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合唱通信 No.18 2014/10/22
◇ シビックコンサートに向けて ◇
「野口雨情童謡・抒情歌コンサート」が盛会裡に終了したのに続き、いよいよ恒例のシビックコンサートが間近に迫ってきました。
フロイデにとって今年は例年以上のステージ数が準備され、多くの方々の前で発表できるチャンスに恵まれたことは喜ばしい限りだと思います。
来るシビックコンサートでも、いつもの練習のように歌うことができれば、聴いて下さる会場の皆さんと合唱のよさを共有して共感を持っていただけるものと思っています。
“ いつもの演奏”“いつもの表現”を念頭に気持ちよく歌い合わせましょう。
ところで今年のシビックコンサートでは、ご承知のように三曲の合唱曲を発表しますが、それぞれに異なる曲趣を持った曲ですので、その曲想の違いを生かして表現する
ことがこのステージの眼目になるだろうと考えています。
「アムール川の波」は、優雅なワルツの流れにのって歌われる曲ですので、決して力むことなく流れるようにゆるやかに、すなわち流麗な表情で歌い上げたいものです。
そして一方では、民族の“誇り”、自分たちの心の拠り所を賛美し、共にあることへの喜びが醸し出せるような愛情に満ちた表情で歌い上げたいと思うのです。
「バイカル湖のほとり」も同じロシアの歌ですが、戦いの末に敗れつながれていた獄舎から逃れて懐かしいバイカル湖のほとりの道をたどっている心情をうたった歌です
ので、悲哀や苦悩を背景にした“心の底からふつふつと湧き上がる静かな喜び”が表現できるとよいだろうと思われます。諸手を挙げて叫びだすような、また躍り上がりたく
なるような声高な喜びではなく、苦痛を経たあとに訪れる癒しきれない傷みを伴った複雑な喜びであることを思い描き、静かな落ち着きのある響きと表情で表現したいと思
うのです。
「宗教曲メドレー」は、有名な宗教曲のサワリの部分をつなげて編んだメドレーですが、それらの曲は大別すると神を賛美する曲、神と一対一で向き合って神と対話する
ような曲の二つに分かれるでしょう。
後者は神に感謝を捧げる“神との静かな対話”や信仰を強くする“自分との対話”という内なる声をうたったものです。メドレーの中の曲で言うと、「アヴェマリア」「主よ人の
望みの喜びよ」「Ave verum corpus」がこの類の曲です。これらの曲は、どこまでも静かな柔らかい響きで歌うことが望ましいでしょう。
一方前者は神を称える讃歌です。大勢で神の御稜威(みいつ)を賛美し、声をそろえて神への感謝と信仰を歌い上げる曲です。これはいわば“ハレ”の気分で歌われる歌
と言って良いでしょう。
日常に対して祝い事のある日など特別な日を“ハレの日”と言いますが、日常とは違う晴れやかな心持ちや賑わいにも似た浮き立つような心持ちが、これらの曲に共通の趣
としてあるからです。厳かな中にも晴れやかな歓喜の気分に満ちた歌声が想定されるこのカテゴリーには、「ハレルヤコーラス」「自然における神の栄光」「天は御神の栄光
を讃え」「Gloria」があります。
祝祭の“ハレ”の気分が横溢するこれらの曲をぜひ晴れやかな明るい声で表現したいものだと思うのです。後者の曲とはガラリと気持ちを切り替えて対比を生かすことができ
れば、メドレーのおもしろさを存分に生かして表現できること請け合いです。
これらのことは、これまでの練習で積み上げてきたことですので、普段の合唱を披露できることがシビックコンサートでの成功のめやすと言って良いでしょう。普段の合唱
そのままを欲張らずに歌い上げ、フロイデのサウンドを楽しんで聴いていただこうではありませんか。