784 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:15:29 ID:pZsT8WA60前回のあらすじ・これは……驚きましたね。あなたは神具に認められたようだ・ばっちり。駄菓子屋の婆さんが明日読んでくれるってさ・ふふ。上の人が良い背中見せてくれると気合入るよね
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | 流石だよな、俺ら | \_ _____ __/ V V d( ´_ゝ`)人(´<_` )b \ /. \ / l l l l //l | | l\\  ̄  ̄.  ̄  ̄
【標準AA環境】
※右のAAのズレない環境が標準です。 | |\|/ | | | | ∧ ∧ |/⌒ヽ、| ∧_∧ | ∧∧ | |(,,゚Д゚)||,,゚ Θ゚)|(; ´Д`)|(=゚ω゚)|
785 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:16:03 ID:pZsT8WA60Case12-Day3 ______________ ((__((__((__((__((__((___(__((__((__((__((__((_) // / / / / / / / / / / / / / / / / // / / / / / / / / / / / / / / / / / /_/ //_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_ ∠=====@==@==@==@==@==@==@==@==@== | ┌─────┐ | | │| ̄ ̄|| ̄ ̄|│ | | │| .o||o. |│ | | │|__||__|│ | | └─────┘ | | | | /⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7 | |.. /⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7 | |_../⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7 ..____|/ |ヽ /二二二二二二二二二l/.゙,ハ__ノ乂_ゝ| エ | | | | .0||0 .| | |___匚ノ\/匚| |ヽ | | | |_ _||_ _| | |ヽ,ハ__ノ乂_ゝ| エ | | |..└─┘ └─┘ | |___匚ノ\/匚| |ヽ | | _|________..| |ヽ,ハ__ノ乂_ゝ| エ | | _|_______..| |___匚ノ\/匚| エ | |_|________..| |___匚ノ\/匚|/
786 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:16:37 ID:pZsT8WA60
88 @-@)「やあ、おはよう」
(’T’)「あ、おはようございます。……え、古文書解読できる人って小川さんですか?」
( ´_ゝ`)「小川さんが町のご意見番で古文書解読できるって、町長達の間じゃ常識みたいな感じだったけど。 おたくらの情報収集どうなってんの??」
(;’T’)「いやぁー……これは耳が痛い」
(´<_` )「今それを責めてもしょうがないだろ」
( ´_ゝ`)「かつての神奈川県警のような惨状では責めたくもなる」
(;’T’)「甘んじて受けます」
88 @-@)「何の話だい?」
( ´_ゝ`)「ん、町の人のこともうちょっと知っとこうよって話」
(´<_` )(うん、だいたいあってる)
88 @-@)「確かに、もうちょっと皆と交流した方がいいよ。孤独は体に悪いからね」
(’T’)「は、はい。そうします……どうも引っ込み思案でいけませんね」
787 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:17:10 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「陸船亭行けば誰かしら絡んでくると思うよ。酒飲めなくても料理うまいし」
(’T’)「なるほど……」
88 @-@)「則康ちゃんはいつも入り浸ってるしね」
(´<_` )(則康……町長の下の名前か)
( ´_ゝ`)「小川さんは行かないの?」
88 @-@)「やあね、しょっちゅう行ってちゃ火の車だよ。たまには食べにいくけどね」
( ´_ゝ`)「あー、なるほど」
(´<_` )(町長はともかく、盛岡さんも意外と羽振りよさそうだもんな。 次期町長候補なことも考えると有力者の息子とかなのか?)
88 @-@)「さて、それはそれとして。解読したいのはどれだい?」
(’T’)「ご案内します」
―――。
788 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:17:43 ID:pZsT8WA60
(’T’)「こちらの棚です」
88 @-@)「おやまあ……随分あるね。全部読んでちゃ時間が足らないよ」
( ´_ゝ`)「だよね。とりあえずタイトル翻訳して貰っていい? そっから的を絞る」
(´<_` )「それしかないだろうな」
88 @-@)「それなら小一時間くらい待っとくれ」
( ´_ゝ`)「了解。んじゃ俺らも昨日の続きといくか」
(´<_` )「いや、ちょっと待て」
( ´_ゝ`)「ん?」
(´<_` )「小川さん、よかったらこれをどうぞ」
( ´_ゝ`)「あ、忘れてた」
88 @-@)「ん、これはお茶かい?」
(´<_` )「頭をすっきりさせるお茶です。疲れたら飲んでください、あんまりうまくはないですが」
88 @-@)「へぇ、そりゃいいね。ありがたく頂いておくよ」
789 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:18:17 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)(効果は気休めレベルに下がったけど、割と飲めるくらいになった例の陰陽茶)
(´<_` )(青汁と同等くらいのまずさだから、ギリ人にも飲ませられる)
( ´_ゝ`)(思うようにいかなくてマスターも苦い顔してたな)
(´<_` )(だが、気休めレベルとはいえ貴重なメンタル回復アイテム)
( ´_ゝ`)(あるとないとじゃ大違い)
(´<_` )(下手に割ったりすると効果なくなるってんだから難しい)
( ´_ゝ`)(近頃の飲みやすい青汁みたいにはいかないってわけだ)
(´<_` )(解読でメンタルやられても申し訳ないし、これくらいはな……)
( ´_ゝ`)(気休めレベルじゃない方はまずすぎて気軽に勧められん)
(´<_` )(あっちはマジでヤバそうな時用だな……)
( ´_ゝ`)(まあ小川さんめっちゃメンタル強そうではあるけどね)
790 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:18:50 ID:pZsT8WA60
(’T’)「あの、一緒に見させて頂いていいですか? 少し勉強しておきたくて」
88 @-@)「もちろん構わないよ。むしろ勉強して貰わなきゃ困るね、千手様の神主さんなんだから」
(’T’)「す、すみません」
88 @-@)「まあ最初から全部はできないよね。一つづつ身に着けていきなさいな」
(’T’)「はい!」
( ´_ゝ`)(小川さんの人徳を感じる。一目置かれるだけあるな)
(´<_` )(ツルさんといい、しっかり歳を重ねたご老人はやっぱり凄いな)
( ´_ゝ`)「あれ? 俺らだけで社務所入っちゃって大丈夫?」
(’T’)「あー……鍵だけちゃんと掛けて頂ければ」
( ´_ゝ`)「了解」
(´<_` )「いいんですか? 見られたくないものとか」
(’T’)「秘伝の書のデータくらいですが、昨日お渡ししたゲストアカウントでは見られないので」
(´<_` )「なるほど」
( ´_ゝ`)「そういうことなら行くか」
―――。
791 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:19:23 ID:pZsT8WA60【千手神社 社務所】 |============================| .:.:| | | | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |============================| .:.:| | |] | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |============================| .:.:| | | | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ̄ ̄|============================| .:.:| | |____|__,| ̄ ̄|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |============================| .:.:| |‐‐‐‐‐‐‐‐‐ー:| |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :二二|三三三三三三三三三三三三.:/ ̄ ̄ ̄/| | ̄ ̄ ̄| |¨¨¨ | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |::| | || .|¨¨¨ | ̄ ̄ ̄|::::| | | l :| |: : : :| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |::| | || | ̄| : | |::::| |___|_|___,| |: : : :| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | |::| | |.:| ̄ ̄ ̄ ̄| |::::| |二二二二二Л .|: : : :| | | ̄ ̄─| ̄ ̄ ̄|─ | ̄| ̄| ̄| | | |::::|_ |二二二二ニ√| |: : : :| | |二二二二丁¨ | | |TTT:i冖i=============i´| | ̄ ̄ ̄ ̄~/ | |: : : :| | | | |: : : : | |: : :|_|_| | | | | | | |二|| :| |:::::::::::::::::::::/ /| |: : : :| | |_|二二「」 /|__/|/\ | |_|,____ | ̄|| :| l=======/ /=| |: : : :| | ||三/ ̄/|___|/|\:.:.:.\┘ /| |二|| :| |___/__/\| |: : : :| | |/__/|三|/ \ \/| /:|/| |:/ ̄ ̄|ニニニニ/||==i| |: : : :| | | ̄ ̄ ̄/:|二二二]/::\|// :|: : | |{ {三}二つ/ _|.:.:| | _|: : : :| | |____/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/| /|: : | |乂_| |. . . ..} ̄|.:.:.:| :| ./ |: : : :| |二二|/ 二≫=- / |/ |: / ̄ ̄ ̄\| |.....┏━|.:.:.:.:| | / : |: : : :| |: / /| |/::::::::::::::::::::::::/| |`|¨¨¨¨|.:.:.:.:.:|¨l :| ̄ |: : : :| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| / .:| /|ー------ー ´ノ:ノ.:|¨¨¨ |.:.:.:.:.:.:|_l_:| |: : : :| |_________ |/ .:/|/ |`¨i¨i¨¨i¨¨¨~´  ̄ ̄|.:.:.:.:.:.:.:| /| |: : : :|__________ | / .:| |_|_,| ̄|___ .:/ `¨¨¨¨´//| |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |/ | |─‐/ /──‐◯ ー───‐' | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | | /|: : / /: : : : : : : :. | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |/ |: :◯: : : : . . .. | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | /|: : : : : : : . . . |__|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | /: :.:|: : : . . . . |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
792 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:19:57 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`) /⌒ ヽ (´<_` ) | | / \ | ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ ヽ ____|. |. ヽ FMV ヽとニ__) ⊂ u) ヽ_____ヽ/
( ´_ゝ`)「なあ」
(´<_` )「何だ?」
( ´_ゝ`)「今更だが。連中の本拠地を突き止めるまではいい。その後どうするんだ?」
(´<_` )「本当に今更だな。……実は良いプランがない」
( ´_ゝ`)「……そう来たか」
(´<_` )「どう考えても、連中は浮鮫が湧いたという推定拠点を起点に千手様支配に動く。 そこまでは良いが、どうするのが良いのかは正直わからん」
( ´_ゝ`)「岩手の特課は御覧の体たらくだしな。中央まで危機を伝えられればワンチャンあるのか?」
(´<_` )「それは一つある、今回はある程度時間の猶予がありそうだからな」
793 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:21:37 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「あとは、雨霧さんやマスターに特攻してもらう?」
(´<_` )「いくら雨霧さんでも流石に死にそうだ。マスターもそこまでする義理があるとは思えん」
( ´_ゝ`)「俺らでスニーキングミッションは……流石に死ゾ」
(´<_` )「ありえん。俺らもそこまでする義理はない」
( ´_ゝ`)「……これ、詰んでね?」
(´<_` )「そこで相談だ兄者。特課が駄目そうなら手を引く」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「俺らは探偵だ。敵のアジトを突き止めたなら、それは探偵として十分な働きだろう」
( ´_ゝ`)「まあ、そうだな。こっちの特課はその道は素人以下のようだし」
(´<_` )「"最低限の正面戦力は揃えた"という特課の成り立ちが真であるなら、 切った張ったを任せることは理論上可能なはず」
( ´_ゝ`)「"技術的には可能です"ってやつだなたぶん」
794 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:22:10 ID:pZsT8WA60
(´<_` )「そうなればこっちとしちゃ諦めるしかない。マジで最悪の事態なら自衛隊も出てくるだろうし」
( ´_ゝ`)「そんなことになりゃ日本中どころか世界中大パニックになりそうだ……」
(´<_` )「それも必要なことなのかもしれん。最近はそう思わなくもない」
( ´_ゝ`)「まあ、なあ……」
(´<_` )「もう一つ思うのは、何も敵のアジトに乗り込む必要はないのでは、ということだ」
( ´_ゝ`)「ふむ。あくまで千手様降臨を防げりゃいいわけだからな」
(´<_` )「そこで重要になってくるのは降臨の方法だな。その制約がわかれば可能性が出てくる」
( ´_ゝ`)「九頭竜もあんだけ手順踏んでたしな、似たような話はあるかもしれん」
(´<_` )「増田家の巫女が必要なのは確定。あとは何か神具か、この場所なのか、はたまた生贄か」
( ´_ゝ`)「場所については、あるとしてもここではないだろうな。海から微妙に遠いし」
(´<_` )「神具が必要なのであれば前町長が持ち逃げしてる可能性が高い」
( ´_ゝ`)「何かなくなってるような痕跡がなかったか後で聞いてみるか」
795 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:22:44 ID:pZsT8WA60
(´<_` )「生贄は……正直なさそうな気がするな」
( ´_ゝ`)「ああ、少なくとも九頭竜みたいなのは。あそこまでいくと善神ヅラすんの流石に無理」
(´<_` )「あとは儀式か。これについては九頭竜よろしく面倒なものであって欲しいが」
( ´_ゝ`)「だな、手順が多いほど防ぎやすくなる。朔夜参りみたいな即時発動だときつい」
(´<_` )「前者であってほしいもんだ」
( ´_ゝ`)「まあ後者は後者で新月の夜って制約はあったけどな」
(´<_` )「あの人数も重要だったんだろうな。そう考えるとそうお手軽ってこともなさそうか」
( ´_ゝ`)「うむ。あのレベルになるとそうホイホイとはできないんじゃなイカ?」
(´<_` )「急に変な語尾やめろ」
( ´_ゝ`)「わかったでゲソ!」
(´<_` )「やかましい」
―――。
796 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:23:17 ID:pZsT8WA60【千手神社 蔵】 ______________ ((__((__((__((__((__((___(__((__((__((__((__((_) // / / / / / / / / / / / / / / / / // / / / / / / / / / / / / / / / / / /_/ //_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_ ∠=====@==@==@==@==@==@==@==@==@== | ┌─────┐ | | │| ̄ ̄|| ̄ ̄|│ | | │| .o||o. |│ | | │|__||__|│ | | └─────┘ | | | | /⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7 | |.. /⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7 | |_../⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7⌒7 ..____|/ |ヽ /二二二二二二二二二l/.゙,ハ__ノ乂_ゝ| エ | | | | .0||0 .| | |___匚ノ\/匚| |ヽ | | | |_ _||_ _| | |ヽ,ハ__ノ乂_ゝ| エ | | |..└─┘ └─┘ | |___匚ノ\/匚| |ヽ | | _|________..| |ヽ,ハ__ノ乂_ゝ| エ | | _|_______..| |___匚ノ\/匚| エ | |_|________..| |___匚ノ\/匚|/
797 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:23:50 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「小川さん、調子どう?」
88 @-@)「題名は大体翻訳できたよ」
(´<_` )「助かります」
(’T’)「いやー勉強になります」
( ´_ゝ`)「円谷さん的に気になるのとかあった?」
(’T’)「ん、そうですね……浮鮫関連ではこれですかね」
(´<_` )「ええと、"浮鮫の記録"ですか」
( ´_ゝ`)「そのものズバリだな」
(’T’)「小川さんにはこちらを解読頂いて、私は他を当たろうと思います」
(´<_` )「え、もう読めるんですか?」
(’T’)「多少は。仮名なので文字の種類自体は少ないですから。ただ、字体の癖が強い上に表音文字なので言葉の推測に時間がかかりますが」
( ´_ゝ`)「なるほど」
(´<_` )(それだとシステム翻訳は厳しいか……)
798 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:24:24 ID:pZsT8WA60
88 @-@)「それじゃあこれを翻訳してこうかね」
(’T’)「ここで長時間はなんですので、社務所の方でやりましょうか」
( ´_ゝ`)「その方がいいな、薄暗いし」
(´<_` )「空調も効いてないですからね」
( ´_ゝ`)「あ、そうだ。一つ聞きたいんだけど」
(’T’)「はい、なんでしょう?」
( ´_ゝ`)「前町長が持ち去ったっぽい神具とかってある?」
(’T’)「む、そうですね……いくつかあります」
(´<_` )「どんなものでしょうか?」
(’T’)「この場ではちょっと。後ほどご説明しますよ」
( ´_ゝ`)「わかった」
―――。
799 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:24:57 ID:pZsT8WA60【千手神社 社務所】 |============================| .:.:| | | | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |============================| .:.:| | |] | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |============================| .:.:| | | | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ̄ ̄|============================| .:.:| | |____|__,| ̄ ̄|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |============================| .:.:| |‐‐‐‐‐‐‐‐‐ー:| |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :二二|三三三三三三三三三三三三.:/ ̄ ̄ ̄/| | ̄ ̄ ̄| |¨¨¨ | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |::| | || .|¨¨¨ | ̄ ̄ ̄|::::| | | l :| |: : : :| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |::| | || | ̄| : | |::::| |___|_|___,| |: : : :| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | |::| | |.:| ̄ ̄ ̄ ̄| |::::| |二二二二二Л .|: : : :| | | ̄ ̄─| ̄ ̄ ̄|─ | ̄| ̄| ̄| | | |::::|_ |二二二二ニ√| |: : : :| | |二二二二丁¨ | | |TTT:i冖i=============i´| | ̄ ̄ ̄ ̄~/ | |: : : :| | | | |: : : : | |: : :|_|_| | | | | | | |二|| :| |:::::::::::::::::::::/ /| |: : : :| | |_|二二「」 /|__/|/\ | |_|,____ | ̄|| :| l=======/ /=| |: : : :| | ||三/ ̄/|___|/|\:.:.:.\┘ /| |二|| :| |___/__/\| |: : : :| | |/__/|三|/ \ \/| /:|/| |:/ ̄ ̄|ニニニニ/||==i| |: : : :| | | ̄ ̄ ̄/:|二二二]/::\|// :|: : | |{ {三}二つ/ _|.:.:| | _|: : : :| | |____/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/| /|: : | |乂_| |. . . ..} ̄|.:.:.:| :| ./ |: : : :| |二二|/ 二≫=- / |/ |: / ̄ ̄ ̄\| |.....┏━|.:.:.:.:| | / : |: : : :| |: / /| |/::::::::::::::::::::::::/| |`|¨¨¨¨|.:.:.:.:.:|¨l :| ̄ |: : : :| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| / .:| /|ー------ー ´ノ:ノ.:|¨¨¨ |.:.:.:.:.:.:|_l_:| |: : : :| |_________ |/ .:/|/ |`¨i¨i¨¨i¨¨¨~´  ̄ ̄|.:.:.:.:.:.:.:| /| |: : : :|__________ | / .:| |_|_,| ̄|___ .:/ `¨¨¨¨´//| |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |/ | |─‐/ /──‐◯ ー───‐' | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | | /|: : / /: : : : : : : :. | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |/ |: :◯: : : : . . .. | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | /|: : : : : : : . . . |__|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | /: :.:|: : : . . . . |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
800 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:25:30 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`) /⌒ ヽ (´<_` ) | | / \ | ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ ヽ ____|. |. ヽ FMV ヽとニ__) ⊂ u) ヽ_____ヽ/
( ´_ゝ`)「うーむ、なるほどな」
(´<_` )「一旦、ここまででわかったことを整理するか」
( ´_ゝ`)「ああ、そうしよう」
(´<_` )「まず、浮鮫や魚人……恐らくはわたつみの兵だろう。侵攻は度々あったようだな」
( ´_ゝ`)「田村麻呂云々もこりゃたぶんガチのやつだ、その頃から記録残ってるとか歴史学者垂涎だな」
(´<_` )「たまにその辺の話も出てくるもんな、凄いもんだ」
( ´_ゝ`)「侵攻は決まって時化の夜。神社の神職を中心に応戦するが、千手様が降臨したこともある」
(´<_` )「降臨の儀式について詳細はないが、どうも巫女は犠牲になっているようなニュアンスだな……」
( ´_ゝ`)「その辺りは円谷さんの言う所の秘伝の書に詳細ありそうだが、今は置いておこう」
(´<_` )「うむ」
801 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:26:04 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「円谷さんの言ってた沖合の岩礁の話もあったな。遭難した漁師が偶然、時化の夜に見たという」
(´<_` )「……見えるもんか? 人工の明かりもない時化の夜に」
( ´_ゝ`)「作り話の可能性はもちろんあるが、例えば満月なら見えた可能性もあるだろう」
(´<_` )「満月、か。月が妖魔を活性化させるという話は枚挙に暇がない、関係があるかもしれん」
( ´_ゝ`)「俺もそう思う。ただ、そんな状況でよく無事だったなとも」
(´<_` )「確かに……そうなるとやっぱ作り話の可能性が高いか?」
( ´_ゝ`)「これについてはもうちょっと掘ってみないと何ともだな。その一度だけってことは流石にないだろう」
(´<_` )「うーん……時化の夜に海に出るなんてなさそうだからレアな気はする」
( ´_ゝ`)「これだけ襲撃されてりゃ討伐に出る、ってこともたぶんあったと思う。いや、ないとは思えん」
(´<_` )「そうか、言われてみればそうだな。ならまだ見れてない部分に期待か」
( ´_ゝ`)「うむ」
802 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:26:37 ID:pZsT8WA60
(´<_` )「俺が気になったのは擬態を見抜いたエピソードだな。そのスキルは是非欲しい」
( ´_ゝ`)「そこも秘伝の書にありそうだな、そういった術なら言えば教えて貰えそう」
(´<_` )「しかし、そんな術がありながら前町長に乗っ取られてしまったのはどういうことだ?」
( ´_ゝ`)「……失伝、ってわけでもなかろうしな。すり抜ける方法でも見つけられたか……?」
(´<_` )「そもそも成り替わりってのが解せない。先代巫女どんだけ節穴だったんだ」
( ´_ゝ`)「ああうん、気づかずそのまま子作りしちゃってるわけだしね……」
(´<_` )「いやまあ、そうとも限らんか。正直時系列とかよくわかってないし」
( ´_ゝ`)「ふむ……その辺雨霧さんは増田さんから聞いてそうかな」
(´<_` )「だろうな。まあ今度雨霧さんに聞いてみるか」
( ´_ゝ`)「……無事だったらね。未だに連絡ないし」
(´<_` )「それも大問題なんだがな……」
803 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:27:11 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「魔術系でいえば、陰陽師が神職やったりもしてるみたいじゃん。陰陽道系の術もあるかも」
(´<_` )「……習っとけと?」
( ´_ゝ`)「何の下敷きもないものよりは覚えやすかろう」
(´<_` )「まあ、そうだな。どうも適正あるっぽいのはわかってるし」
( ´_ゝ`)「弟者が陰陽師のジョブレベルを上げといてくれると俺としても安心」
(´<_` )「戦闘時に足手纏いにならないとこまで行きたいって想いは正直ある」
( ´_ゝ`)「弟者が自衛完璧なら選択肢広がるし、こないだみたいに分断された時にも多少は不安が減る」
(´<_` )「あの時はマジで心細かったからな……」
( ´_ゝ`)「俺も」
(´<_` )「いや兄者はそんなことないだろ」
( ´_ゝ`)「弟者に島の位置調べて貰おうとしていなかった時の絶望感よ。ハロルドさん達の憐れむような視線」
(´<_` )「あー……」
804 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:27:45 ID:pZsT8WA60
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805 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:28:19 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「……ふう、結局わからんか」
(´<_` )「確かに討伐に出ることはしているが、詳しい条件の記載はなし」
( ´_ゝ`)「微妙に使えねーな。やっぱ核心は千手仮名で書いてんのか?」
(´<_` )「そういうことなんだろうな。……どちらかというとポイントは、"見つからなかった"記録もあるということか」
( ´_ゝ`)「ああ。地殻変動で消えた、とかではないのがわかるからな」
(´<_` )「思い当たることとしては、やはり満月」
( ´_ゝ`)「うむ。時化、かつ満月。これが条件である可能性が高い」
(´<_` )「問題はもう一つあるな、正確な位置が全くわからん」
( ´_ゝ`)「そうだな、その辺も千手仮名の方に書いてるといいんだが……」
(´<_` )「……そういえば、明日は満月だったような」
( ´_ゝ`)「え、マジ? ……もし時化てたら仮説の検証ができそうだな」
(´<_` )「確かに検証は必要だが、不安すぎるな……」
806 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:28:53 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「あと一つ思ったんだが、岩礁ってちょっと違和感ないか?」
(´<_` )「……そう言われると。連中は海の化け物だからな、何故岩礁を拠点にするのか」
( ´_ゝ`)「更に言うと、島でもない岩礁じゃ全然面積なさそうだし、何の意味があるのかって」
(´<_` )「ふむ。漁師の目に入ったのが島の一部である岩礁、ってこともありそうだが」
( ´_ゝ`)「仮にそうだった場合、また話が変わってくる」
(´<_` )「む?」
( ´_ゝ`)「島を出したり消したり、そんなこと可能だと思うか?」
(´<_` )「……なるほど? 襲撃が時化の日だけだとすると、見た目をごまかしているだけではない。 その時しか攻められないということは、出したり消したりしていることになる、と」
( ´_ゝ`)「岩礁程度であれば、目的は不明だが不可能ではなさそうな気がする。 だが、島レベルでやるのは流石に不可能だろう」
(´<_` )「また、何某かの神仏の権能かもしれんぞ」
( ´_ゝ`)「無論その可能性も否定はできん。が、だとするなら余計に思い起こされるものがないか?」
(´<_` )「……異界、か?」
807 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:29:27 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「そうだ。そう考えた方が自然な気がしないか?」
(´<_` )「むぅ……確かに、膨大な質量が出たり消えたりすると考えるよりもよっぽどありえそうではある。 普通に考えたら津波が起きるぞ、それを更に何某かの権能で抑えるというのはいかにもスマートではない」
( ´_ゝ`)「或いは、到達するまでに空間を隔てている、という可能性も考えられる」
(´<_` )「……空間転移? それなら矛盾はないが、そうなると」
( ´_ゝ`)「そもそも空間転移って魔術で可能なんだっけ? その難易度は? ってとこからだな」
(´<_` )「ハロルドさんあたりに聞いてみるか」
( ´_ゝ`)「おう。個人的な予想は魔術としてはヤベー級、権能としては普通にありえる、ってライン」
(´<_` )「大体そんな感じだろうな。別府が使ってる疑惑あるし」
( ´_ゝ`)「そうでもなきゃ時速百キロ以上で空でも飛んできたって話になるからな……いや、そっちの方が現実味あるか?」
(´<_` )「ヘリでもあれば可能な分そっちの方が現実味はある」
( ´_ゝ`)「まあそうか」
808 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:30:00 ID:pZsT8WA60
(’T’)「やあ、そちらの調子はどうですか?」
( ´_ゝ`)「まあまあってとこ」
(´<_` )「あれ、小川さんはご一緒では?」
(’T’)「お疲れのようだったので休んで頂いてます」
( ´_ゝ`)「なるほど」
(´<_` )「何かわかりました?」
(’T’)「私の方は、千手様降臨の儀式について少し」
( ´_ゝ`)「ありゃ? それはてっきり秘伝の書とやらに載ってるもんかと」
(’T’)「載ってはいましたよ。ただ、その内容は異なっていました」
(´<_` )「……まさか、フェイクですか?」
(’T’)「ですね。どうも違和感があると思っていたんですが、納得でした」
( ´_ゝ`)「むぅ……もしかして、同じタイトルの本に別の内容が書いてあったとか?」
809 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:30:33 ID:pZsT8WA60
(’T’)「えっ? 何でわかったんですか?」
( ´_ゝ`)「じゃなきゃフェイクになんないだろ。わざわざ翻訳本両方検めるなんて学者かマニアだけだ、迷彩としちゃ十分」
(´<_` )「それはつまり……連中はフェイクを信じている可能性がある?」
( ´_ゝ`)「そういうことだな。これはいいぞ、内容次第では上手く運ぶかもしれん」
(´<_` )「……ちなみに、どんな内容だったんです?」
(’T’)「いえ、これはお二人といえど明かすわけには。フェイクの方なら構いませんが」
( ´_ゝ`)「ならそれで頼む」
(’T’)「まず、巫女は海水で身を清めます。そして、本殿にて神迎えの舞いを行います」
(´<_` )「ふむ」
(’T’)「その後、御身石に向かって一拍二礼を500回繰り返します」
( ´_ゝ`)「御身石?」
(’T’)「本殿の奥に祀られているご神体です」
(´<_` )「……待ってください。祀られて、いる? いた、ではなく?」
810 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:31:07 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「……御身石とやらがガチなものだとすると、持ち出せなかったってとこか」
(’T’)「その通りです。御身石は代々に渡る複雑怪奇な結界に守られており、解除は困難を極める。 今や増田の者ですら解除の方法は見当もつかないほどに」
(´<_` )「それはまた……」
( ´_ゝ`)「連中なら無理矢理突破する手だてくらいは持っていそうだが、御身石ごと破壊するリスクを嫌ったか」
(’T’)「そんなところでしょう。奴らは寿命が長い分、時として我々人間からは悠長に映ることもある」
(´<_` )「……それで、一拍二礼を繰り返した後は?」
(’T’)「1000匹の魚や海老を供えます」
( ´_ゝ`)「ふむ」
(’T’)「そして、全ての魔力を神具に込め、千手様を招来します」
(´<_` )「……なるほど」
( ´_ゝ`)「素人目にはそれっぽい儀式だなあという感想」
(´<_` )「どこにフェイクが差し挟まってるのかは正直よくわからなかったな……」
811 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:31:41 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「敵がそれを信じていると仮定すると、連中の行動は」
(´<_` )「満月かつ時化の夜、増田さん――いや、武田さんか。を伴って本殿を襲撃」
( ´_ゝ`)「あるいは、先に本殿を襲撃して確保する可能性もある」
(´<_` )「そっちの方が合理的だな、奇襲性もあり巫女の安全も確保できる、更には万が一の場合に出直すことも可能」
(’T’)「満月かつ時化。やはりそう思われますか?」
( ´_ゝ`)「あくまで推測だけどな」
(’T’)「私もその可能性を考えていましたが、小川さんが読み解いた部分に記載がありました」
(´<_` )「なるほど」
( ´_ゝ`)「それはでかいな。明日時化てれば検証したいところだ」
(’T’)「いや、時化の夜に海に出るのは何というか、聊か……」
( ´_ゝ`)「それは完全にその通りなんだよなぁ……」
(´<_` )「風属性得意そうな雨霧さんがいれば安心できるんだがな」
812 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:32:14 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「ま、無い物強請りしてもしゃあない。風天の札があればお守り程度にはなるだろ」
(´<_` )「余程の大しけじゃなきゃ何とかなりそうではある」
(’T’)「え、まさか本当に偵察する気ですか?」
( ´_ゝ`)「いや、この状況で偵察しないとかありえなくね?」
(´<_` )「同感です。そもそも今この瞬間襲撃されてもおかしくない状況なんですが、駐留部隊はいないんですか?」
(;’T’)「一応、うみねこの家の跡地に詰めてはいますが……」
( ´_ゝ`)「あ、よかった。一応それくらいはしてるのね」
(´<_` )「よくねえよ。悪いことは言いません、本殿に配置し直すべきかと。 奴らが本気で襲撃して来たとして、駐留部隊が駆け付けるまで足止めできる自信がありますか?」
(;’T’)「……仰る通りですね」
( ´_ゝ`)「こっちの特課ってその辺考える人いないの?」
(;’T’)「残念ながら、あまり……」
(´<_` )「なんという……」
813 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:32:48 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「そら守りの要の千手神社を乗っ取られもするわ」
(;’T’)「返す言葉もありません……」
(´<_` )「……まあ、オカルト面ってだけでレアな関係上。更にそういった能力があるのはSSRなのはわかる」
( ´_ゝ`)「人口少ないと更に倍率ドンってわけだな。事ここに至ってはオカルト面外から引き込むくらいのことは必要だ」
(´<_` )「それこそ町長とか盛岡さんとか片足突っ込んでんだから知恵を借りるべき」
( ´_ゝ`)「片足とか羨ましいな。最早両足長靴でも駄目でウェーダーが必要」
(´<_` )「ウエットスーツの間違いじゃないか?」
( ´_ゝ`)「そうか?」
(´<_` )「そうだ」
(;’T’)「えー……とりあえず上には上げてみます」
( ´_ゝ`)「是非そうして」
(´<_` )「出世競争に敗れた官僚とか連れてくるだけでも大分違うと思いますよ……」
814 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:33:23 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「他に有用そうな情報は?」
(’T’)「まだ詳細を聞いたわけではないので」
(´<_` )「では、小川さんの休憩終わったら詳細伺いましょうか」
( ´_ゝ`)「だな」
(´<_` )「……ってかもうこんな時間か」
( ´_ゝ`)「なんか腹減ってきたな」
(’T’)「今日はここまでにしときますか?」
(´<_` )「そうですね」
( ´_ゝ`)「小川さん呼んで飯でも行くか」
「ごめんくださーい」
(’T’)「ん?」
815 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:33:57 ID:pZsT8WA60
(´・_ゝ・`)「やあどうも」
(’T’)「あれ、盛岡さん?」
( ´_ゝ`)「む、もしかして」
(´・_ゝ・`)「差し入れ持ってきました」
(’T’)「え、本当ですか? わざわざすみません」
( ´_ゝ`)「まだ作業中かってメッセージ来たから何かと思ったけどそういう」
(´<_` )「ありがとうございます」
(´・_ゝ・`)「給湯室借りていいですか? 温めた方がおいしいと思うので」
(’T’)「あ、いえ、私やりますよ」
(´・_ゝ・`)「まあまあ、お疲れでしょうし」
(’T’)「いえいえ、そういうわけには」
( ´_ゝ`)「盛岡さん料理できないって豪語してたけど大丈夫?」
(´・_ゝ・`)「温めるだけだし」
(´<_` )「温め方にも色々ありますけど」
(´・_ゝ・`)「えっ?」
816 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:34:31 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「今の"えっ?"で到底任せられないということがわかった」
(´<_` )「円谷さん、すみませんがお願いします」
(’T’)「あっ、はい」
(´・_ゝ・`)「えぇ……」
( ´_ゝ`)「たぶん布川さんの料理っしょ? 台無しになったら最悪だし」
(´<_` )「ていうか盛岡さん、普段どういう食生活してるんです?」
(´・_ゝ・`)「基本はレトルトか貰いものだね」
( ´_ゝ`)「あー、結構色々貰えちゃう感じ?」
(´<_` )「そうか、田舎だとそれがあったな」
(´・_ゝ・`)「少しくらい自炊した方がいいかなーとは思うんだけどね」
(’T’)「あれ? 盛岡さんご結婚されてましたよね?」
(´・_ゝ・`)「ん? ああ、二人ともマイペースなので自分のことは自分でが基本なんですよ、財布も別々だし」
( ´_ゝ`)「えっ、盛岡さん結婚してたん?」
(´<_` )(意外だ……今まで全くそういう話も出なかったし)
817 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:35:05 ID:pZsT8WA60
(´・_ゝ・`)「世間一般の夫婦とはだいぶかけ離れてるとは思うけどね」
( ´_ゝ`)「盛岡さんらしいっちゃらしい」
(’T’)「色々な夫婦関係がありますよね……うちなんかは家内に任せきりで申し訳ないです」
( ´_ゝ`)「円谷さんの場合、下手に家事にかまけて労災とかなったら目も当てられないしな……」
(´<_` )「しっかり役割分担するのも一つの在り方だと思います」
(´・_ゝ・`)「結婚当初はむしろ周りがそうしろって煩くて困ったよ、子供作れは未だに言われるけど」
( ´_ゝ`)「田舎あるあるなやつ」
(´<_` )「あ、お子さんはいないんですね」
(´・_ゝ・`)「僕らに子育てとか絶対無理。じゃあ何で結婚したんだってよく言われるけど外野は黙ってろって感じ」
(’T’)「そうですね、家のことを他人にとやかく言われる筋合いはないです」
( ´_ゝ`)「人には人の事情ってもんがあるからな」
(´<_` )「とやかく言うとしたら明らかな虐待くらいか」
(´・_ゝ・`)「あー……それは流石にとやかく言うかも」
818 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:35:39 ID:pZsT8WA60
88 @-@)「おや?」
(´・_ゝ・`)「あ、小川さん」
(’T’)「呼びに行く前にいらっしゃっちゃいましたね。盛岡さんが差し入れを下さったんですが頂きますか?」
88 @-@)「あらまあ、それはどうもありがとうね」
(´・_ゝ・`)「いえいえ」
(’T’)「それじゃあ温めてくるので少しお待ちください」
(´<_` )「あ、俺も手伝います」
(’T’)「いえ、大丈夫です」
( ´_ゝ`)「本当? さっき家事は任せっきりって言ってなかったっけ?」
(’T’)「ええと……別に問題ないとは思いますが、そう仰るなら」
―――。
819 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:36:12 ID:pZsT8WA60 ,r'^⌒^こX^ヽ. ,j'::. . . . . :x こ,).. ,イ:. . . . . . . . .,; .y ,).. ,r'^Y⌒^こX^,x,::::::: : : : : : : : ::x :,ノ,) .j^',.イ ,.イ ⌒i;::: : : : : : : ::: , . . )( ,) ,r';: . . . . . . . .:: ; y ;';㍊㍊㍊㍊: :X (.),. j'.: : : : : : . . . . .:::Y, ツ ,㍊㍊㍊㍊::::::, ,イ. ,イ^::::: : : : : : : : . . . . ..:::: ; .㍊㍊㍊㍊::::::X : .;) Y:::::㍍㎞㎜mmm;,, .:::::::.x ,イ .;㍊㍊㍊㍊:::::::::::,j' r'::::::㌶㌶㌶㌶㌶㌶:::. : :::X,.) ;㍊㍊㍊㍊;,.: ,ノ゙ . ,;: .'..::.i;:::::::㌶㌶㌶㌶㌶㌶::::::::::::::な い'´`´`´:::::::::::::::::::::::::::: . :: ::.. . :'K:::::㌶㌶㌶㌶㌶㌶::::::::::::,.イ X ,イ..........................................:::. . . . . . ゝ::::㍉㌶㌶㌶㌶㌶:: : : : : j,. ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : : : : :::::::::::::.´’'㍉㍍㍍㌶㌫㌫;;;;:::"´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: { { { { ______ } _ } ___ } _ }_ ¨¨¨¨ ; ¨ ;  ̄ ; ¨ ;¨¨ ´ } } } } ` / . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : . . \ 〃 . :_:/¨¨¨\「 ̄ ̄\: : : : : : /\: : : . ヽ |{ . :「___ノ¨}______/ イ⌒ト| ̄ ̄ ∧ 、: : : :. }| |{ . : :}______/ -‐=ニ⌒Y⌒にY⌒Y¨¨\ / \: : : :. }| |{ : : :「¨¨¨\________〃⌒にY廴ソ\__:\ /¨¨\: }| | \: : } }_) ):∧ 乂_人_/ 〉______/|/¨¨¨}____.:/ | ∧ 丶: : : : : : :\________|__ソ_.ソ_______|/ .〃 / ′ / ∧ : : : : }¨¨¨¨¨¨¨¨¨7¨7: :/ . イ / ∧ ー=============== ≦ / \ / ト イ ______________________彡´ \_____________________/
820 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:36:46 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「うおーおにぎりにアラ汁! 最高だな」
(´<_` )「ズズ...はぁ~……めっちゃ良い出汁出てる」
( ´_ゝ`)「どれ、おにぎりも……うん、うまい」
(´<_` )「コメうめぇー。具のおかか昆布もアラ汁とぶつからなくていい」
(’T’)「うわ、アラ汁おいしいですね」
88 @-@)「うんうん、やっぱり圭介ちゃんの料理はおいしいね」
( ´_ゝ`)「あー染みる」
(´<_` )「交互に食べると最高だな。止まらねえ」
(’T’)「ズズ...はぁー……」
( ´_ゝ`)「月並みだけど日本人でよかったって感じ」
(´<_` )「それな」
88 @-@)「だねぇ。ズズ...」
(’T’)「落ち着きますね……」
821 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:37:20 ID:pZsT8WA60
(´・_ゝ・`)「それで、調子はどんな感じ?」
( ´_ゝ`)「まあまあってとこだな」
(´<_` )「そうだ、小川さん。あの本はどういったことが書いてありました?」
88 @-@)「ん、まだ読み途中だけどね。浮鮫について色々と書かれているね」
( ´_ゝ`)「ふむ」
88 @-@)「浮鮫っていうのは空を飛ぶ鮫だと思ってたんだけどね。どうも違ったみたいだよ」
(´<_` )「え、そうなんですか?」
88 @-@)「二足歩行する鮫、ってことみたいだね。浜から上がってくる姿がまるで浮き上がったかのようだったとか」
( ´_ゝ`)「なるほど。前町長の姿から想像するに、夜中ならまさしくそんな感じになりそうだ」
(´・_ゝ・`)「……あれが大挙して上陸してくる様を想像すると恐ろしいね」
(´<_` )「確かに……それを何とかした千手様の力は凄いですね」
(’T’)「そうですね……」
822 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:37:53 ID:pZsT8WA60
( ´_ゝ`)「その、浮鮫の本拠地というか、どこから来ているのかについては?」
88 @-@)「ああ、もちろんあったよ」
(´<_` )「それは、やはり沖合の岩礁ですか?」
88 @-@)「そうだね、探しても見つからない幻の岩礁。それは満月の夜、時化とともに現れる」
(’T’)「やはり……!」
88 @-@)「そしてそれこそが、浮鮫の住まう幻の海・幻の島への玄関口」
( ´_ゝ`)「……やはり、そうなるか」
(´<_` )「異界なのか転移なのかは確定できないが、空間を隔てているのは間違いなさそうだ」
(’T’)「むぅ……」
88 @-@)「……その島の古い名前、安堵ちゃんから一度聞いた覚えがある名前だったよ」
( ´_ゝ`)「何だと……!?」
(´<_` )「安堵さんというと、雨霧さんの……?」
(’T’)「その、島というのは?」
88 @-@)「かつて語られた、その島の名は――」
823 : ◆KDJGUfbY2o [] :2023/10/16(月) 22:38:27 ID:pZsT8WA60
88 @-@)「――鮫島」
Case12「海色の声」 Day3「鮫島」
To be continued...