宅地建物取引主任者制度
取引主任者となるためには、都道府県知事の行う宅地建物取引承認者資格試験に合格した後、2年以上の実務経験等を経て、その試験を行った都道府県知事の登録を受け、宅地建物取引主任者証の交付を受けなければならない。
専任の取引主任者(法第15条)
1) 業者は、事務所その他省令で定める場所ごとに、省令で定める一定の数の成年者である専任の取引主任者を置かなければならない。
□省令で定める場所
宅地建物の売買もしくは交換の契約(予約を含む)もしくは宅地建物の売買、交換もしくは貸借の代理、媒介の契約を締結し、またこれらの契約の申込みを受ける場所
◇継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
◇10区画以上の一団の宅地または10戸以上の一団の建物を分譲を行う際の案内所
◇一団の宅地建物の分譲の代理または媒介を行う際の案内所
◇業務に関し展示会その他のこれに類する催しを実施する場所
□一定の数
事務所にあっては、業務に従事する者の5分の1以上、案内所にあっては1名以上
2) 業者(法人である場合はその役員)が、自ら主として業務に従事する事務所等の取引主任者であるときは、その者は事務所等に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされる。
3) 1)の規定に抵触する事務所を開設してはならず、抵触した場合は2週間以内に適合させるため必要な措置をとらなければならない。
業務に従事する者(則第6条の3)
1) 宅地建物取引業のみを業としている場合
原則として、代表者、役員(非常勤の役員を除く)及びすべての従業員等が含まれ、受付、秘書、運転手等の業務に従事する者も対象となるが、宅地建物の取引に直接的な関係が乏しい業務に臨時的に従事する者はこれに該当しない。
2) 他の業種を兼業している場合
原則として、代表者、宅地建物業を担当する役員(非常勤の役員及び他の業種も担当し宅地建物取引業の業種の比重た小さい役員を除く)及び宅地建物取引業の業務に従事する者が含まれる。宅地建物取引業を主として営む者にあっては、全体を統括する一般管理部門の職員も該当する。
専任性
「専任」とは、宅地建物取引業を営む事務所に常勤(通常の勤務時間)して、専ら宅地建物取引業に従事する状態をいいます。ただし当該事務所が他の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的に宅地建物取引業が行われていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものとします。
また当該事務所が建築士事務所、建設業の営業所等を兼ね、当該事務所における取引主任者が建築士法、建設業法等の法令により専任を要する事業に従事しようとする場合及び個人の業者が取引主任者となっている宅地建物取引業の事務所において、当該個人が同一の場所において土地家屋調査士、行政書士等の業務をあわせて行おうとする場合等については、他の業種の業務量等を斟酌(しんしゃく)のうえ専任と認められるものを除き、専任の取引主任者とは認められないものとする。
宅地建物取引主任者の登録(法第18条~第22条)
登録を受けようとする者は、試験を行った都道府県知事に登録申請書を提出しなければならない。また2年以上の宅地建物取引に関する実務経験、またはその実務経験を有する者と同等以上の能力を有するとの国土交通大臣の認定が必要である。
□国土交通大臣の認定
①国土交通大臣の登録を受けた宅地建物取引に関する実務についての講習を修了した者
②国、地方公共団体またはこれらの出資により設立ふせされた法人において宅地建物の取得または処分の業務に主として従事した機関が通算して2年以上ある者
③上記項目のほか、国土交通大臣が宅地建物取引に関し、上記項目に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者
登録の基準(法第18条~第22条)
次のいずれかに該当するときは登録されない。
1.宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
2.成年被後見人または被保佐人
3.破産者で復権をえないもの
4.不正の手段による免許取得、業務停止処分事由に該当し情状が特に重い場合、業務停止処分に違反した場合、のいずれかに該当することにより免許を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しない者
5.4.の取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日および場所の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者でその取消しの日から5年を経過しないもの
6.4.に掲げるいずれかの事由に該当するとして免許の取消処分の聴聞の期日および場所が公示された日から当該処分をする日または当該処分を決定しないことを決定する日までの間に相当の理由なく廃業の届出のあった者でその届出の日から5年を経過しないもの
7.6.の期間内に合併により消滅した法人または相当の理由なく廃業等の届出があった法人の免許の取消処分の聴聞の公示の日前60日以内に役員であった者でその消滅または届出の日から5年を経過しないもの
8.禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
9.業法もしくは「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」に違反し、または下記の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
一 傷害罪
二 傷害助勢罪
三 暴行罪
四 凶器準備集合罪
五 脅迫罪
六 背任罪
七 暴力行為等処罰に関する法律の罪
10.不正の手段により登録または取引主任者証の交付を受けたこと、指示処分の事由に該当し情状が特に重い場合、事務の禁止処分に違反したとき等に該当することにより、登録の消除の処分を受け、その処分の日から5年を経過しない者
11.10.に掲げるいずれかの事由に該当するとして、登録の消除の処分の聴聞の期日および場所が公示された日から当該処分をする日または当該処分をしないことを決定する日までの間に、相当の理由なく登録の消除の申請をした者で、当該登録が消除された日から5年を経過しないもの
12.取引主任者としてすべき事務の処分を受け、その禁止の期間中に自ら申請して登録の消除を受け、まだその禁止の期間が満了しない者
登録事項(法第18条第2項)
都道府県知事が、取引主任者資格登録簿に登録すべき事項
1.氏名、生年月日、住所、「省令」で定める事項ならびに登録番号・年月日
2.「省令」で定める事項
1)本籍、性別
2)試験合格年月日および合格証書番号
3)実務経験の期間、従事していた業者の商号または名称および免許証番号
4)国土交通大臣が実務経験を認めた場合は、当該認定の内容および年月日
5)業務に従事すしている業者の商号または名称および免許証番号
登録の移転(法第19条の2)
登録を受けている者は、他の都道府県の事務所で業務に従事し、または従事しようとするときは、「登録の移転」を申請することができる。
変更の登録(法第20条)
都道府県の登録を受けている者は、登録を受けている事項に変更があったときは、遅滞なく、「変更の登録」を申請しなければならない。
死亡等の届出(法第21条)
都道府県の登録を受けている者が、次のいずれかに該当することとなった場合には、それぞれ所定の者が、その日(1.の場合は、その事実を知った日)から30日以内に、その旨を当該登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。
1.死亡した場合 - 相続人
2.登録の基準1.、3.~9.に該当するに至った場合 - 本人
3.登録の基準2.に該当するに至った場合 - その後見人または保佐人
申請等に基づく登録の消除(法第22条)
都道府県知事は、次のいずれかの場合には、登録を消除しなければならない。
1.本人から登録の消除の申請があったとき
2.死亡等の届出があったとき
3.登録を受けている者が死亡した旨の届出がなくて死亡の事実が判明したとき
4.不正の手段によって宅地建物取引主任者資格試験を受けたことにより試験の合格の決定を取り消されたとき
宅地建物取引主任者証(法第22条の2~第24条)
□取引主任者証の交付申請(法第22条の2)
登録を受けている者は、登録をしている都道府県知事に対し、
取引主任者証の「交付申請」をすることができる。
□講習の受講
取引主任者証の交付を受けようとする者は、試験に合格した日から1年以内に、
登録をしている都道府県知事が国土交通省令の定めるところにより指定する講習
(いわゆる法定講習)で交付の申請前6ヵ月以内に行われるものを受講しなければならない。
□取引主任者証の提示義務
取引主任者は、取引の関係者から請求があったときは、取引主任者証を提示しなければならない。
重要事項説明をする場合は、説明の相手方からの請求の有無にかかわらず、
必ず積極的に提示しなければならない。提示しなかった者は、10万円以下の過料に処せられる。
□取引主任者証の有効期限の更新
取引主任者証の期限は5年であり、この有効期間は申請により更新することができる。
□登録の移転の申請とともに取引主任者証の交付申請が行われる場合
取引主任者証の交付をうけている者は、登録の移転の申請とともに
取引主任者証の交付を申請できる。その場合、従前の取引主任者証は失効し、
従前の取引主任者証の残存期間を有効期間とする取引主任者証が発行される。
□取引主任者証の書換え交付および再交付
■書換え交付
取引主任者証は、その氏名または住所を変更したときは、変更の登録とあわせて、
取引主任者証の書換え交付を申請しなければならない。
■再交付
取引主任者証は、取引主任者証を亡失し、滅失し、汚損し、または破損したときは、
取引主任者証の再交付を申請できる。
□取引主任者証の返納および提出
■返納
取引主任者証は、返納が削除されたとき、および取引主任者証が失効したときには、
速やかに取引主任者証を返納しなければならない。
■提出
取引主任者証は、事務禁止処分を受けた時には、すみやかに、取引主任者証を
提出しなければならない。