第12話. 人はRISC? (2004/12/05作成。2004/12/12加筆)
DNAの中でたんぱく質をコードしている部分を遺伝子と呼び、人の場合、その数は約2万2千個ということです。この数は、線虫 (約1万9千個)やショウジョウバエ(約2万個)とほとんど変わりません。にも関わらず、組織の複雑さに差があるのは、遺伝子とは別の制御要因によるものであろうと推察されています。その制御要因の候補として、従来がらくたDNA (たんぱく質をコードしないDNA) と見なされて来たものが最近注目されています。人間の場合、このがらくたDNAが95%以上にのぼるということです。
ところで、コンピューターの世界ではSISCコンピューターとRISCコンピューターというのがあり、SISCは必要な全ての命令セットをハードウェアで用意しているのに対して、RISCは基本的な命令セットのみ用意して、その組み合わせで複雑な命令を実行するようにしています。SISCは高価で、且つ、命令セットの破損時のリスクを考慮するとバックアップ・セットをもつことも馬鹿にならない話になるのに対して、RISCは安価で、バックアップの命令セットを用意することも容易になります。つまり、RISCの方が安価で且つ破損に強い柔軟な構造という気がします。(計算スピードは、同じクロックならば当然SISCの方が早い。SISCが一つのクロック・サイクルで1命令を実行するのに対して、RISCは命令によっては複数サイクルを必要とするからです。しかし、実際にはRISCでもパイプラインという手法により、結果的にSISCに近いパフォーマンスをあげるように工夫されていますが。)
RISCコンピューターではハードウェアで用意している基本命令セットに無い命令を実行するためには、基本命令セットをどのように組み合わせて使うかをソフトウェア (固定で焼き付けられている場合もあります。ファームウェア、マイクロコードと言う場合もあります。)で制御することにより行います。
がらくたDNAは、RISCコンピューターのマイクロ・コードのような役割を果たしているのではないでしょうか?