第16話. ブラックホールへと重力崩壊した物質があいかわらず質量を持っているということはどういうことか (2005/02/19作成)
我々の体を含めて、我々の周りに存在する全ての物質は基本的に原子から構成されており、原子は更に原子核と電子から構成され、原子核は陽子と中性子から構成され、更に、陽子と中性子は6種類のクォークから構成されているということになっています。クォークはこれ以上には分解できない基本的粒子とされています。
クォークを結びつけて中性子や陽子を構成する力は「強い力(核力)」と呼ばれています。
一方で、星の一生の最後では、核融合反応の燃料を大方使い切って、星を支えるガスの内部圧が重力に抵抗しきれなくなったところで、特に質量の大きな星は中性子星やブラックホールになると言われています。中性子星は、原子までもが押しつぶされて、原子を構成する電子が原子核の陽子に吸収されて中性子となり、星全体が中性子で構成されている状態ですが、未だかろうじて核力で重力を支えて中性子は壊れていません。
しかし、星の質量がある大きさより大きい場合、あまりにも強大な重力のために中性子を支える核力すら重力に抵抗できずに、もはや抵抗できるものは何も無く無限に押しつぶされてブラックホールになると言われます。核力でも支えられないと言うことは、当然クオークの形も維持できないと言うことになります。
しかし、ブラックホールは質量を持っている。質量とは物質に固有のものではありませんか? すると、重力崩壊の先には、どこかで質量を持った物質のまま止まるところがあると言うことではありませんか? それは、今知られている「強い力」よりも「更に強い力」がその先にあって物質の形を維持させているということにはなりませんか? それとも、ブラックホール内の時空が質量を持つということでもあるのでしょうか?