形
(目的)
第54条
短剣道の形は、基本的な技術を一定の型式と順序によって組合せ、気勢・姿勢態度・技の組合せを錬磨し、間合の判断・打突すべき機会の看破・入身制体・確実な技の用法及び残心の妙味を会得し、短剣道の神髄を極めることを目的とするものである。
(形の心構え)
第55条
形は単に形式に従って順序を追いながら行うだけでは効果は少ない。
形式・順序が組み合わされた理合を理解し、心身の陶冶を中心として錬磨することが大切である。
(形の効果)
第56条
形は、礼法・構え・掌中の作用・足さばき・気合・呼吸・入身制体・打突の機会・残心・攻防の理合等を習得するように組み立てられており、これを錬磨することにより、正しい姿勢・個癖の矯正・正しい打突動作の体得・間合の判断・機先の真意・軽快機敏な動作・気位を高め・気勢の充実と機眼を明らかにする等の大きな効果がある。
(実施者の組合せ)
第57条
形を実施する場合は、打方と仕方との組合せによって行う。
打方は仕方の技を引き立てるように動作することが大切であるが、両者の気合が合致し一体となって錬磨することが極めて重要である。
第一節 短剣道の形
(1本目・喉の突き・先)
第58条
1 打方、仕方は8歩の距離で相対し、互いに礼をして構える。
2 互いに中段で前足から大きく3歩前進して間合に入り、打方は入身しようとする。
3 仕方は打方の起こりに乗じ機を失せず喉を突き、大きく1歩後退しながら引き抜いて残心を示し、構えの姿勢にかえる。
4 打方は仕方を導きながら基本の間合にかえる。
5 両者は互いに交差を解き、後ろ足から小さく5歩後退し、構えた位置にかえる。
(2本目・面の打ち・先先の先)
第59条
1 打方は下段、仕方は中段入身の構えで前足から大きく3歩前進して間合に入り、仕方は打方の面を打ち、剣先を喉部につけ位攻めをし、残心を示しながら後退して構えの姿勢にかえる。
2 両者は1本目と同じように動作して旧位置にかえる。
(3本目・喉の払い突き・後の先)
第60条
1 互いに中段で前足から大きく3歩前進して間合に入り、打方は仕方の喉を突く。
2 仕方は右に体を開きながら打方の剣を左下方に打ち払い、その場で喉を突き、大きく1歩後退しながら引き抜いて残心を示し、構えの姿勢にかえる。
3 両者は1本目と同じように動作して旧位置にかえる。
(4本目・面を払い面打ち・後の先)
第61条
1 打方は上段、仕方は中段入身の構えで前足から大きく3歩前進して間合に入り、打方は仕方の面を打つ。
2 仕方は下方から打方の剣を上方に摺り上げ面を打ち、剣先を寸田につけ位攻めをし、大きく1歩後退しながら上段に構えて残心を示し、構えの姿勢にかえる。
3 両者は1本目と同じように動作して旧位置にかえる。
(5本目・入身制体突き・先先の先)
第62条
1 互いに中段で前足から大きく3歩前進して間合に入り、仕方は打方の剣を右方に攻める。
2 打方はこれに応じて後退し直ちに仕方の胴を突く。
3 仕方は打方の剣を左下方に打ち払い、左足を前足に右足を後方に踏み替えながら体を開き、左手で打方の右肘関節の上部を押さえ整体して胴を突く。
4 仕方は左手をはなし右半身になり残心を示しながら後退し、構えの姿勢にかえる。
5 両者は1本目と同じように動作して旧位置にかえる。
(6本目・体を開いて行う制体胴の突き・先先の先)
第63条
1 互いに下段で前足から大きく3歩前進して間合に入り、仕方は剣を左に返して入身しようとする。
2 打方は後退し直ちに進出して仕方の右胴を突く、仕方は打方の剣を右に押さえながら、左足を前に踏み替え体を左に開き、打方の右上腕部を左腕でかかえ込み制体して胴を突く。
3 仕方は左手を放し右半身になり残心を示しながら後退し、構えの姿勢にかえる。
4 両者は1本目と同じように動作して旧位置にかえる。
(7本目・面打ちに対する制体突き・先先の先)
第64条
1 打方は下段、仕方は中段入身の構えで前足から大きく3歩前進して間合に入り、仕方は機を失せず打方の剣を下方に押さえて入身しようとする。
2 打方は仕方の攻めに応じ後方にさがりながらこれを脱して面を打とうと剣を振りかぶる。
3 仕方は打方の振りかぶりに乗じて入身し、打方の右上腕部を押し上げ制体して胴を突く。
4 仕方は左手を放し右半身になり残心を示しながら後退し、構えの姿勢にかえる。
5 両者は1本目と同じように動作して旧位置にかえる。