99 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:15:48 ID:ikYlHdj60前回のあらすじ・江戸川コナン、探偵だ……!・月例祭の最後は、さくのかみ様のお社にお参りするんですよ・「朔夜」「朔夜」「朔夜」「朔夜」「朔夜」「朔夜」「朔夜」「朔夜」「朔夜」「朔夜」「朔夜」
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | 流石だよな、俺ら | \_ _____ __/ V V d( ´_ゝ`)人(´<_` )b \ /. \ / l l l l //l | | l\\  ̄  ̄.  ̄  ̄
【標準AA環境】
※右のAAのズレない環境が標準です。 | |\|/ | | | | ∧ ∧ |/⌒ヽ、| ∧_∧ | ∧∧ | |(,,゚Д゚)||,,゚ Θ゚)|(; ´Д`)|(=゚ω゚)|
100 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:16:22 ID:ikYlHdj60Case11-Day3┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ || |──┐ | ┌――─────┐ | ┌――─────┐ | ┌――─────┐ || |__,」 | l_________,| | l_________,| | l_________,| || |____|___________|___________|___________|| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄. / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ / \ / \ / \ / \ l二二二二二二二二二二二二二ニ二二二二二二二二二二二二l | |l l | | |_,,ソ !,|_,ン
101 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:17:00 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「は……? え……?」
(´<_` )「む……?」
ハ’ノ_’ ハ「んん……?」
八‘⊿‘)「おはようございまーす!」
(;´_ゝ`)「!!」
(´<_`;)「……」
八‘⊿‘)「あれ? どうされました?」
ハ’ノ_’ ハ「ええと……あれ? お参りに行って、それから……?」
八‘⊿‘)「?」
( ´_ゝ`)「……一つ聞きたいんだが、昨日はあれからどうなったんだ?」
八‘⊿‘)「え? どうなったというと?」
(´<_` )「……お参りに行きましたよね? その後のことをよく覚えておらず」
八‘⊿‘)「お参り……?」
102 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:17:33 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)(嘘をついている様子はない……普通に困惑している)
(´<_` )「ほら、月例祭で朔夜参りに……」
八‘⊿‘)「え、月例祭は今日ですけど……」
(´<_` )「えっ?」
ハ’ノ_’ ハ「んん??」
( ´_ゝ`)「……なるほど。もう帰ろうと思うんだが、船はいつ出る?」
八‘⊿‘)「えっ? 8時頃ですけど」
(´<_` )「……であれば、お暇しますか」
ハ’ノ_’ ハ「んー? 木葉茜はいいんですか?」
( ´_ゝ`)「ああ、撤収だ」
リ゚▽゚ リ<l「……やめとき、無駄やで」
(;´_ゝ`)「「!?」」(´<_`;)
103 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:18:07 ID:ikYlHdj60
八‘⊿‘)「木葉さん」
(;´_ゝ`)(木葉茜……? どういうことだ?)
リ゚▽゚ リ<l「あんたら、ちょいと顔貸しぃや。そう時間は取らせんで」
(´<_`;)「……どうする?」
( ´_ゝ`)「乗るっきゃねえだろ。わかった」
ハ’ノ_’ ハ「んん?? どういう??」
リ゚▽゚ リ<l「吉野さん、うちらはちょっと釣りに行ってくるで」
八‘⊿‘)「あ、はい。竿は――」
リ゚▽゚ リ<l「港で借りるから大丈夫や」
( ´_ゝ`)「おっ、そういうのもあるのか」
(´<_` )「ほら、ハロルドさん」
ハ’ノ_’ ハ「んんんん????」
104 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:18:40 ID:ikYlHdj60【捜朔島 漁港】__________ \ __,、,、,、,、,、,、,、 \,、,、,、,、,、,、, _,、‐‐‐‐~~~''";';';';';';';';';';';';';';';'____________\;';';';';';';';'``爻、xX爻爻爻爻爻'"~^^'~~~''"´;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'¨¨¨| |;';';';';';';';';';';';';';';'爻爻爻爻爻爻;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';::::::::| | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄| |;';';';';';';';';';';';';';'、─────‐ < ̄ マ7777777777ム;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';' ̄ |─|─|─|─|─| |;';';';';';';';';'; / \///////////\ ∨/////////∧;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';' | | | | | | |;';';';';';';'/ \///////////\∨/////////∧;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ :|;';';';'/ |¨..二二二二二丁゙| ̄ ̄ ̄l ̄~~|二二..| ̄ ̄⌒二ニ=- __三三三三三三三三三i三i三i三| _| l| |__||::::::::::| [| | ̄ ̄ ̄ | _|__: : : : : : : : : : : : ̄| ̄ ̄ || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄, |/\,| l| | ̄ ̄.:.[| |口 |─‐|三≧s。 ~'' .,_: : : : : : : : :|_:_:_:_:_||:::::::::::::::::::::::::∧ :|[] | l|二二二二≧s。[| | |: : : |三三三≧s。.,_>: : : : : :| | ̄ ̄|:::::::::::::::::::::::::「∧ [___| ____ |.:.:.:.:.:.: | ̄ ̄~:|¨| |¨|┌┐ 匚] |─‐|::| ̄ ̄ ̄ ̄~ ||::::|: : : : : :|_|__|::::::::::::::x㍉:::[[]∧ | | | ~''<三三ニ=- _ノ|.:.:.:.:.:.:.:|-| |: |└┘ |_「|::|: : : : : : : : :.::||::::|: : : : : :| | ヘ::::┌‐込ィ<^'く二二二匚]=-L| ~^ -=ニ二三ニ=- _ ̄ ̄ ̄ ̄匚]口兀 ̄ ̄ ̄二ニ=- |_|: : : : : :|_|_,| \|`ヽ、__`ヽ`'弌ニ=- __ ⌒ニ=- _ ~^ -=ニ三三二ニ=‐- ..,,_ ‐ ‐ ──二二三三__{\_>。,__`'<二>。, ``'弌ニニ=- __ ⌒ニ=- _  ̄ ──-----/ __ -=ニ \ `ヽ、|\:::\ ` ''<ニ>。, ``'' ─=ニ二二二二二二二二二二> /__,,.. -=ニ⌒: : : : : : : : :二二二>。, `'弌二|\へ、`¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨7 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/⌒ニ=- -=≦ ̄ : : : : : : : : : : : : : : : : : :  ̄>。, `丶、)_\\ /‐- _ /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :  ̄⌒>。,__>‐凵7  ̄二二 …ァ'’.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄: : : : : : : : : : : : .::.::.::.::.::: : : : : : : : :=== === ̄ ̄: : : : : : : : :⌒¨´.: .: .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :vivi小从小从小viviv;:;::::::.:.:.: : : : : : : : : : .:.: : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : :从川从川从川从川乂;:;:;:;:;:;: : : : : : :.:.:.:.::::::.:.:.: : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:: : : : : : : : :
105 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:19:13 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「……それで、どういうことなんだ?」
リ゚▽゚ リ<l「その前に自己紹介やな。木葉茜や、動画配信者やっとる。 どうもうちのことは知っとるみたいやけど一応な」
( ´_ゝ`)「流石真理男、探偵だ」
リ゚▽゚ リ<l「ほうほう、マリ――んん??」
(´<_` )「弟の累次、探偵です」
リ゚▽゚ リ<l「ちょ、待ちぃや」
ハ’ノ_’ ハ「ハロルド・エンヴィーです」
リ゚▽゚ リ<l「あー……マリオて本名なん?」
( ´_ゝ`)「誠に遺憾ながら」
(´<_` )「本名です」
リ゚▽゚ リ<l「……なんやろ、一気に気が抜けたわ」
( ´_ゝ`)「それはどうも……」
106 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:19:46 ID:ikYlHdj60
リ゚▽゚ リ<l「それじゃあ、まずはうちらが今置かれている状況について説明するで」
( ´_ゝ`)「よろしく頼む」
リ゚▽゚ リ<l「あんたらもあれやろ、朔夜参り」
(´<_` )「そうです。朔夜参りで島の人たちが奇妙な呪文を唱えだして」
リ゚▽゚ リ<l「うちも同じや。そんで気づいたら日付は戻っとるし、そんなことはなかったいうし、意味がわからなかったで」
( ´_ゝ`)「なるほど」
リ゚▽゚ リ<l「それでな、それから一か月」
(´<_` )「一か月」
リ゚▽゚ リ<l「何をどうやっても島から出られへん」
( ´_ゝ`)「マジか。茜ちゃんさんがいた時点で薄々そうじゃないかという気はしていたが……」
リ゚▽゚ リ<l「マジや、残念ながらな」
(´<_` )「……いまいち飲み込めないんですが、一か月の間一体どこに?」
リ゚▽゚ リ<l「島中色んなとこ駆けずり回ったで。行けてないとこも多いけどな」
107 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:20:20 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「その割には島の人は誰も知らんようだったが」
リ゚▽゚ リ<l「……その理由はたぶんあれやな。あんたらもさっき体験したやろ」
(´<_` )「……まさか」
( ´_ゝ`)「……記憶が塗り替わっている?」
リ゚▽゚ リ<l「せやな。……というよりは、リセットされていると言った方が正解に近いやろな」
ハ’ノ_’ ハ「リセット……?」
( ´_ゝ`)「……そういうこと?」
リ゚▽゚ リ<l「この一か月。月例祭の一日が繰り返されてるんや」
(´<_` )「なん……だと……」
108 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:20:56 ID:ikYlHdj60
リ゚▽゚ リ<l「あんたらが来たのが初めての変化や。正直気が狂いそうやったで」
( ´_ゝ`)「なるほどな……」
リ゚▽゚ リ<l「あ、いや……初めてというのは語弊があったな。 最初は三か月くらい前からいるって学者のおっさんも一緒やったんや」
(´<_` )「む?」
リ゚▽゚ リ<l「やけどな、一週間ちょい前にとうとう発狂してもうて……。 そのまま何や黒い煙に包まれて消えてもうたわ」
(;´_ゝ`)「なにそれ怖っ!」
(´<_`;)「……」
リ゚▽゚ リ<l「せやから正直助かったで、うちもそろそろ限界やなと思っとったから……」
ハ’ノ_’ ハ「ええと、ようやく飲み込めてきました。これは……まずいですね」
(´<_` )「かなりまずいです」
( ´_ゝ`)「あの時ハロルドさんが酔っぱらってたのが致命的だったな」
ハ’ノ_’ ハ「あー……全然覚えてないんですけど、何かすみません」
109 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:21:30 ID:ikYlHdj60
リ゚▽゚ リ<l「ところで、あんたらうちのこと知っとったみたいやけど」
( ´_ゝ`)「言ったろ、探偵だって」
(´<_` )「天丼の業火さんから依頼を受けまして、あなたを探していました」
リ゚▽゚ リ<l「……んー、ちょっと気になっとるんやけど。警察とかはどんな感じやったん? 何で家族とかじゃなくて天ちゃんが、それも探偵に依頼してるんやろ?」
( ´_ゝ`)「それが妙なことに、一部の例外を除き茜ちゃんさんの存在を記憶してなくてな」
リ゚▽゚ リ<l「は?」
(´<_` )「友田千早さんはご存知ですよね?」
リ゚▽゚ リ<l「あ、うちのリア友やで」
( ´_ゝ`)「木葉茜なんて知らないって」
リ゚▽゚ リ<l「……マジ?」
( ´_ゝ`)「マジ」
(´<_` )「アパートの大家さんもそんな入居者はいなかったと言っていましたね」
リ゚▽゚ リ<l「えぇー……」
110 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:22:03 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「かつKONOZAMAの配送業者はどうも認識してたようなんだよな。 これらの状況を見る限り、リアルで知っている人間は忘れているようだと仮定できる」
リ゚▽゚ リ<l「……そういうことなんか? 天ちゃんとオフ会とかしてなくて助かった感じ?」
(´<_` )「そうかもしれません」
リ゚▽゚ リ<l「はぁー……まさかそんなことになっとったとはな」
( ´_ゝ`)「こっちの台詞だな。想定の斜め上だ」
リ゚▽゚ リ<l「ちなみにどんな想定しとったん?」
( ´_ゝ`)「探偵ゲーム」
リ゚▽゚ リ<l「は??」
(´<_` )「……頭のおかしい奴が仕掛けたリアル推理ゲーム、が直近の予想でしたね」
リ゚▽゚ リ<l「なんやそれ?? ……いや、そうか、残された情報だけ見るとそうなるんか……?」
( ´_ゝ`)「一応オカルトな事件に巻き込まれた可能性もあるとは思ってたけどね」
(´<_` )「オカルトを第二候補以降にしてたのは、奇妙な記憶の消え方からだったか」
( ´_ゝ`)「そう。歯抜けにする意味がないし、そもそも記憶操作ができるなら自発的に行方をくらましたようにも偽装できる」
111 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:22:37 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「……今の状況から察するに、記憶操作は儀式によって自動的に行われると推察できる」
(´<_` )「なるほど、その条件が直接見知っていることだったと」
ハ’ノ_’;ハ「いや、待ってください。それ、とんでもない魔術ですよ」
( ´_ゝ`)「やっぱりそう思う?」
ハ’ノ_’;ハ「目の前にいる対象に記憶操作を施すのだって結構高度な魔術です。 それを遠隔で無数の相手にだなんて……」
(´<_` )「専門家の目から見てもそうなりますか」
リ゚▽゚ リ<l「専門家……? ってか普通に話してるけど魔術って?」
( ´_ゝ`)「実はこの人、ほんまもんの魔術師。魔術が使える」
リ゚▽゚ リ<l「……マジ?」
( ´_ゝ`)「マジ」
リ゚▽゚ リ<l「凄いな」
(´<_` )「同行して貰って正解でした」
ハ’ノ_’;ハ「はは……どこまでお役に立てるのか既に不安しかないですけどねぇ」
112 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:23:19 ID:ikYlHdj60
ハ’ノ_’ ハ「ン……諸々踏まえると、恐らくは記憶操作というよりは概念操作の結果と考えるのが正解に近そうです」
( ´_ゝ`)「概念操作?」
ハ’ノ_’ ハ「対象の人物が"存在する"という概念を"存在しない"に捻じ曲げた、といったところでしょうか」
(´<_` )「そんなことが可能なんですか?」
ハ’ノ_’ ハ「普通は無理です。恐らくは、さくのかみ様とやらがそういった権能を持っているのでしょう。 そして儀式により権能が行使された……そんな権能を行使できるとかヤバすぎて信じたくないですけどね」
( ´_ゝ`)「なるほどな」
(´<_` )「だとすると、天丼さんや他のフォロワーの記憶が残っていたのは?」
ハ’ノ_’ ハ「あくまで推測ですが、電脳の世界は一つの異界と言っても過言ではありません。 権能が電脳の世界まで及ばなかったと、そういった可能性が考えられます」
( ´_ゝ`)「ふむ、いかにもありそうだな。一旦すっきりした」
リ゚▽゚ リ<l「いやすっきりしとる場合ちゃうで」
(´<_` )「ごもっともです」
( ´_ゝ`)「まあそうなんだけどさ」
113 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:23:57 ID:ikYlHdj60
リ゚▽゚ リ<l「うちもおっさん――田中さんと一緒に結構色々試したんやけどな、結果は御覧の通りや」
( ´_ゝ`)「うーん……色々というと?」
リ゚▽゚ リ<l「まず、船は駄目やったな。乗れることは乗れるんやけど、島からある程度離れたところで振り出しに戻されるで」
(´<_` )「それは、実際に乗ってみたということですか?」
リ゚▽゚ リ<l「せやで。おっさんから聞いたけど信じられんかったからな」
( ´_ゝ`)「妥当。俺らも乗ってみるか」
ハ’ノ_’ ハ「ですね。ところでその時、船に乗っていなかったらどうなるんでしょうか?」
リ゚▽゚ リ<l「ん、おっさんから聞いた話やけど。うちが船に乗った後一緒に戻ってしまったみたいやな」
ハ’ノ_’ ハ「ふむ」
(´<_` )「となると、裏の船着き場から船に乗っても同じことになりそうですね」
リ゚▽゚ リ<l「それはうちは試してないけど、おっさんによるとそうだったみたいや」
( ´_ゝ`)「他には?」
114 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:24:31 ID:ikYlHdj60
リ゚▽゚ リ<l「あの社が原因やろと思ってな、叩き壊しに行ったりだとか」
( ´_ゝ`)「ヒュウ」
(´<_` )「え、それ大丈夫だったんですか?」
リ゚▽゚ リ<l「全然大丈夫じゃなかったな」
( ´_ゝ`)「ちなみにその田中っておっさんはそれは試してなかったのか?」
リ゚▽゚ リ<l「猟銃持った見張りがいて一人じゃどうにもならんかったらしいで。 それでも何回か試したとは言うとったけど」
(´<_` )「見張りがいるんですか……」
( ´_ゝ`)「ってことはあれか、おっさんが囮にでもなったか」
リ゚▽゚ リ<l「そういうことや。……結局うち一人じゃ壊すにも限界があってあかんかったんやけど」
ハ’ノ_’ ハ「それで、どうなったんです?」
リ゚▽゚ リ<l「死んだ」
( ´_ゝ`)「……ま、そうなるよな」
リ゚▽゚ リ<l「まあ死んでも結局振り出しに戻ったんやけど」
115 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:25:04 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「えげつねぇな」
(´<_` )「死んでも終わらない……精神が崩壊するまで、ってことか」
リ゚▽゚ リ<l「どうもそういうことみたいや。 儀式の場でさくのかみ様に祈りながら首切ったりもしてみたんやけど」
ハ’ノ_’;ハ「えぇ……よくそんなことできますね」
リ゚▽゚ リ<l「んー、まあそうやな。既にちょっとおかしなっとる自覚はあるわ」
(´<_` )「……朔夜、か」
( ´_ゝ`)「ん?」
(´<_` )「さくのかみはイワサク・ネサクと関係していると思っていたが、そっちの裂ではなく朔。 つまりは新月に纏わる神と考えるのが妥当そうだ」
リ゚▽゚ リ<l「あー……確かに朔夜参り、昨夜や咲夜ではないやろしな」
(´<_` )「月例祭ごとに儀式が行われていることにも納得がいくし、もしかして今日は新月なんじゃないか?」
( ´_ゝ`)「……あ! そういや携帯電波来てるか?」
リ゚▽゚ リ<l「携帯はこうなってから完全に駄目やな」
(´<_` )「む、そうなんですね」
116 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:25:38 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「むぅ……いや、問題ない。弟者のPCならその辺の情報も色々入ってるはず」
(´<_` )「うむ。PCじゃなくて外付けのストレージだけどな」
ハ’ノ_’ ハ「後で見てみますか」
リ゚▽゚ リ<l「凄いな、百科事典でも入っとるんか?」
(´<_` )「ええまあ、それも含めて色々と」
( ´_ゝ`)b「流石だな、弟者」
(´<_` )「ネットに接続できない状況なんて意外とあるからな」
( ´_ゝ`)「で、何だっけ。新月の神?」
(´<_` )「ああ。新月の神というとそう多くはない。パッと思い浮かぶところではヘカテーか」
リ゚▽゚ リ<l「名前は聞いたことあるな」
ハ’ノ_’ ハ「ギリシャ神話の女神ですね。新月や闇夜、出産を司る死の女神であり、魔術の女神でもある」
(´<_` )「ええ。ですがギリシャ神話以前の時代から存在するらしいですよ」
( ´_ゝ`)「そうなのか」
(´<_` )「あくまでらしい、だけどな」
117 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:26:11 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「でもさくのかみのご利益とはちょっと繋がらん気がするな」
(´<_` )「そもそも、さくのかみのご利益と今回の事象が繋がらないだろ」
( ´_ゝ`)「それは確かに」
ハ’ノ_’ ハ「うーん、ヘカテーか……欧州の魔術師の間では結構信仰者が多いんですよ」
(´<_` )「ああ、ウイッチクラフトですね」
ハ’ノ_’ ハ「そうです、中にはちらほら魔術師の団体もあるので。 魔術の神というくらいですし、ギリシャ神話での逸話もなかなか凄いものだと聞きます。 とはいえその権能を大規模に行使する儀式というのは聞いたことがないですが……」
(´<_` )「そもそも権能が繋がるかというと……うーん、微妙なとこですね」
( ´_ゝ`)「……俺は若干、出産ってのが引っかかったがな」
リ゚▽゚ リ<l「あー、それな。うちもや」
(´<_` )「む?」
( ´_ゝ`)「吉野さんと山口さん、夫婦ってのは真っ赤な嘘」
(´<_` )「……そうなのか?」
( ´_ゝ`)「なーんか、おかしいんだよな。関係を隠してるわけでもなさそうだし、何で嘘をつく必要があるのか」
118 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:26:58 ID:ikYlHdj60
リ゚▽゚ リ<l「うちは子供の数が多いのが気になるな。離島でこれはちょっと普通やないで」
( ´_ゝ`)「確かにな」
(´<_` )「……俺らみたいな生贄を養分にその辺を何とかする魔術?」
( ´_ゝ`)「んー……過疎化の原因って子供が産まれないことじゃなくて若者が都会に出てっちまうことだからな。 直接的にどうこうってのはちょっとイメージつかない」
ハ’ノ_’ ハ「そうですね……妊娠しやすくなる魔術とかはありますが」
リ゚▽゚ リ<l「それじゃ解決にはならんやろな」
( ´_ゝ`)「あー……皆が年齢より若々しいことによる副産物、か?」
(´<_` )「……生殖可能年齢が普通より高い?」
リ゚▽゚ リ<l「それはあるかもわからんな、何なら50代の妊婦もおるし」
ハ’ノ_’ ハ「とはいえ次々出て行ってしまえば結局駄目そうですが」
( ´_ゝ`)「多産で何とか持ち堪えてる、ってとこなのかね」
リ゚▽゚ リ<l「……なあ、思っとったんやけどこんな推論が脱出に繋がるんか?」
(´<_` )「可能性は。少なくとも普通に思いつく範囲はお二人が試していそうですし」
( ´_ゝ`)「自殺までやらかしてるくらいだからな……」
119 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:27:32 ID:ikYlHdj60
ハ’ノ_’ ハ「さくのかみと儀式について知ることができれば、脱出する方法も見えてくると思います」
( ´_ゝ`)「正直それしかないよな。後は俺らならお社を破壊する手段も取れなくはないが」
(´<_` )「それを試すのはもう少し切羽詰まってからの方がいいな」
ハ’ノ_’ ハ「いくらなんでも多勢に無勢ですし、死なないとはいえ死にたくないですしね」
リ゚▽゚ リ<l「なんやめっちゃ頼りになるなあんたら。 多少なり希望が見えて正直ちょっと興奮しとるで」
( ´_ゝ`)「なんだ惚れたか?」
(´<_` )「黙れ」
( ´_ゝ`)「はい……」
リ゚▽゚ リ<l「はは。本当に脱出できたら惚れたフリくらいはしたってもええで?」
( ´_ゝ`)「惚れるかもとかじゃなくてフリってとこが拒絶力高いな」
(´<_` )(あー、もしかして敢えてこんなこと言ってる?)
( ´_ゝ`)(長丁場になりそうだしな、吊り橋効果とかで変な感じになってもお互いにとってよくない)
120 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:28:06 ID:ikYlHdj60
リ゚▽゚ リ<l「あ、船来たで」
( ´_ゝ`)「ほんまや」
(´<_` )「口調がうつってるぞ」
ハ’ノ_’ ハ「とりあえず乗ってみます?」
( ´_ゝ`)「そうだな、そうしようか」
リ゚▽゚ リ<l「あ、ならうちは残るで。実際振り出しに戻るのか確認しとくわ」
(´<_` )「わかりました」
( ´_ゝ`)「さあて普通に駄目そうではあるが……」
―――。
121 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:28:40 ID:ikYlHdj60【フェリー】 _ ノ |_ ll__l---||_ Nice boat. rj「l__`ー' ヽlーj L---┐ |―┴┴―`ーrュ-‐< ̄.ィj .__jl |[][][][][][] i """ _..,,rr=''´ l l ̄ ̄ ̄ ̄/7-‐'´ / f jL-、 _-‐' -‐´~~ ヽ |  ̄ _j_ -‐'~´~~ `ー~´~~~~
122 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:29:14 ID:ikYlHdj60
(´<_` )「ふむ、ちょっと離れたけどまだ暗転しないな」
( ´_ゝ`)「意外と行けちゃったりしないかな?」
(´<_` )「ない気がするが」
ハ’ノ_’ ハ「仮に行けちゃったりしたらどうします?」
( ´_ゝ`)「正直困る」
(´<_` )「えぇ……」
( ´_ゝ`)「考えてもみろ。たぶんここは現実世界ではない」
(´<_` )「ん……そう、か。その可能性は、否定できないな」
( ´_ゝ`)「茜ちゃんさんの言う通りにならずに普通に帰れちまったりしたら、 それこそいつ何が起きるか、どうしたらいいかも全然わからん」
ハ’ノ_’ ハ「……確かに、ここは恐らく異界なんでしょうね。 時間の流れを遡るのは……最高位の神格が直接降臨でもしない限り難しい」
( ´_ゝ`)「可能性はあることにびっくりだよ……」
123 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:30:12 ID:ikYlHdj60
(´<_` )「すると何だ、時間が巻き戻っているわけではなくて世界ごと再構築されてるってことか?」
( ´_ゝ`)「素人目にはそっちの方が大事に感じるが」
ハ’ノ_’ ハ「時間の速度を操ることはできても、遡るのはほぼ不可能ですよ。 それは、それこそ宇宙をその時点の粒子・エネルギーの配置に再構築するしかない」
( ´_ゝ`)「……つまり、原理は同じだけど規模が違い過ぎて現実世界での時間遡行は困難ってことか?」
ハ’ノ_’ ハ「そういうことですね、切り離された異界であれば再構築も現実的です。 つまり、時を遡っているかのような事象が起きている時点で、ここは現実世界ではない可能性が高い」
(´<_` )「なるほど」
( ´_ゝ`)「ここの違いは壮大な誤謬に繋がりそうだからな、ハロルドさんいて助かった」
(´<_` )「しかし、兄者はどうして現実世界ではないと思ったんだ?」
( ´_ゝ`)「茜ちゃんさんと俺らが出会った辻褄が合わないんだよ、ここが現実なら。 時間が進んでないはずなのに一か月という経過時間が一致している」
(´<_` )「あ、そうか。本当に一日が繰り返しているなら、俺らが辿り着くのは彼女が消えた後になるはず」
( ´_ゝ`)「そういうこと。ちゃんと一か月経ってんだよ、繰り返してるだけで」
124 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:30:48 ID:ikYlHdj60
(´<_` )「そう考えるとあれだな、この世界的には俺らの認識している日付と彼女の認識している日付、どっちになるんだ?」
( ´_ゝ`)「あ、確かに。そこんとこどうなってんだろ?」
ハ’ノ_’ ハ「スマホの日付はこちらに到着した日ですが」
( ´_ゝ`)「茜ちゃんさんのスマホは違ってる可能性が高いな」
(´<_` )「更に言うと、島内のカレンダーはどうなってるのか」
( ´_ゝ`)「何の確証もないが、それぞれ別の日付に見えるんじゃないかという気がしてきた」
(´<_` )「あー、いかにもありそう。その理屈で言うとお互いのスマホもそうかもな」
ハ’ノ_’ ハ「今のところそこの矛盾をどうこうする必要性はなさそうですし、触らない方がいいかもですね」
( ´_ゝ`)「確かに、あんま精神衛生上よくなさそうな感じだし」
(´<_` )「何か新事実がわかった時に振り返るくらいか」
ハ’ノ_’ ハ「ですね、脱出に関係ないと言い切れるわけでもないですから」
125 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:31:22 ID:ikYlHdj60::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
126 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:31:56 ID:ikYlHdj60
Case11「捜朔島」 Day3「朔の神」
To be continued...
127 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:32:38 ID:ikYlHdj60Case11-Day4A┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ || |──┐ | ┌――─────┐ | ┌――─────┐ | ┌――─────┐ || |__,」 | l_________,| | l_________,| | l_________,| || |____|___________|___________|___________|| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄. / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ / \ / \ / \ / \ l二二二二二二二二二二二二二ニ二二二二二二二二二二二二l | |l l | | |_,,ソ !,|_,ン
128 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:33:11 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「む……なるほど?」
(´<_` )「ここは……」
ハ’ノ_’ ハ「おや……?」
八‘⊿‘)「おはようございまーす!」
( ´_ゝ`)ノ「おはよう」
(´<_` )「おはようございます」
リ゚▽゚ リ<l「おはようさんやで」
( ´_ゝ`)ノ「ちょっと質問」
八‘⊿‘)「はい? なんでしょう?」
( ´_ゝ`)「俺らがこの島に来た目的って覚えてる?」
八‘⊿‘)「え? 観光でしたよね?」
( ´_ゝ`)「あー、なるほど」
( ´_ゝ`)(初手でこのやり取りしてたら軽く精神ダメージ入ってそう、茜ちゃんさん感謝)
129 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:33:45 ID:ikYlHdj60
(´<_` )「あの、既にお聞きしてたらすみません。滞在中の食事はどうすればいいんでしたっけ?」
八‘⊿‘)9m「あそこの保存食は1つ100円で食べて頂いて大丈夫です。 今夜は月例祭なので、お夕飯は心配しなくても大丈夫ですよー」
( ´_ゝ`)「なるほど」
(´<_` )(ふむ、停まりタイミングの違いによる差異は吸収されているか)
リ゚▽゚ リ<l「あんな、うちら観光で来たやろ? この島の歴史とかそういうの、興味あってな」
八‘⊿‘)「はい」
リ゚▽゚ リ<l「そういうの載ってる郷土資料とかってどっかにあるんか?」
八‘⊿‘)「あるのはこの公民館の蔵書くらいですね」
リ゚▽゚ リ<l「それはもう読ん――じゃない、他にはないんか?」
( ´_ゝ`)(流石にそれくらいは既読か)
130 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:34:18 ID:ikYlHdj60
八‘⊿‘)「他ですか? うーん……もしあるとしたら村長の家かな?」
リ゚▽゚ リ<l「なるほどな。じゃ、ちょっくら村長の家まで行ってくるで」
八‘⊿‘)「あ、はい。今すぐですか?」
リ゚▽゚ リ<l「せやな」
八‘⊿‘)「じゃあご案内しますね」
リ゚▽゚ リ<l「あ、それはええわ」
八‘⊿‘)「え?」
リ゚▽゚ リ<l「村長には昨日挨拶したからな、家の場所は知っとるで」
八‘⊿‘)「あ、そうだったんですね」
( ´_ゝ`)「んじゃ行くか」
―――。
131 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:35:28 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「確かに、戻ったな」
リ゚▽゚ リ<l「こっちも同じやな。いきなり暗転しよった」
(´<_` )「しかし、村長宅ですか。何かあるとしても素直に見せてくれるとは思えませんね」
ハ’ノ_’ ハ「でしょうね。まあ言ってみるだけならいいんじゃないですか?」
( ´_ゝ`)「だな。……忍び込むことを考えて警備状況とか、あと結界とかあれば把握しておきたいな」
ハ’ノ_’ ハ「パッシブ探知でいけるとこまででいいですかね?」
( ´_ゝ`)「バレない範囲なら何でも。最悪バレてもしょうがないが、なるべくメンタルは温存したい」
リ゚▽゚ リ<l「そうした方がええで。あんな、死ぬのってほんとメンタル削れるんや」
(´<_` )「そりゃそうでしょうね……」
リ゚▽゚ リ<l「おっさんによるとうちの前に来た奴は一発崩壊したらしいで? それを思うとうち意外とメンタル強かったんやなって」
( ´_ゝ`)「うわぁ……」
132 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:36:01 ID:ikYlHdj60【村長宅】二二二二二二!└―‐/ ' ., .| !_ |:::! |‐‐‐‐‐┬‐‐‐┐ .「 ̄フ___________________________________________________________________________________________________ヽ.゚| !_ |:::! | .| ゚| .| `'‐', |l‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐┬┬――――‐‐‐‐‐‐‐‐―‐‐‐‐.┬┬――――..┐┌ | !_ |:::! |‐‐‐‐‐┼‐‐‐┤ .| `l〔  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 二二二二二二二二二二二二  ̄ ̄ ̄ ̄ ゚̄ i: :|!| | !_ |:::! | .| ゚| .| || .「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ! 「| | | | | | | | | | | |!| | | | | | | | | | |!「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄! . i: :|!| | !_ |:::! |‐‐‐‐‐┼‐‐‐┤ .| || .| 冂..! !.| | | | | | | | | | | |!| | | | | | | | | | |!| .! . i: :|!| | !_ |:::! |_._______.|.______.| .| || .| 凵..! !.| | | | | | | | | | | |!| | | | | | | | | | |!| .! . i: :|!| | !_ |:::! | .| ゚| .| || .| ! !.| | | | | | | | | | | |!| | | | | | | | | | |!| .! . i: :|!| | !_ |:::! |‐‐‐‐‐┼‐‐‐┤ .| || .| __ . ! !.| | | | | | | | | | | |!| | | | | | | | | | |!| .!ニ.ニニニ.!_ ! . i: :|!| _|_|____|:::! | .| ゚| .| || 」.「゚゚ ̄ ̄ ̄}:| ! !.|――――――!.|―――――‐l.| .|| ̄ ̄¨|ヽ! . i: :|!| _「:| __ .!」__」_________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ..| |:!_ ! !.|――――――!.|―――――‐l.|  ̄ ̄ ̄ . ! . i: :|!| _!::| |石| ! | | |:!_ ! !.| | | | | | | | | | | |!| | | | | | | | | | |!| .! . i: :|!| _!::| |田| !――――――|――――‐.| |:!_ ! !.| | | | | | | | | | | |!| | | | | | | | | | |!| .! . i: :|!| _!::|  ̄ .!--------- | | |:!__! !.| | | | | | | | | | | |!| | | | | | | | | | |!| .! . i-、`ヽ、 .!::| .!._______.___________|_______________| |:! . ..!.|二二二二二二!二二二二二二l.! ̄ ̄ ̄ ̄ ̄{ . 」‐、 ` ゚!::| .!______________ | | |:!''''ィニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニゞ'''''''''''''''''''''''''''''' ヽ、!::| .! | | |:! ィ、二二ニニゝ `!::| .!‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐|‐‐‐‐‐‐‐‐‐.| |:! ヾ、 ̄ ̄ ̄¨¨¨''''ヽ !::| .!______________ | | |:!  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .!::| .! | | |:! >‐‐‐‐‐‐‐-----=====--、_ . !::| .!‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐|‐‐‐‐‐‐‐‐‐.| |:! .`'‐------------‐‐‐‐‐''''¨¨´ .!::| .!‐‐‐‐‐‐‐‐‐ | | |:! .!::| .!
133 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:36:35 ID:ikYlHdj60
ハ’ノ_’;ハ「うっ」
( ´_ゝ`)「どうした?」
ハ’ノ_’;ハ「いやはや……パッシブで探知できるものだけでも結構な結界です」
( ´_ゝ`)「そんな気はしてた」
(´<_` )「いざという時は例の手筈で」
リ゚▽゚ リ<l「なんやちょっとワクワクするなその言い回し」
( ´_ゝ`)「わからんでもない」
(´<_` )「いやうんまあわかるけどさ」
ハ’ノ_’;ハ「いやこれ村長本人かわかんないですけど確実に高位魔術師いますよ」
( ´_ゝ`)「そんな気はしてた」
(´<_` )「まあ想定内だな、力づくで交渉するとかは難しそうだ」
134 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:37:08 ID:ikYlHdj60【村長宅 居間】┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ || |┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ || |──┐ | ┌――─────┐ | ┌――─────┐ | ┌――─────┐ || |__,」 | l_________,| | l_________,| | l_________,| || |____|___________|___________|___________|| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄. / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ / \ / \ / \ / \ l二二二二二二二二二二二二二ニ二二二二二二二二二二二二l | |l l | | |_,,ソ !,|_,ン
135 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:37:41 ID:ikYlHdj60
利 'ー`)「やあどうも、村長の石田純一だよ」
リ゚▽゚ リ<l「木葉茜や」
( ´_ゝ`)「流石文夫」
(´<_` )「同じく和夫」
ハ’ノ_’ ハ「? ハロルド・エンヴィーです」
( ´_ゝ`)(こうなっちゃ一々名前の下りやるのも面倒だからな)
利 'ー`)「さて、何のご用かな?」
リ゚▽゚ リ<l「あんな、うちらこの島の歴史とかに興味あんねん。 郷土資料とかあったら読ませて貰いたいと思ってな」
(´<_` )「吉野さんに訊ねたら村長の家にならあるかも、と伺ったので」
利 'ー`)「なるほど」
( ´_ゝ`)「実際そういうのある?」
利 'ー`)「あるよ」
( ´_ゝ`)「えっ?」
136 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:38:15 ID:ikYlHdj60【村長宅 書庫】────── -、=|! ! ||_, -──────============、ミ/!:::|| | ||_|ヽr============[|]_|_|」|_|,j_|_|_|_|]||::||=|| | ||_||::|||_|_]」_|_|_|_|_|_|」]三三三三三三]||::||: || | || ||::||[三三三三三三|_|_|_]」_|_|_|_|_|_|」||::||=|| | ||_||::||!|_]」_|_|_|_|_|_|」」三三三三三三]||::||: || | || ||::||[三三三三三三|_| |_|]」_|_|_|_|」]_i||::||=||/ ヾ||::||i[l| |_|]」_|_|_|_|」]_三三三三三三]||::|| ̄ ||::||[三三三三三三|_|_|_]」_|_|_|_|_|_|」||/ ヾ:||:|_|_]」_|_|_|_|_|_|」」 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ \
137 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:39:20 ID:ikYlHdj60
リ゚▽゚ リ<l「うーん……」
( ´_ゝ`)「案の定というか、あんま大したもんないな」
(´<_` )「五島の歴史みたいなのばっかだからな、この島についてはちょろっとしか出てこない」
ハ’ノ_’ ハ「魔術書の類もなさそうです」
リ゚▽゚ リ<l「さくのかみについての文献は多少あったけどな」
( ´_ゝ`)「さくのかみは朔の神で、故に捜朔島。新月の夜に月例祭が行われる」
(´<_` )「逸話はどれも興味深いな。急な嵐で多くの若者を失ったとき、老人達が若返った。 流行り病で多くの子供が犠牲になったとき、女たちは子宝を授かった。 黄泉からの稀人が朔夜参りで冥界に還る、見送った者たちは健康長寿になった」
( ´_ゝ`)「稀人エピはまんま今の俺らだな……」
リ゚▽゚ リ<l「冥界から来たつもりはあらへんけどな」
(´<_` )「若返る老人達というのは島の状況と一致しているし、子宝もだな。 出産と冥界という点でヘカテー説の確度が少し上がった」
138 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:39:54 ID:ikYlHdj60
リ゚▽゚ リ<l「もっとこう、何かないもんやろか?」
( ´_ゝ`)「家探ししてみる?」
ハ’ノ_’ ハ「やめた方がいい。結界ですぐにバレますよ」
(´<_` )「となると、どうするか……」
( ´_ゝ`)「次の出方を考える必要があるな。一旦公民館戻るか」
ハ’ノ_’ ハ「そうしましょう。ここは居心地が悪い」
リ゚▽゚ リ<l「ほな一言挨拶してから戻ろか」
―――。
139 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:40:28 ID:ikYlHdj60【捜朔島 公民館】 | | | 捜 朔 島 公 民 館 |______|_________________________|_______ ヽ / ヽ /  ̄ ̄ ̄ ̄┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┣━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━ ┫ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ (←)┃(→) ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / \ / \ / \
140 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:41:01 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`)「さて、どうしたもんかね」
(´<_` )「他に穏当な手段で何かあるかというと」
リ゚▽゚ リ<l「んー、世捨て人の婆さんのとこでも行ってみるか?」
( ´_ゝ`)「何それ、そんな人いんの?」
リ゚▽゚ リ<l「おんねん。山の麓の小屋に住んどってな、狩人をしとる。 月例祭にも参加せえへんから疎まれとるけど、村八分とかやなくて一応存在を許容はされとる感じや」
ハ’ノ_’ ハ「変わった人なんですね」
(´<_` )「しかし、その口ぶりからすると以前にも訪ねたのでは?」
リ゚▽゚ リ<l「せやけどな。いくらか新しいこと知った今なら別の訊き方もできそうな気がするからな。 島で唯一といっていいくらいのさくのかみ信者やない人間やから、何か聞けるかもしれん」
( ´_ゝ`)「なるほどな」
(´<_` )「まあ、行ってみますか。他に思いつくこともないですし」
リ゚▽゚ リ<l「午前中は山ん中おるけど、昼頃には小屋に戻っとるはずや。腹ごしらえしてから行くで」
( ´_ゝ`)「おけ、そんじゃ飯にするか」
―――。
141 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/05/06(土) 23:41:35 ID:ikYlHdj60
( ´_ゝ`) ズー(´<_` ) ズー ハ’ノ_’ ハズー (っ. 川 .o (っ川 .o (っ川 .o ̄ ̄`ー―′ ̄ ̄`ー―′ ̄ ̄`ー―′ ̄\
( ´_ゝ`)b「「うめぇ……!」」d(´<_` )
Case11「捜朔島」 Day4A「資料漁り」
To be continued...