宅地建物取引業
□宅地建物取引主任者制度
宅地建物取引業者は、宅地建物の取引に関する専門家として、取引に関する経験および調査能力を有することが期待されています。消費者が取引上の過誤による損害を被ることがないようにするという責任を負っています。
宅地建物取引主任者は、宅地建物の取引にあたって、重要事項の説明、重要事項説明者および契約締結後に交付する書面への記名押印等重要な職務を担当し、公正な不動産取引を実現するための重要な役割を担っています。
昭和32年の宅地建物取引業の改正により、その前身である取引員制度が設けられました。
昭和46年の改正で、取引員が取引主任者となります。また、その重要事項の説明に関する事務および契約締結時における書面の交付に関する事務など、職務責任が明確化されました。さらに都道府県知事への取引主任者登録が義務付けられるなど、現行制度の原型が整備されました。
昭和55年の改正により、取引主任者の資質の維持・向上を図るための法定講習制度が創設されました。
□宅地建物取引主任者の任務
宅地建物取引主任者にしか行えない業務が2つあります。
①重要事項を説明し、説明書に記名押印(業法第35条)
②契約成立後交付する書面に記名押印(業法第37条3項)
取引主任者証を提示する義務(業法第22条の4、第35条4項)があります。
□重要事項の説明
宅地建物取引業者は、契約成立までの間に、取引の相手方に対して、物件に関する事項や取引条件などの一定の重要事項を、取引主任者として説明しなければならない。
必ず取引主任者の記名押印がされた書面を交付して行わなければならない。
取引主任者でない者が行った場合は、業法上の義務を果たしたことにならない。
□書面の交付義務
宅地建物取引業者は、契約が成立したときは、相手方に遅滞なく一定の事項を記載した書面を交付しなければならない。通常は契約書を交付する。
この書面にも取引主任者の記名押印が必要である。
□個人情報の保護に関する法律
平成15年5月30日に交付され、平成17年4月1日に施行されました。
この法律が保護する対象となる個人情報には、本人の氏名、生年月日その他の記述により特定の個人識別ができるものをも含まれ、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別できることとなるものも含まれます。
個人情報取扱業者は、構成する個人情報により特定識別される個人の合計が過去6ヵ月以内のいずれの日においても5,000人を超えており事業の用に供している業者や団体と定義されていますが、独自に保有する数が少なくても他の個人情報データベース等を事業の用に供する場合も含まれます。指定流通機構(レインズ)のみならず、指定流通機構から情報を得る媒介業者も、自己独自で保有する個人情報の数のいかんに関わらず、同法上の個人情報取扱業者に該当することになります。
国土交通省は、国土交通省ガイドライン(国土交通省所轄分野に係る個人情報に関するガイドライン)を定めています。
□定義
個人情報
生存する個人に関する情報で、氏名・生年月日など特定の個人を識別することができるもの
(他の情報と容易に照合することができて、そこから特定の個人を識別できるものも含む)
個人情報データベース等
個人情報を含む情報の集合物
(検索可能なもの、目次等を付けた情報も含む)
目的
宅地建物取引業の業務の適正な運営と李引きの構成の確保
宅地建物取引業の健全な発達の促進
↓
購入者等の利益の保護
宅地及び建物の流通の円滑化
宅地
建物の敷地に供せられる土地(用途地域の内外を問わない)
※宅地すなわち建物の敷地に供せられる土地とは、現に建物の敷地に供せられている土地に限らず、広く建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地とし、その地目・現況の如何を問わないものとする。
都市計画法第8条第1項第1号の用途地域内の上記以外の土地
※ただし道路・公園・河川・広場・水路の用に供せられている土地を除く
宅地建物取引業
宅地または建物の売買・交換、宅地または建物の売買・交換・貸借の代理・媒介のいずれかの行為を業として行う。
□免許権者
1 の都道府県内のみ「事務所」を設置 都道府県知事
2以上の都道府県内のみ「事務所」を設置 国土交通大臣
□免許要件
・一定の欠格事由に該当しない
・事務所に従業者5名につき1名の割合以上、案内所等に1名以上の専任の取引主任者を設置している
宅地建物取引主任者
□要件
・都道府県知事(指定試験期間)による試験に合格する
・都道府県知事に登録する
・都道府県知事から取引主任者証の交付を受ける
□任務
・重要事項説明
・書面への記名押印(説明書、契約に係る書面)
□義務
・主任者証の提示
営業開始の要件
営業保証金の供託か保証協会への加入が必要です。
□営業保証金の供託
・主たる事務所 1,000万円
・従たる事務所 500万円
□保証協会への加入
・主たる事務所 60万円
・従たる事務所 30万円
令第1条の2 第1号に規定する事務所
商業登記簿等に登載されたもので、継続的に業者の営業の拠点となる施設としての実体を有するものが該当し、宅地建物取引業を営まない支店は該当しないものとします。
登記していない個人にあっては、当該事業者の営業の本拠が本店に該当します。
令第1条の2 第2号に規定する事務所
□継続的に業務を行うことができる事務所
業者の営業活動の場所として、継続的に使用することができるもので、社会通念上事務所として認識される程度の形態を備えたもの
□契約を締結する権限を有する使用人
原則として、継続的に業務を行うことができる施設の代表者が該当し、取引の相手方に対して契約締結権限を行使(自らの名において契約を締結するか否かを問わない)する者も該当するものとする。