(要旨)
第37条
試合稽古の目的は、基本技及び応用技で習得した技術を活用して、試合における判断力、気・剣・体が一致した技、及び旺盛な気力・体力を錬磨するとともに、品格があり洗練された試合の要領を会得することである。
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試合稽古は、短剣道の技術を進歩向上させるための有効な手段である。
(1) 第一稽古では、習技者の技を正しく引き立ててやること。
(2) 第二稽古では、習技者の積極的な態度と豊富な技を習得させ、特にこの稽古では、気力・体力及び技の錬磨を重視して実施することが大切である。
(3) 第三稽古では、習技者に試合の要領を会得させることである。
3
試合稽古は、短剣道技術の段階的上達を図るため、第一稽古、第二稽古、第三稽古の順序に従って稽古することが望ましいが、この順序にこだわり過ぎて稽古が硬直し、短剣道を習得する者の興味と意欲をそがないように留意しなければならない。
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試合稽古は、基本技を概ね習得し、竹刀の操作方法、体・足さばき、間合の判断、入身体制等について理解できるようになってから実施することが望ましい。基本技が未熟のまま過早に試合稽古をすると、基本の姿勢及び技が崩れ、技倆に悪い癖を植え付ける結果となるので注意しなければならない。
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試合稽古の元立は、技倆・段位等の上位の者が立ち、稽古場では上席に位置するのが一般的な礼儀である。
(第一試合稽古)
第38条
この稽古は、元立が作為する隙及び打突の機会に、習技者は基本技・応用技で習得した技倆をもって迅速機敏に対応し、試合における各種の打突技を錬磨し、試合の基本要領を会得させるものである。この稽古を「引き立て稽古」ともいう。
2
指導に当たって元立は、習技者に対して打突する隙・機会の与え方を適切にし、相手の技倆の程度に応じて難易度をつけ、習技者の技倆を最大限に引き出してやる工夫が必要である。また、習技者は打突の成否のみにこだわる余りに、正しい姿勢・確実な技・気勢の充実をおろそかにすることのないよう指導することが大切である。
(第二試合稽古)
第39条
この稽古は、習技者が常に主動性を保持し、自ら元立の隙・機会を看破し、あるいは作為して積極的に行動して、機先攻勢の果敢な技を習得し、旺盛な気力・体力を養い、千変万化する試合の状況に適応できる豊富な技を会得するものである。習技者は、元立から困難な状況が与えられても、正確な技倆と冷静な判断力で沈着に対応し、不撓不屈の気力と体力でこれを克服することに努めることが上達の要訣である。この稽古を「懸かり稽古」ともいう。
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指導に当たって元立は、習技者が自ら相手の隙・機会及び間合を判断し、適時適切にあらゆる技が錬磨できるように攻防自在に対応することが大切である。この際元立は、習技者の技倆に応じて冷静に立会い、習技者が萎縮したり恐れ迷うことのないように留意することが大切である。
(第三試合稽古)
第40条
この稽古は、習技者が元立と対等の立場で試合をする際において、元立の意志動作を判断し、隙・機会を看破あるいは作為し、これまでに習得したあらゆる技を駆使して百方手段を尽くし、相手に勝つための技倆を体得するものである。特に短剣道においては、徒に受動的に陥ることを厳に戒め・積極果敢な攻め技を用い、正々堂々とした試合態度を身につけることが大切である。この稽古を「互角稽古」ともいう。
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指導にあたって元立は、これまで習得してきた技倆を実際の試合に活用できるよう段階的に上達させる必要がある。これがため習技者の間合の取り方、入身制体の時機の見出し、虚隙の判断、技の使い方、攻防の理合について自ら判断して、状況に応じる各種使術を臨機応変に駆使する場面を作為し、習技者の長所をますます伸展資、短所は矯正して試合に対する自信と意欲を高めてやることが大切である。
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稽古において、習技者は剛毅果断な意志を堅持し、常に相手の動きと技を封じ、相手を圧倒する心・技を錬磨することが短剣道の上達を図るために大切である。
元立は、習技者が試合中の雰囲気に自ら入れるよう、対等の立場で真剣に立ち会うとともに、習技者の活模範となるような試合態度に徹し、習技者に良い感化を与えるように心掛ける必要がある。