2015年01月ー12月
2015年12月11日(金) 冬?のひみラボ活動 「タナゴ・ガール」躍動中!
暦の上ではすっかり「冬」ですが,今年は未だまとまった雪が降らず,野外活動をする上では助かります.そして,季節に関係なく,卒論研究は続き,富山大学のタナゴ・ガール(命名は,氷見市のNさん)達は,日々調査に励んでいます.
写真をご覧いただくと,毎回代わり映えしないように見えるかもしれませんが,このような「同じ場所」で,「同じ調査」を継続することで,魚や共存生物の1年間の生態がわかってきます.また,今年のように「(今のところ)暖かい」冬の場合は,他の年との違いなどを知る上でも重要になります.今後,今よりも寒くなり,魚自信の活動性が低下して,採れなくなることもあるかと思いますが,「採れない」ことも,調査では重要なことです.タナゴ・ガールたちの地道な調査は続きます.
一方,ひみラボ水族館に目を向けると,クリスマス仕様に様変わりしています.
寒い中でも,ひみラボスタッフ一同,精力的に活動中,,,
と言いたいところでしたが,「かめじろう」は寒さが苦手.ストーブの前でくつろいでいることが多いです.
ひみラボ水族館は,12月27日(日)で年内の開館を終え,年明けの1月から3月までは冬期休館に入ります.ぜひ今のうちに,冬のひみラボ水族館をご覧にお越しください.
2015年10月15日(木) 秋のひみラボ活動
ひみラボは,日々活動していますが,なかなか日記を更新できませんでした.そこで,最近の出来事や取り組んでいる活動をまとめて紹介します.
①イタセンパラ保護池
イタセンパラの新しい保護池の本格運用が始まりました.池自体は,昨年度まで完成しておりましたが,10月3日にイタセンパラ成魚が放流されました.今後も氷見のイタセンパラ保護拠点の1つとして,また自然教育・研究の場としての活用が期待されます.
場所はひみラボ近くです.ご自由に見学できます.写真にあるような立派な看板が目印です.詳しい場所や,保護池の詳細,あるいは個別説明のご要望につきましては,ひみラボ(水族館)までお問い合わせください.
②イタセンパラ産卵のジオラマ
イタセンパラのペーパークラフトを活用したジオラマを作成しました.
イタセンパラの産卵シーンを再現・解説しています.イタセンパラは実物大で,二枚貝は本物の殻をつかっています.
本来は水中でしか観ることができないシーンを,可能な限り忠実に,かつこだわりをもって,再現しています.上の写真は,二枚貝の出水管に,メス(左側の白い個体)が産卵管を入れているところです.自然界では,この瞬間に,卵が二枚貝の中に産み落とされます.右上の赤い個体はオスです.
ひみラボ水族館で展示中です.ぜひ,ご覧ください!
③野外調査
富山大学理学部山崎研究室の学生によるタナゴ類の調査が継続中です.夏までは毎週行われていましたが,今は2週間に1回のペースで実施されています.ミナミアカヒレタビラやヤリタナゴをはじめとした,在来生物の保全を目指し,基礎的な生態研究に取り組んでいます.
④環境DNAはじめました!
みなさんは,環境DNAという言葉を聞いたことがありますか?文字通り,環境の中にあるDNAのことで,たとえば,川の水の中にも,無数のDNAが含まれています.それらDNAは,そこに住む生物から放出されたものです.そのため,環境DNAを調べることで,そこにどのような生物が住んでいるのか,を明らかにすることができます.
ひみラボでは,富山大学理学部の山崎研究室が中心となり,環境DNAの分析を始めました.上の写真は,川の水をろ過し,そこに含まれるDNAを集めているところです.
研究の成果については,今後随時報告していきたいと思います.
⑤「かめじろう」の秋
ひみラボ水族館のアイドル「かめじろう」です.かめじろうにとっても秋は過ごしやすいようで,天気のいい日には日向ぼっこをして過ごしています.写真は,お昼ご飯のキャベツをもらって,お食事タイム!
ひみラボ水族館に,会いに来てください!
2015年7月3日(金) 在来タナゴ類調査,転じて外来魚調査
氷見市内を流れる河川において,在来タナゴ調査を行いました(写真:左).
捕獲された魚類は,ヤリタナゴ,タモロコ,スナヤツメ南方種,ニシシマドジョウ,ドジョウ,トウヨシノボリ,そして,オオクチバス.
調査した川は,川幅が3m程度で,水深も深いところで30cm.流れもありました.こんなところにもバスが入り込んでいることに驚きです.
バスについては,現場で殺処分した後,ひみラボに持ち帰って計測と胃内容物調査を行いました.
捕獲されたバスは11個体.全体に小型個体で,大きいものでもSL80mm程度,小さいものは50mm程度でした(写真:右).
すべての個体について,解剖を行い,胃内容物を確認したところ,2個体の胃から,完全には消化されていない「魚」と思しきものがでてきました.そのうち1つはヤリタナゴの稚魚と思われます.
以前,同様の調査で,オオクチバスがイタセンパラを捕食していることが明らかになりましたが,在来タナゴの多くが捕食されている事実が浮き彫りになってきました.今後,調査を継続し,対策を講じていく必要があります.
2015年6月6日ー7日 各種研究会開催!
6月6日から7日にかけて,親子イタセンパラ教室,ひみラボ自然史研究会,そして市民公開講座が,ひみラボや周辺の河川を舞台に開催されました.
親子イタセンパラ教室では,約30名の参加者が,富山大学理学部の山崎裕治准教授の話を聞きました.お話を通して,イタセンパラがどのような魚であるのか,何を食べているのか,等に加えて,イタセンパラと共存する生物の種類や特徴を学びました.特に,イタセンパラは,イシガイなどの二枚貝に卵を産み,その二枚貝は,他の魚に幼生を寄生させるため,これら3者は切っても切れない仲であることが説明されました.
その後,参加者は,イタセンパラの生息河川に移動し,氷見市教育委員会の西尾正輝学芸員の指導の下,イタセンパラ稚魚の観察や,メダカやフナなどの共存生物を捕獲し,その特徴を学びました.
写真は,イタセンパラ生息河川における観察の様子で
親子イタセンパラ教室は秋にも開催されます.その時は,産卵期のイタセンパラを学ぶ予定です.
(注:今年度の親子イタセンパラ教室の参加申し込みは終了しました.ご了承ください.)
6月6日午後からは,ひみラボ自然史研究会が開催されました.地元富山大学のほか,県内の動物園・水族館,周辺県の大学から,合計34名の参加がありました.参加者は,エクスカーションとしてイタセンパラ生息河川において稚魚観察を行った後,ひみラボのセミナー室で,研究発表と意見・情報交換を行いました.
写真は,研究発表の様子(左)と意見交換会の様(右)です.
そして,6月7日午後には,市民公開講座「自然史研究最前線」が開催され,50名近い参加者がありました.この講座では,自然史に関する最先端の研究,たとえば,魚類の繁殖行動研究や,各地で取り組まれている保全研究の実例に関する紹介があり,参加者と意見や情報交換も行いながら,自然史研究に理解を深めました.プログラム等は,こちらをご覧ください.
今後もこのような研究会を開催する予定です.その際は,ホームページ等でご案内しますので,お楽しみに.
2015年3月31日 カワヤツメ登場!
氷見市内の川で,希少種カワヤツメが採集されました.ひみラボ水族館に飼育展示中です.海から遡上してきた個体であるため,全国の水族館でも展示しているところはあまりありません.この機会に,ぜひ,ご覧ください!
2015年3月30日 新年度の調査が始まりました.
富山大学の山崎研究室も新しい学生を迎え,新年度の調査が始まりました.
今年は,イタセンパラと共存するタナゴ類の生態調査を実施しています.
ここで得られた情報は,対象生物の保護に役立つだけではなく,共存する生物の状態を知ることにもつながり,地域全体の生物多様性保全に寄与することが期待されます.