CNC工作機械は、簡単、便利な、手加工とは違った工作機械であります。木工のことを知らない人でも熟練した職人さんと同じ出来栄えになる。確かにその通りな面もありますが
使用して難易度が上がった加工をすると、実に基本に忠実な機械ということが、わかってきます。
どういうことか以下8項目にまとめてみる。
1 図面の完成度が高くなくては、いけない。最重要
CNCの図面は完璧な図面でないとならない。いいかげんな図面で職人さんに手加工を
お願いしても、なんとなく加工を進めてもらえますが途中で手が止まってしまいます。手が止まるということは
それだけ手間賃と時間が余計にかかることを意味します。
CNCの場合は、手加工で言う組み立て前の全ての加工をスタートボタンを押すことに
よってノコの加工、ドリル加工、ルーター加工を一気に終わらせて、後は組み立て仕上げ
のみが理想です。
CNCで、一工程づつデータを作って加工するやり方は手加工で加工するより、手間が
かかります。
2 打ち合わせを綿密に
いくら早く製作できたとしても、図面の訂正、現場での実測寸法が反映してない製作物は
直しが発生して品物になりません。CNCは、手加工の3倍ぐらいのスピードで加工します
が、元の図面が間違っていた場合、手加工のスピードなら何枚か材料の無駄で助かる
かもしれませんが
CNCは、加工後の材料は全て作りかえるはめになりかねません。
打ち合わせが十分でなければ、手加工以上の被害をうけかねません。
3 作業現場の清掃
『作業現場の綺麗さで、職人さんの腕前がわかる』と言われます。
CNCにとってゴミは機械部分を壊し、致命傷になりかねません。
ゴミによって 電子部品の故障
機械部分の破損
刃物の破損
ゴミによって機械運転中のエラー
CNCの修理は非常に時間とお金がかかります。
作業中はある程度
ゴミが出るのは仕方がないかもしれませんが、やりっぱなしで放置しててはいけません。
加工終了時には清掃しておく必要があります。
4 段取りをよくする。
職人さんに限らず、段取り上手な人は仕事が速いです。
いくらCNCの加工スピードが速くても、後が続かなければ機械を遊ばせることになるので
宝の持ち腐れです。
段取りが悪いと、出来る加工もできなくなります。
5 経験値が比例する。
まったくの素人でも、『簡単な箱作れ!』と言えば、手加工で作れるでしょう。
出来栄えは?
CNCの場合は、素人でも、簡単なデータ入力で職人同様の出来栄えが可能になります。
『ちょっと入力してスタートボタン押せば、なんでも出来るんでしょ』と言うのが
NCオペレーターの世間的な評価です。
では、複雑な形状の加工になると、どうでしょう?
素人では、手加工でもCNCでも、無理です。何故か?
『どう加工したら、いいのかわからない。』つまり、完成品のイメージが創造できない
からです。そこは、ある程度の手加工の経験や、製作している職人さんを手元を見た
ことがあるとか、3Dcadで立体化してみたとか、など
日々の経験が製作の出来る出来ないに繋がってきます。
ただし、CNCの場合はまったくの素人でも1週間ぐらいの訓練で、手加工の職人さんの
技術を教わる最初の4年間ぐらい経験値と同じにしてしまうのも、事実です。
そこにギャップが生まれます。自分実際の経験値は低いですが、世間的な見方
『ちょっと入力してスタートボタン押せば、なんでも出来るんでしょ』
『CNC動かせるだから、すぐ出来るでしょ』
あくまでこう言った見方をされるので初めから精神的プレシャーはかなりのものです
(初めて1週間ぐらいで4年先ぐらいの経験をつんだ職人さんと同様に扱われるため)。
さらに、加工の仕方をちゃんと説明することが出来れば(長くても30分ぐらいの説明)、
より複雑な加工も可能です。
手加工の場合はいくら加工の仕方を説明しても技術が伴っていなければ素人同然の人間に
仕事を任せる気にもならないでしょう。
6 機械の手入れ(メンテナンス)
錆がでている道具は、見た目が悪い!刃が欠けている刃物はすぐ使えない。調子が悪い道具は作
業がはかどらない。調子のいい道具は腕前が上がって見える。
CNCは木工工作機械です、1/100ミリの精度を誇る精密機械で、メンテナンスフリーではありません。
定期的な整備、調整は必要です。機械なのでいつかは壊れます。整備をしなければ機械の
寿命も短くなるでしょう。
7 『こんなの作れません』と言う前に、[どうやったら作れるか?]を考える。
難しい図面になれば、なるほど、即製作可能なものはなくなり、パット見は製作不可能なものが多くなります。
一見作れそうもない製作物も、製作方法の考え方を変えてみたり、製作手順を工夫の次第で、なんとかなったりする
ものです。
『作れません』とすぐ言ってしまうのは、最初から作る気がないからではないでしょうか?
しかし、こんな場合のみ、「作れない」と言えるのではないか
どうがんばっても10日は製作にかかるのを2日しか製作期間がない。
製作する前から、完全に赤字が出るのがわかる加工。会社は利益を出さなければいけない。
ボランティアではない。
8 失敗を失敗で終わらせず、価値のある失敗にする
常に100%失敗しないというのは、現実的には難しいです。しかし、
失敗した時に「あ~失敗しちゃった」で、終わりにしてはいけない。
何故?失敗したのかを自分なりに分析して、自分なりの答えを出さなくてはいけない。
少なくとも、同じ失敗を繰り返さない努力や、改善案は生まれてこない。
この8項目は手加工においても、当てはまります。つまり手加工の延長線上にCNCの加工が
あるといっていいのではないでしょうか。