木枯らしに百日紅未だ残りおり ('92/11/3 11月2日の木枯らし1番の翌日 矢川にて)
木枯らしに我は残れり百日紅 ('92/11/13)
錦木に羽休めおり赤とんぼ ('92/11/7 東中野)
おなもみを付けて笑いし娘は二十 ('92/11/7 東中野)
寒椿咲きて虫の音静まりぬ ('92/11/7 東中野)
銭葵未だ咲いており日向ぼこ ('92/11/19 矢川、農家裏)
木枯らしに身を震わせるおしろい花 ('92/11/21 矢川)
山茶花の花びら落ちて朝静か ('92/11/25 谷中 擇木道場留護明け、玄関にて)
北風のホームに光る娘らの顔 ('92/12/7 西国立駅にて)
小春日の丸太に集う銭葵 ('92/12/7 矢川)
柿の実の朝日に映える通勤路 ('92/12/11 矢川)
冬の陽のけやきに遊び傾けり (92/12/15 矢川)
磯菊の色薄れ行き師走かな ('92/12/17 東中野)
川の水冷たそうだな魚たちよ ('92/12/22 矢川)
この水に良くぞ潜るぜ冬の鴨 ('92/12/22 矢川)
沈丁花出陣前の凛々しさよ ('93/1/9 東中野)
寒川の詣での列に通り雨 ('93/1/17 寒川神社)
冬の雨水銀灯に注ぎおり (93/1/19 東中野)
深更の水銀灯に氷雨落つ ('93/1/19 東中野)
寒の雨軒端で回る洗濯機 ('93/1/25 東中野)
せきれいが道案内する冬小道 ('93/1/28 矢川)
陽だまりを選んで歩く冬小道 ('93/2/2 矢川)
寒風が腹にしみ入る野中道 ('93/2/2 矢川)
春一番炬燵でみかんむいて聞く ('93/2/7 東中野)
満月や青き地球(テラ)を重ね見る ('93/2/8 矢川にて、月の直径6倍の地球が空に懸かるさまを想い描いて))
すき腹に寒風しむや野中道 ('93/2/9 矢川)
春一番一人静かに酌んでおり ('93/2/12 東中野)
沈丁花闇の奥より匂いくる ('93/2/27 東中野)
沈丁花過ぎ行く人を呼び戻し ('93/3/4 東中野)
春の夜の踏み切りの音のくぐもりぬ ('93/3/16 矢川)
春の宵月は朧にビルの間に ('93/3/7 谷中)
沈丁花風に香りを乗せ来たり ('93/3/11 矢川)
鴛が船団のごと水を引き ('93/3/22 清澄庭園)
春風やイヌノフグリにホトケノザ ('93/3/31 西国立)
ハボタンや丈を伸ばして降板す (93/4/5 東中野)
鴨たちの水音高く春うらら ('93/4/11 清澄庭園)
梅雨晴れや楠木ゴウとなびきおり (93/6/11 すずかけ台)
梅雨晴れや午後の会議の続きおり ('93/6/11 箱崎)
長梅雨や術後の弟元気なり ('93/7/24 慈恵医大)
梅雨明けてニイニイ蝉のかすかなり ('93/7/28 谷中)
梅雨明けて日傘の老女なお痩せり ('93/7/28 谷中)
ひまわりが雁首そろえておはようさん ('93/8/7 東中野)
蝉時雨河を超えて飛んで来し ('93/8/9 小出。青春18切符で日帰りで小出まで各駅停車の旅)
魚野川付和雷同の蝉時雨 ('93/8/9 小出)
魚野川とんびが合いの手蝉時雨 ('93/8/9 小出)
蝉時雨ここをせんどの蝉時雨 ('93/8/9 小出)
みそはぎの墓前にありて蝉時雨 ('93/8/9 小出)
法師蝉短き夏を惜しみ鳴き ('93/8/23 小金井公園)
缶ビール深夜の窓辺夏行けり ('93/09/13 東中野)
秋海棠つわものども(蝉)が夢の跡 ('93/09/24 東中野)
深々と積りし花は金木犀 ('93/10/01)
磯菊や都会の中にも季節あり ('93/10/25 東中野)
庭落ち葉集めて戻す苔の山 ('93/12/19 谷中、擇木道場)
庭もみじ茶筅供養に降りかかり ('93/12/25 谷中、擇木道場)
新眼鏡欅の細枝のひとつづつ ('94/01/22 東中野)
いずこより花舞い来る誕生会 ('94/04/08 東中野)
花舞いて樹のいずくにかあるけらし ('94/04/08 東中野)
観音に羽休めたり鬼やんま ('94/08/07 別所温泉北向観音)
両側に軒の続きて日陰無し ('94/08/07 別所温泉へ日帰り青春18切符)
涼風は懐広げ味わうべし ('94/08/26 吾妻渓谷)
渓声は遠くなりて蝉時雨 ('94/08/26 吾妻渓谷へ日帰りの青春18切符)
水打てば付和雷同の蝉時雨 ('94/08 谷中擇木道場)
梅雨半ばオホーツク高気圧張り出しぬ ('96/6/24 根津、日本医大))
待合を抜けて目にする時雨かな ('96/12/17 羽田空港、高知出張の折)
炎天や日傘の老女なお痩せり ('97/06/26 谷中)
水打てば行く時もなく蝉時雨 ('97/06/26 谷中)
蚊遣り香古き良き日を運び来て ('97/06/26 谷中)
わが町の黒きは森白きは河 ('97/06/26 守谷)
七変化する間もなくて梅雨明けり ('97/06/26 谷中)
山帰来鳥に食われた注連飾り (''97/2 守谷)
寒なれど水の色の春めきぬ ('97/2 箱崎)
直哉邸往時の湖畔蝉時雨 ('97/8 我孫子手賀沼)
アオコ濾すエンジン響く利根の跡 ('97/8 手賀沼)
涼風は懐広げ味わうべし ('97/8 手賀沼)
露草に息整えて木陰道 ('97/8 手賀沼)
楚人冠今も変わらぬ蝉時雨 ('97/8 手賀沼)
風無きに荷葉動き蝉時雨 ('97/08 手賀沼)
蝉時雨野山を駆けし幼き日 (97/08)
富士赤くつるべ落としの里の秋 ('97/10 富士山麓)
あら哀れカラスが食べしざくろかな ('97/10 谷中擇木道場)
名水の青き底にも秋の陽や ('97/10 忍野八海)
師を囲み蕎麦湯もうまし旅の秋 ('97/10 天祥庵)
つくばいの底よりのぞくもみじかな ('97/12/13 谷中擇木道場)
天空にオリオン高しシャラ眠る ('97/12/13 谷中擇木道場)
冬芽のみ残し枝ぶり確かなり (97/12/13 谷中擇木道場)
夏椿葉を落としてなお色気あり ('97/12/13 谷中擇木道場)
ポツポツと残れるざくろメジロの餉 ('98/01/10 谷中)
山茶花で雪宿りする尾長かな ('98/01/10 守谷)
二人して降り積む雪の音を聴き ('98/01/10 守谷)
紅白の万両赤のみ食われたる ('98/02/20 守谷)
大雨や間近に迫る春の音 ('98/02/20 谷中)
夜回りや塀の猫を驚かし ('98/02/20 谷中)
花屋にて一足早きスミレかな ('98/02/28)
豊かさやイヌノフグリにホトケノザ ('98/03/13 守谷)
春疾風鉢の避難を完了す ('98/03/13 守谷)
夜桜の行く人絶えて雨に落つ ('98/04/07 谷中)
菜種梅雨果てるともなく降り続き ('98/04/07 谷中)
ギボウシの天突く如く萌えいずる ('98/04/12 守谷)
縁古き道友の通夜春の宵 ('98/04/12 谷中)
梅雨近し柿の木坂の通り雨 ('98/05/30 駒沢、柿の木坂)
梅雨近し重き並木に重き雲 ('98/05/30 駒沢、国立医療センター)
美央柳重き空気を払いおり ('98/05/30 駒沢、柿の木坂)
子育てにいらだつカラス梅雨近し ('98/05/30 駒沢、医療センター)
紫陽花や今日もあくせく働くか ('98/06/16 駒沢、国立医療センター)
炎天や少なき影を選り歩く ('98/06/30)
静けさや池のほとりにカンナ咲く ('98/07/04 八鶴湖、家族ぐるみ懇親会)
梅雨甕の最後の水をぶちまけり ('98/07/04)
着流しの師は麦藁で散歩せし ('98/07/04)
鬼やんまぎょろりと睨みわれを越え ('98/07/04 八鶴湖)
八鶴館ニイニイ蝉の初鳴けり ('98/07/04)
小日向の蝉驚かす大読経 ('98/08/02 小日向霊園、如々庵老師一周忌)
植え込みを越えて顔出す野菊かな ('98/10/04 守谷)
気がつけば野ボタン既に散りおりし ('98/10/04 守谷)
菊の香の名残惜しむや寒波来る ('98/11/20 守谷)
遊び飽きねぐらに帰るユリカモメ ('99/03/04 箱崎)
春の花満喫したり吟行会 ('99/03/28 向島百花園)
カタクリも未だ身を縮め吟行会 ('99/03/28 向島百花園)
名札ある場所には無いがホトケノザ ('99/03/28 向島百花園)
青嵐茶色の川面渡り行く ('99/05/09)
山鳩の声くぐもりて梅雨近し ('99/06/06)
ジャスミンの香り重たし梅雨に入る ('99/06/06)
梅雨明けの湖面はるかに牛久仏 ('99/07/20 土浦、霞ヶ浦)
梅雨明けて湖(うみ)より望む予科練跡 ('99/07/29 土浦)
今年も早や流星群の神無月 ('99/11/17 谷中)
木枯らしの一号流星迎えけり ('99/11/17)
彗星で在りし日思う流星群 ('99/11/17)
テラ(地球)が鼻突っ込むだけの流星群 ('99/11/17)