第29話. 高分子反応の可視化について (2005/12/24 作成、)
分子化学反応は、もしもミクロ・レベルのビデオ撮影が出来るならば、高速で飛び交い振動し回転している多数の分子同士が、多くは高速ですれ違いながらもその量と高速性の故に、短時間の間には必ず誰かと衝突し合い、その時によりエネルギー的に安定した状態に行こうとして結合または分離し、やがて、その反応系の中で定常状態に達する(分子化学反応物がある量以上は増えない----生成される量と分解される量が等しくなる) 様が観察できると思います。
我々生体の中で、たんぱく質が生成されたり、分解されたり、あるいは水やアルコール等の低分子によりその立体構造を変化させたり、あるいはたんぱく質同士が立体ジグゾー・パズルのように、互いの立体構造の凸凹を結合させたり・離れたり、といった反応も分子化学反応の延長線上にありますが、この様子を同様にビデオ撮影できるならば、病気や癌、あるいは老化と言った仕組みが手に取るように見えることでしょう。
現在の技術では、このような高分子レベルの反応は、その運動の高速性故に、動いている状態で撮影することは困難でしょう。
最近、あるコンピューター・メーカーが、たんぱく質が水分子の中でその構造を変化させる様子をシミュレーションするソフトウェアを開発し販売を始めたという記事を読みました。この方向を更に進化させて、マクロで見える結果とシミュレーション結果との差 (例えば、ある温度や圧力の基で、例えば水溶液の中で、ある量の物質AとBを反応させた場合の反応生成物の量についてのシミュレーションと現実の反応結果の差、等) が小さくなるようにシミュレーションのパラメーターやロジックを検討し調整していけば、結果的に反応の仕組みを可視化して見ることができるようになります。
そういう時がいつか来ると思います。