試合

(試合の目的)

第41条

試合は互いに気力・技・体力の全てを発揮し合って勝敗を競い気力・体力の向上と、短剣道の神髄を会得することが目的である。

(試合の指導要領)

第42条

試合は第三稽古で試合の要領を概ね習得した後に行うことが望ましい。試合稽古の錬磨が不十分のまま試合を行うと、姿勢が崩れたり、悪い癖がついたり、怪我をするなど短剣道本来の健全な進歩発展を妨げることになるので、十分注意して指導することが大切である。

(試合の態度)

第43条

試合においては、自ら習得した短剣道の理合い、技及び勝負勘等を総合的に活用し、勝利に対する意欲と剛健な意志を堅持し、正々堂々と勝負することが大切である。

(機先の必要性)

第44条

試合では、相手の意志・動きを瞬間的に見抜き、相手の機先を制する技を使用しなければ勝つことはできない。相手の隙が見出せないときは、手段をつくして打突の機会を作為する努力をしなければならない。また、相手が先を取って打突してきた場合は、これに即応して各種応じ技で制し、後の先を取ることも大切である。

時として膠着した試合に陥った状況を打開するため、身を捨てて果敢な入身制体を含めた打突を繰り出し、相手の意表を衝く試合態度が大切である。

(残心の必要性)

第45条

試合では、常に主動性を保持し、自分の得意とする技を存分に発揮して、積極果敢に相手を攻めなければならない。たとえ最初の打突が成功しなかった場合でも、躊躇することなく第二・第三の打突を繰り返し、相手に対応の暇を与えないことが大切である。また、打突が成功した場合でも、油断することなく、相手の反撃に備える残心が極めて大切である。

(間合の必要性)

第46条

試合では、間合の適応が打突の成否を左右するものである。従って常に自分に有利な間合を確保することに努め、自分の間合に入ったら躊躇せず打突しなければならない。打突を逡巡したり、間合の判断を誤れば勝機を逸してしまうことになる。

(正々堂々たる態度)

第47条

試合では、秘術を尽くし勝利を追求しなければならない。勝つことのみにこだわり、およそ武道を修行する者として、ふさわしくない卑劣な態度・行為をとるようなことがあってはならない。

(制体の動作)

第48条

試合中に転倒したり竹刀を落とした相手に、その瞬間を捉えて打突した場合は有効な技と認める。従って転倒又は竹刀を落した試合者は直ちに対応の構えをとるか、身を挺して入身体制体をし相手の動きを封じることが大切である。

この場合、試合を放棄し、場外に逃れるような行為は厳に慎むべきである。また、相手の技によって竹刀を落とされることは、短剣道を修行する者としては戒めるべきことである。

(粗暴な態度の禁止)

第49条

試合中に、竹刀の用法を度外視して、徒に体力で押し合う行為等は、試合の品格を著しくそこなうばかりでなく、短剣道の進歩向上を阻害するものであるから、粗暴な試合を戒め、気位をもって洗練された試合をしなくてはならない。

(規則の厳守)

第50条

試合に臨む者は、審判員の裁決・指導には絶対に従わなければならない。また、審判員の裁決もないのに勝手に試合を中断したり、気勢を弛緩させる等、真剣味を欠くような態度をしてはならない。

(有効な技)

第51条

試合において、有効とする打突の部位は、打ち技は面・小手、突き技は喉・胴である。他に、短剣道独特の入身制体の突き技、打ち技がある。

(禁止事項)

第52条

試合においては、次の行為を禁止する。

1 相手又は審判員の人格を無視する言動

2 足がらみ、組み打ちする行為

3 相手の竹刀を握る行為

4 定められた部位以外に手をかける行為

5 用具装着部以外を故意に打突する行為

6 接近して不当に区画線外に押し出す行為

7 竹刀を落とす行為

8 試合中に区画線外に出る行為

9 その他試合の公正を害する行為

(試合の方式)

第53条

試合には次の方式がある。

1 一本勝負の試合:

試合時間内に1本を先取した方を勝ちとする方式。

2 三本勝負の場合:

試合時間内に2本を先取した方を勝ちとする方式。

3 限秒試合:

限られた試合時間内で有効な打突が多い方を勝ちとする方式。

4 その他:

基本技・形等の演舞展示方式。