐::| ,, |三三三三三 | ||「 ̄ ̄ ̄ ̄| |「 ̄ ̄ ̄ ̄.[!|「 ̄ ̄ ̄ ̄.!三[:::| # .|三三三三三 | |├ ――‐,┤ .||----------||--------.||:::]三| |三三三三三 | ||| || || ,;, || .||三;/:| |三三三三三 | ||| || || || .||:::] [::|,, |三三三三三 | ||| || || || ##" ||ニニニ| |三三三三三 | |||========|| ||==========||========.||::::::::::| |三三三三三 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\:::::::::::::\:::::::::::::\:::::::::::::\  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄人_人 ̄ ̄ ̄ ̄
449 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:33:20 ID:FBY8KdD20
( "'Д')「らっしゃーせー!」
( ´_ゝ`)ノ「ちっす」
('A`)「こんにちは」
( "'Д')「おっ、あんたらか。いつもので?」
( ´_ゝ`)「うっす」
('A`)「お願いします!」
( "'Д')「あいよ!」
450 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:34:17 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「おやっさん、奥さんの具合はどう?」
( "'Д')「あー、よくはねーな。今んとこ杖がありゃ何とかなるが」
( ´_ゝ`)「……しつこいようだけど閉店延期してよかったのか?」
( "'Д')「俺もそう思ったんだけどよ、当のかかあに続けとけって言われちまっちゃあな」
( ´_ゝ`)「なんか俺らのせいで予定狂ったのかなって恐縮だけど……その分通わせて貰うよ」
( "'Д')「はは、だからそんなんじゃねーって。弟の方にもっかい喰わせるまで畳みたくねえってのも本音だけどな!」
('A`)「早く良くなるといいんですけどね」
( ´_ゝ`)「ああ……」
( "'Д')「シケたツラすんなよ! どうせラーメン食いたくて帰ってくるぜ!」
( ´_ゝ`)「ああ、そうだな……うん。ここのラーメンはうまいからな!」
( "'Д')「へへ、あたぼーよ! それだけが取り得だからな!」
('A`)「ほんと、飽きないんですよねぇ……何で前まで通ってなかったんだろと思うくらい」
( ´_ゝ`)「おやっさんには悪いけど初見は微妙だからな。何度か食うとハマる、俺らもそうだった」
( "'Д')「よく言われるぜ! ヤベー薬とかは入ってないから安心しろよ?」
451 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:37:31 ID:FBY8KdD20
( "'Д')「らっしゃーせー!」
タ ・ケ・)ダ「あっ」
( ´_ゝ`)「あっ」
タ ・ケ・)ダ「どうも」
( ´_ゝ`)「ああ」
( "'Д')「あんちゃん、ご注文は?」
タ ・ケ・)ダ「ええと……中華そば大盛りで」
( "'Д')「あいよ!」
( ´_ゝ`)「……」
タ ・ケ・)ダ「……」
(;'A`)(き、気まずい……)
タ ・ケ・)ダ「あの……」
( ´_ゝ`)「む」
452 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:38:04 ID:FBY8KdD20
タ ・ケ・)ダ「……すみませんでした。弟さんがあんなことになるほど手を尽くしてくれたのに、八つ当たりしてしまって」
( ´_ゝ`)「……いや、渾身の依頼を失敗しちまったからな。何の言い訳もできねぇ」
タ ・ケ・)ダ「元々、可能性の低い話だというのは理解してましたから。それでも受け入れられなかったわけですが……」
( ´_ゝ`)「ここに来たのは……もしかして」
タ ・ケ・)ダ「事務所に伺う前に、もう一度気を落ち着かせようと思いまして」
( ´_ゝ`)「なるほど……」
タ ・ケ・)ダ「今更ですが、ありがとうございました」
( ´_ゝ`)「……ああ。プロとして受け取り難くはあるが、ありがたく受け取らせて貰う」
タ ・ケ・)ダ「よかったです。酷いことを言ってしまったのでずっと気になっていて……」
( ´_ゝ`)「オーケー、ここはお互いラーメンスープに流すってことで」
タ ・ケ・)ダ「ははっ、それはいいですね!」
( "'Д')「ガハハ、うめーこと言うじゃねぇか。ほれ、うめーこと繋がりでうめーラーメンだぜ」
( ´_ゝ`)「おっ、来た来た」
453 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:38:37 ID:FBY8KdD20
( "'Д')つ「チャーシュー大盛、ネギ塩、中華そば大盛りお待ち!」
ζζζ ____ ( "'Д')つ\∽∽/ └─┘
( ´_ゝ`)ズー タ ・ケ・)ダ ズー ('A`)ズー (っ. 川 .o (っ川.o o 川⊂) ̄ ̄`ー―′ ̄ ̄`ー―′ ̄ `ー―′ ̄\
( ´_ゝ`)b「「うめぇ……!」」d('A`)
タ ・ケ・)ダ「あれ……? うまい……!?」
( ´_ゝ`)b「ここのラーメンは二回目からが本番」
d('A`)「めっちゃうまいですよね!」
454 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:40:25 ID:FBY8KdD20
タ ・ケ・)ダ「こんなにうまかったっけ……!?」
( ´_ゝ`)「はぁ~……やっぱこれだね」
('A`)「わかります。それだけに後継者問題……何とかしたいですね」
タ ・ケ・)ダ「あー……そういえばそんな話でしたね」
( ´_ゝ`)「うーん……風狸ちゃんには断られちまったしな」
('A`)「鳥華族の店員さんでしたっけ? まあラーメン屋ってイメージではないですよね」
( ´_ゝ`)「あ。そういえば内藤君とか就活どうなってるん?」
('A`)「絶賛就活中ですね、食品メーカー中心で。何故かエロゲメーカーも受けてましたけど」
( ´_ゝ`)「引っ張れたりしないか……?」
('A`)「いやー、どうでしょう。あいつにゃ一人で切り盛りするのは厳しいんじゃないですかね」
( ´_ゝ`)「しかも小豚の大将に怒られそうだな」
('A`)「確かに。相変わらず孫みたいに可愛がってるし、飲食やるなら自分のとこ継がせたがりそう」
( ´_ゝ`)「膝出くんの状況も気になるな……ちょっと連絡してみるか」
('A`)「あー、あのデカい人。一緒に回ってるって言ってたので無い内定かもですね」
455 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:40:58 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「改めてツテを洗ってみるか。この店なくなると仕事やる気なくなりそうだし」
タ ・ケ・)ダ「俺も知り合い当たってみますよ」
('A`)「もちろん俺もです」
( ´_ゝ`)「たすかる」
( "'Д')「いやー若い人らにそこまで言って貰えると、嬉しいもんだな!」
( ´_ゝ`)「それだけ、おやっさんが人の心を動かすほどのものを積み上げてきたってことだ」
('A`)「そういえば、この店って何年くらいやってるんですか?」
( "'Д')「今年で52年だな。5年は屋台でやってたから、この店って意味じゃ47年か」
タ ・ケ・)ダ「えっ、やば」
( ´_ゝ`)「半世紀。もはや町の歴史だよな」
('A`)「凄いなぁ……」
( "'Д')「ガハハ! 褒めたってラーメンしか出ねーぞ?」
( ´_ゝ`)「それで良い、それが良い」
―――。
456 :名無しさん [↓] :2024/06/09(日) 22:42:00 ID:Z8mCDmbg0おぉ…もう…
457 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:43:28 ID:FBY8KdD20【九折山中】:ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ /;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ |ii;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞヾ;ゞヾ:ヾノ;;ヾ ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾ ヾゞ;| <;;/::ヾゞ;;ゞ:;ヾ:ヾ;;>;ゞ;;::iiゞゞ;;ゞゞ;;ゞヾ;;>;ゞヾ;ゞゞヾ ;ゞゞ;ゞiilヾ;ゞゞ゙ゞ;;:::ii| |;:ヾゞ "ヾゞヾ;ゞゞノヾゞ:ヾヾiii| <:;ヾ:ヾ;;>ヾ;ゞ'';ゞヾ;ゞ|;:ilヾ \ |::;ii| ヾ;ゞゞ''ノヾ|;:i| ノヾゞ:ヾヾ::ヾ\ |i;;:iii| /;;ゞ :;ヾ:, |i;ゞゞ|;:i| \`'';:::ii| ヾ:ヾ;;>;ゞヾ| |;:i|/^ '|i| |;:i| \`";;::ii| ノ / :ヾ;;>ヾ;ゞ ;ゞヾゞ|;:i| ゙ヽ,;:;;;l| /゙;ゞゞ;ゞ:::ii| |;:i| |i| |;:i| ~|ii;;:ii"´/ |;;::ii| |i|/|;:i| |:::;iii~ ノ ,,|;;::ii| |;:i| |i| |;:i| |i::;;iii|~ .|;;::ii| ''\|i|':;,`:ヽ|/,'|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;.:":::"''''⌒ヾゞ γ''"""''""''"' |ii;;i;('')''"''''"""''"""'''''"""''";*'.:.:;”:;゙|:;;iii|`:;,':,*”:;:;.,:;.:;'.:.:;”:;ヾヾ)) ((,:ソミ;.:';';';::;.:". |i;;;::;iii|`:;,':,:;.,:;.:;';',: ':::;.:".:;.:';.:;”:`:;,' *”|:;:;ii|:,:;*.,:;/.:::;,':,*”:;:;.,:;.:;'.:ソ "''~`''"゙"'''~ノ;;ii;:iilli;ゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~゙"''~`''"゙ ノノシillゝ"''~`''"゙"''~`''"゙"''~ "'''''''''''''''" ..,,、vji、iijww、ii.., "'''''''''" '""'''""'""" ,..,.,.,.,、 ,..,.,.,.,、 ''''""'"'''""";;;ゝ);;));ヾ;;) ,..,.,.,.,、 ''"""~))ゝ;;;ミ,,、,,;;;ゝ;;)ゝ))ゝ;;;) ;;;)ヾミゞ((;;;ゝヾ;⌒;;) iijww、ii. """~" ''"""~ヾミ;ソ(;;;ゝヾ;))ゝ;ミ;;(::;ゝ;;;)) ,..,.,.,.,、
458 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:44:01 ID:FBY8KdD20 ` ' 、 ノヾ ' )ヽ/ ヽ、ノ|ノ´ `r r' ) ( , '´⌒`Y´⌒` 、 ,、 / , キ人_,/ ` ) て \ ,,_人、ノヽ /´⌒Y,. )ヽ ( 、ハ, \ - < >─ ^ < て ) て ./'Y''~ヾ /^⌒`Y´^\ `
459 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:44:34 ID:FBY8KdD20
(;´_ゝ`)┫「はあっ! はあっ!」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「ふうっ……! やるようになったじゃないか」
(;´_ゝ`)「伊達に修羅場潜ってねーからな……」
(;'A`)(相変わらずのヤムチャ目線……)
∬´_ゝ`)「母者にそこまで言わせるとはな、大したものだ」
( ´_ゝ`)「そういや一つ聞きたかったんだが……母者は魔術って知ってるか?」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「魔術? ……知ってはいるね」
( ´_ゝ`)「そう、か……」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「なにせ父さんは元陰陽師だし」
( ´_ゝ`)「そうそう父者は陰陽――は??」
∬´_ゝ`)「なん……だと……?」
460 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:45:08 ID:FBY8KdD20
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「ま、才能なかったから裏方に回ったらしいけどね」
( ´_ゝ`)「あ……そういうこと、か? 美和ちゃんと接点があったのも」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「文化庁から出向して、県内の神社仏閣の調整役をやってるのさ」
( ´_ゝ`)「なるほどな……」
∬´_ゝ`)「おい、魔術とは何だ?」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「あたしゃ説明できるほど知らないよ。帰ったら父さんにでも聞くんだね」
(;´_ゝ`)「ってことは……やっぱ母者の強さは素のフィジカルなのか……やべぇな」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「魔力とやらを使っているらしいことは聞いてるよ。あたしは所謂"気"ってもんだって認識だったけどね」
(;´_ゝ`)「よ、よかった……流石に人類の範疇超えるからな……」
('A`)(……流儀によっては"気"とか"霊力"とか呼ぶこともある、って砂緒さん言ってたな)
461 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:45:42 ID:FBY8KdD20
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「フン。所詮ヒグマと引き分ける程度さ、北海道じゃペーペーだね。……あいつとはいずれ決着を着けるが」
( ´_ゝ`)(そいつ絶対普通のヒグマじゃないだろ……それに北海道の猟師はライフルありきだろうに)
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「技術だってまだまだ本物の達人クラスにゃ及ばないしねぇ、精進あるのみだよ」
( ´_ゝ`)「本物の達人クラス……玄葉師範とかか」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「……祈念流かい。あの時の息子さん、そこまでに成ったか……」
( ´_ゝ`)「道場破り以来会ってない感じか」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「そりゃ、合わせる顔がないからね。 技術の粋をパワーで捻じ伏せて良い気になってたのが恥ずかしくて恥ずかしくて……」
( ´_ゝ`)「あー……だからこその、あの奥義なんだな。母者らしくない、テクニック極振りの一撃」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「そうさ。ようやく手が届いた、達人の世界の一丁目ってとこだよ」
462 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:46:16 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「まさしく一丁目だな……師範は全ての戦闘挙動があの水準だし」
@@@@#_、_@ (; ノ`) 「えっ……それ、本当に人間かい……? 流石にそこまでとは思わなかったよ」
( ´_ゝ`)「向こうも同じことを言うと思うぞ、母者の全力のパワーを見たら」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「ふっ……隣の芝は青いってやつかね?」
( ´_ゝ`)「いい加減昔の話だろうし、一度訪ねてみてもいいんじゃないか? お互い良い刺激になるだろうよ」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「考えとくよ」
∬´_ゝ`)「ふぅん、話はよくわからんが……少しは発散したようだな、愚弟よ」
( ´_ゝ`)「ん……そうだな。久しぶりに全力で動いたらちょっとスッキリした」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「あんたは鍛錬をサボりすぎさ。もう少し真面目にやるんだね」
('A`)(俺じゃ抗うこともできずに即死だなあ、どっちも)
463 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:52:06 ID:FBY8KdD20【BAR バーボンハウス】
Ⅲ A Ⅱ ∨ 日≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡(´・ω・`) 目 W ][ ∩ Ⅲ|つ凵⊂| _________ ̄ ̄ ̄ ̄ ( ) ――⊂ .|―――――― (,___) ━┳━ ━┳━  ̄ ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄
(´・ω・`)「ん?」
( ´_ゝ`)ノ「ういっす」
('A`)「こんばんは」
(´・ω・`)「らっしゃい――おや?」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「邪魔するよ」
∬´_ゝ`)「ふぅん、相変わらずシブい店だ」
(´・ω・`)「ああ、お久しぶりです」
464 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:52:39 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「いつもの」
('A`)「ジントニックお願いします」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「生、大ジョッキ」
∬´_ゝ`)「ウォッカを、ロックで頼む」
(´・ω・`)「はいよ」
( ´_ゝ`)「マスター、レモナは元気?」
(´・ω・`)「ええ、お陰様で。飼鱈場の方にいるので僕もあまり会いませんが」
( ´_ゝ`)「言ってみるもんだよな、まさか本当に通るとは思わんかったが」
(´・ω・`)「感謝してますよ。あの子が地獄から抜け出せたのも、平穏な暮らしを得られたのもあなた方のお陰です」
( ´_ゝ`)「大号泣だったもんなマスター」
(´・ω・`)「そりゃそうですよ。失ったと思った仲間があんな形で帰って来たんですから」
( ´_ゝ`)(それは……いや、言葉にするべきではない、か)
(´・ω・`)「……お待たせしました、カミカゼ、ジントニック、生大、それとウォッカね」
465 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:53:13 ID:FBY8KdD20 ,. -‐==、、 ,. ===、、 o ○o. i :::ト、 _,/ `ヾ´´`ヽ、 ゚ .l :::ト、\ // .::::/ :::::!===l :::|ス. ', /./ .::::/ ::::l | __ ..... _::::|} ヽ l-、. ,ィク ,'..__ .::::/ ::::l :l '´ `)'`ヽ ヾ;\ /::{゙ ヽ、 ``丶、;/‐‐- 、::::l `'::┬‐--<_ } ./;:::::\ /::::::::! ,>---‐'゙ー- ...__)イ ,. -‐‐-、ト、 |l::ヽ /;';';';';::::\. /|::::::;';';'\/} (ヽ、 _/| (´ _,.ィ!::ヽ. ヾー'´;';';';';';';';';:: /ヽ、
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「ぷはー! うまい!」
∬´_ゝ`)「店主。何か良いツマミはあるか?」
(´・ω・`)「今日のお勧めはモツカレーです」
( ´_ゝ`)「おっ、旨そう」
∬´_ゝ`)「ではそれを……4人前で構わんな?」
@@@@#_、_@ ( ノ`)b「ああ!」( ´_ゝ`)b「無論」
('A`)b「大丈夫です!」
466 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:53:46 ID:FBY8KdD20
(´・ω・`)「辛さお好みあります? 元が普通の中辛くらいで、辛味足せますが」
('A`)「激辛でお願いします!」
( ´_ゝ`)「辛口くらいで頼みたい」
@@@ ( ノ`) 「何をヌルイこと言ってるんだい、ここは激辛だろ?」
∬´_ゝ`)「店主、構わん。全員に激辛を」
(´・ω・`)「ふっ、あいよ」
( ´_ゝ`)「えぇ……」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「今のあんたには更なる発汗が必要だ」
∬´_ゝ`)「違いないな。まだまだしょぼくれたツラをしている」
( ´_ゝ`)「……ドッくんもそう思う?」
('A`)「いや、わかんないですけど……その聞き方はなんか、らしくない気はします」
( ´_ゝ`)「なるほど……」
467 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:54:20 ID:FBY8KdD20
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「よく食べてよく動いてよく寝る! これ以上の薬はないからね」
( ´_ゝ`)「まあな……幸い胃腸は母者譲りで強靭だし」
('A`)「胃腸弱い人がメンタルやられると悪循環になるってよく聞きますしね」
∬´_ゝ`)「うちの客でも精神科に10年通っているという女がいたが、 消化器内科を勧めたら病気が見つかったということがあったな」
( ´_ゝ`)「ほーう。精神科で気付かんかったんかねそれ」
∬´_ゝ`)「いや、医者は検査を勧めてはいたようだ。本人が頑なに拒否していたらしい」
('A`)「そこをうまいこと占いで促した、と。なんか凄いですね」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「占い師なんてヤクザな商売だと思ってたけどね。意外と真っ当に仕事してるんだよ、この子」
∬´_ゝ`)「意外とは何だ意外とは」
( ´_ゝ`)「まあ、占いのあるべき姿ではあるわな。迷い道を照らすってのは」
('A`)「なるほどなぁ。なんか占いに対する印象変わっちゃいますね」
468 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:56:57 ID:FBY8KdD20 ,-(`⌒√)r-, ,. ,-{;::::.ヽ:::::::(::::ノ────────- 、 , -'" (;::(:.、_`ヽヾ/......_,..-''' ̄"'''- ._.......... "'-.、 / ....\`r-、\:. ) ' `ヽ::::\ \ / /r- 、`ヽr / ,.,,;;;,,-、 \:::.... \ / // _ )、:/ , ' ,'/_/⌒ヽ;;\ ',:::::\ ',', || /:::_,.-'',、 "'- 、{ ./ ,'∧( `ヽ::::::\;;;i ' ,:::::::ヽ ',', || /:/( ) ヽ_)( ) Y/ /::|||||\_::\:::|;;;| }:::::::::::| | .| ', ::/ (\ ,-、とつ/ /:::|:|||:|::::\_;;;\....::::::::::::::ヘ:::::::::| | | ',、::/⌒ヽ::::::::::::( /:::::|:|:||:|:::::::::\;;;...::::::::::::: へ :::::::::::}/' ',ヽ ..::::::::::::::ヽ.... /:::::::|:| |:|:|:::::::::::::::::::::::::::/ /.:: ヾ::// ':, \:::::>::::::(::Y::⌒:ヽ:::|:| | |:|:::::::::::::::::へ::::\_.::::::::::// ':, 'ヽ、:::}:)(:::t:r::)|:| | |:|:::::/^ゝ:::::::::::::::_,.-'" / \ "'''-.._(::::):::}|:| | | |::( r 、ヽ_,..-'''" , / \ "'''ー─------──'''"~ / "'- 、 _,,-''''" "'''- ..__ ___,..-'''"  ̄ ̄ ̄
469 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:57:31 ID:FBY8KdD20
(´・ω・`)「モツカレー激辛、お待ち」
( ´_ゝ`)「来た来た。……ほう、スープカレー風とは珍しいな」
('A`)「確かにモツカレーって言ったらカレーライス風のを想像しますね」
(´・ω・`)「あー、清水のモツカレーのイメージですかね? 名前がよくなかったかな」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「こりゃうまそうじゃないか」
∬´_ゝ`)「うむ、スパイスの香りが実にそそる」
( ´_ゝ`)「どれ、早速……うむ、旨――」
(;´_ゝ`)「いや辛ッ!!」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「パンチの効いた辛味だね。おかげでモツのモッタリした後味が引き締まって、実に後を引く」
∬´_ゝ`)「それに、見た目よりもしっかりした旨味だ。これは魚介系か……?」
(´・ω・`)「ご名答、オイスターソースを使ってます」
('A`)「うんま! ニンニクとショウガの香りがいいですね!」
470 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:58:04 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「辛いの苦手なつもりはなかったが……俺以外全員激辛党……」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「ふぅー……濃い味で酒に合うねぇ。大ジョッキおかわり」
∬´_ゝ`)「ウォッカも頼む」
(´・ω・`)「あいよ」
( ´_ゝ`)「だが、辛いが旨い……いやマジで旨いなこれ?」
('A`)「旨いですよね。濃い味だから酒か米がないときついですけど」
( ´_ゝ`)「米か。いいな米、貰えるかマスター?」
(´・ω・`)「あいよ」
@@@@#_、_@ ( ノ`) 「そうだ、どんどん食いな! よく食べてよく動いてよく寝る!」
( ´_ゝ`)「わかったよ、ガキじゃないんだから何度も言うなって」
('A`)(良いお母さんだなぁ……)
(´・ω・`)「ふふふ、おかわりまだまだありますからね」
―――。
471 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 22:59:56 ID:FBY8KdD20 | γ⌒ヽ | ゝ,,__ノ γ;)____ | || |゚ ゚| | (;´⌒. || | 〃. | | (: ) ) リ |。 〃。| | ノ ノ  ̄ ̄ |________屯==、 /と ( ´_ゝ`) つ . /| / .,' `Y,,.. .,. .Y´.`i |{ |_ / .,' ,; ~ ';i |L/_ 占占__. / ,' ,;~ ~ ~. i |/ Λ / ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄\ | ふぃ~~……! |
472 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 23:00:48 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)(ああ、今日は良い日だったな……おかげで随分と心が軽くなった)
( ´_ゝ`)(周りの人に支えられて生きてるんだなって、改めて実感する)
( ´_ゝ`)(特にドッくんにはもう頭上がらんな……いてくれなきゃ時既に廃業だったろうし)
( ´_ゝ`)「ドッくん様々だ」
( ´_ゝ`)(まあいなかったらいなかったで村上さん頼れば誰か派遣してくれたかもだけど)
( ´_ゝ`)(裏の話できないと相当しんどいしな、ほんとありがたいわ)
( ´_ゝ`)(……弟者は、いつか必ず目覚める)
( ´_ゝ`)(阿部さんだって、未来の可能性までは否定しなかった)
( ´_ゝ`)「そうだ、絶対に帰ってくる」
( ´_ゝ`)(帰って来た時に一緒にラーメン食えるように。俺が今できることをやってくしかないよな)
( ´_ゝ`)(マジでお姫様のキスで目覚めたりは……やっぱないか? ワンチャンあるのか?)
( ´_ゝ`)(駄目だった場合の美和ちゃんのケアは……まあ、地流さんに任せるか……)
473 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 23:01:23 ID:FBY8KdD20
( ´_ゝ`)「……うっし、明日から気合入れなおしてくか!」
Case12「海色の声」 Complete!
To be continued...
474 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 23:01:56 ID:FBY8KdD20Case12-Tips14 台風一過
(,,゚Д゚)「いやー……何だったんだろうな、あいつら」
(*゚ー゚)「ほんとに。引っ掻き回すだけ引っ掻き回していなくなっちゃうし」
(,,゚Д゚)「まあ、置き土産のCD-Rは今後の切り札になりそうだが」
(*゚ー゚)「端末に入れてCDブート? とやらをするだけで好き放題できるって本当なのかな?」
(,,゚Д゚)「実際やったんだからそうなんだろ。対策される可能性は低いってのが自信過剰じゃなきゃだけどよ」
(*゚ー゚)「施設に潜り込むの自体はタイミングさえ計れば可能だし……ちょっとずつ仕込みを入れていければいいのかな」
(,,゚Д゚)「問題は、今のメンバーでコンピューター扱える奴がいないってところか」
(*゚ー゚)「そりゃあね。コンピューターに触れるのは基本的に体制側の奴だもん」
(,,゚Д゚)「情報収集の優先度変えるか。じわじわと毒を仕込めれば脱出の可能性も見えてきそうだ」
(*゚ー゚)「それもだけど、重要情報が一気に得られそうだし」
(,,゚Д゚)「ああ、そっちの方がでかいか……それこそ、外との道を開くための魔術だって見つかるかもしれない」
(*゚ー゚)「そうなったら凄いよ! いよいよ外に出られるかも!」
(,,゚Д゚)「ふふふ、面白くなってきたぜ……!」
476 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 23:02:43 ID:FBY8KdD20Case12-Tips15 黄泉比良坂
<(' _'<人ノ「ようやく、ようやくです……! 退院してからなら文句はないでしょう、椎菜?」
爪゚ー゚)「いやー……そうだね。残念ながら」
<(' _'<人ノ「ああ、累次くん……! 今行きますからね!」
爪゚ー゚)「ねえ、やっぱりやめといた方が――」
<(' _'<人ノ「だまらっしゃい! 行かずにいられますか!」
爪゚ー゚)「うーんこの。自分の後遺症のこと聞いてずっと塞ぎ込んでたのに」
<(' _'<人ノ「あなたが発破かけたんじゃないですか!」
爪゚ー゚)「いやそうだけどさ、まさかここまで吹っ切れるとは……」
<(' _'<人ノ「大丈夫、愛の力で奇跡は起こります!」
爪゚ー゚)「なんという脳筋理論……美和らしいっちゃらしいけど」
<(' _'<人ノ「……伊佐の祭神である二柱のご利益を、神職である私が信じないのは筋が通りませんから」
爪゚ー゚)「あぁ……その結論もまた、実に君らしいよ」
爪゚ー゚)(確かに祭神が祭神だから、そこは意外と何とかなるのかもしれないけどね……問題はそれ以前の段階。 弟君に会いに黄泉の国まで行って帰ってこない、なんてことにはなってくれるなよ……?)
477 : ◆KDJGUfbY2o [] :2024/06/09(日) 23:03:31 ID:FBY8KdD20Case12-Tips16 "民間"の力
( ・3・)「――以上が、群馬からの報告です」
( `ゝ´)「なるほどねぇ……巫女は奪われるも、少なくとも当面の時間は稼いだ、か」
( ・3・)「そうなりますね。……ただ、時間を稼いだところで……大丈夫なんすかね?」
( `ゝ´)「さてね。現実的に今以上の戦力配置は難しい以上、あちらさん次第ってことになるが」
( ・3・)「うへー……自助努力でどうにかなる範疇とは思えないっすけど」
( `ゝ´)「最悪、先生が出張る羽目になりかねん。こっちとしちゃあそれを計算に入れて動く必要があるな」
( ・3・)「……いい加減、無い袖は振れなくないっすか? 情けない話ですけど、"民間"の力も積極的に頼るしか」
( `ゝ´)「ままならんねぇ……。結局のところ"隊長殿"が正しかった……そういうことになるか?」
( ・3・)「そこは、自分には何とも……ただ、筆府の"民間"戦力が他に類を見ないほど高まってるのは確かっすね」
( □ー□)「小野木隊長」
( `ゝ´)「おや、噂をすれば」
( □ー□)「……折入って相談が。流石探偵からの要請です」
( `ゝ´)「ほう……詳しく頼む」