設計者やデザイナーの図面は紙に印刷された、図面が完成形で、
CADデータは完成形では無いのです。
どういう、ことかと言うと、人の描いた図面を100%信用しては、いけないということです。
CNCの加工にとって、紙の図面や、データとして使えないPDFは、ほとんど意味がありません。
利用できるデータが全てです。また、まずデータを作らなければはじまりません。データ製作には時間が
かかります。なるべく、元のCADデータを利用しなければ、時間短縮につながりません。
しかし、CADデータには紙の図面じゃぁわからない落とし穴が隠れてます。
以下、設計事務所、デザイン事務所から送られてきたCADデータを利用する前提で、解説していきます。
1 最新図面と比較する。
あくまでも、物件担当者が持っている印刷された図面が最新の図面です。この図面で現場が
動いています。この図面とCADデータが合っているか?確認します。
図面枠の中に更新の日付を調べるとわかります。
新しい図面か?古い図面のデータなのかを、判断しなくてはいけません。
設計者が更新した、データを送ってこない。部件担当者にはFAXで図面を送っている。
物件担当者が間違って新しいデータは受け取っているのに、古いデータを渡してしまう。
古いデータで製作していたら、紙の図面だけ更新されいた。
こんな場合もあります。
データの更新日のほうが、物件担当者の図面よりも新しい。
常に最新の図面を手に入れるのが、肝心です。データの作り直しの発生を防ぐためにも。
2 現場実測寸法を確認する。
設計者のCADデータに現場の実測寸法が反映されたCADデータなんてほとんど皆無です。
紙の図面にPENで修正するのが普通です。
CADデータを自分で修正して利用するしかないです。
実測寸法が必要なものは、先にデータを作ることが出来ません。作るだけ無駄です。
3 各寸法をチェックする。
細かい部分のガラスの厚みや使用する金物は、実際使用するものと異なるものが描かれている場合
があります。CNCの加工に絡んでくる場合は修正しなくてはいけません。
また、部分詳細図は正しくかかれているが、全体図は間違っていることもあります。その逆もあります。
さらに、平面図や立面図、断面図の辻褄があって無い場合もあります。
4 書き寸法に注意する。
通常の手加工の場合、紙の図面を見ながら、ベニヤなどに原寸図を描く時には問題にならない
が、CNCの場合にはデータを利用するので、大きな問題になります。
いくつかの例題で説明します。
左の図は書き寸法した例です。Aの寸法は正しい寸法です。Bの寸法は書き寸法です。 AとBはまったく同じの450角の四角です。白い線で描かれた線の四角は両方とも、同じです。
Bが物件担当者がもっている、印刷された最新図面の場合、当然Bを製作することになります。『設計者が描いたんだから間違って無いだろう。間違いもちゃんと全部修正しているだろう。』と設計者を100%信じてそのまま白い線を利用して、CNCで加工します。当然出来上がるのは450角の四角です。最初に正しいと思い込んでいるので疑いもしません。品物を運ぶ人も『CNCで加工したんだから間違いないだろう』と疑わないで、納品先まで届けます。納品先で初めて、間違っているのがわかります。『図面に490って描いてあるじゃん』と言う、クレームを当然貰います。
『だって、図面が悪いんだ!』と言う
言い訳は通用しません。
見抜けなかった自分が悪いのです。
実際にはこんなやさしい図面はありません。
こんな例もあります。
図面の中の図形だけ、修正されている場合CADの測定機能で測ると、450角の図形だとわかるしかし、寸法は490と描いてあるので『図面に490って描いてあるので490角で製作しよう』と勝手に490角で製作する。この場合本当に製作しなければならないのは、450角のほうです。責任問題ではこちらに、責任はないでしょうが、結局450角に作り直さなければならなくなり、2度手間が発生します。
怪しい図面は細かく確認するしかないのです。
さらに、こんな例もあります。
左の図は、上記の図と同じで白い線は450角です。
しかし、寸法は描き寸法ではないです。白い四角は1/10のレイヤで描いて寸法線は1/5のレイヤで描いてます。
紙で印刷された図面の場合は225角の四角と思い込みます。450角が正しいのか?225角が正しいのか?判断に困ります。手加工ならば、225角を製作しそうですが、
確認が必要です。
5 必要の無いデータは削除する。
設計者のCADデーターは色々な書き込みがされています。そこから必要な部分だけ取り出して後は
削除してしまいましょう。必要の無い線をそのまま残しておくと、失敗のリスクが増えます。
6 CAD変換ソフトを使用しない。
JacConvertのようなCAD間での変換ソフトを使用しない。使用すると変換誤差で痛い目に合う。
なるべくAUTOCAD上でDXF変換、JWWCAD上でDXF変換、VECTORWORKS上でDXF変換をする。
AUTOCAD→JWWCAD→VECTORWORKSでDXF変換みたいなことをすると、変換誤差が出る場合が
あります。
DXFは元の.JWWやDWGやmcdを完璧に変換しているわけではないです。
7 線と線が繋がっているか調べる。
CNCは1/100mmを読み取ります。WoodWOPは1/1000mmを読み取ります。
紙に印刷する場合は問題になりませんが、CNCデータは読み取ってしまいます。
きちんと線が繋がっているか調べる必要があり、修正も発生します。
そのままでも、加工はできますが、WoodWOP上の手間が増えます。
①は1本の線が①の部分で別れてしまって、いる。②は線がつながっていない
②の拡大図
この状態はこのままでも、bpp5で修正がききます。
8 保存名を半角英数字に保存先のフォルダ名も半角英数字にする。
半角英数字でないと、WoodWOPで保存できません。
送られてきたデータ名のままだとWoodWOPでは開けない場合がほとんどです。
半角英数字だとしても、やたら長い保存名は避けましょう。文字数にも制限はあります。
9 元々のデータを別に保存しておく。
CNCのデータ製作前のCADデータは別に保存する。してないと、間違った場合やCNCと関係ない
部分を調べられない。