第21話. 日本人のルーツの一つはウラル・アルタイ (2005/08/20予告編作成、9/11加筆、10/16更に加筆修正し発表)
今年、縁あって米国のGenographic Projectに参加しました。研究に参加したわけではなく、DNAサンプルを提供しました。
その結果、小生のDNAはHaplogroup N (LLY22G) の特徴を最も良く備えており、そのグループはロシア、アルタイ山脈の東側、フィンランド北部、スカンジナビア、及び、東欧に多く存在すると言うことです。このグループはウラル言語を話す民族の移動にトレースできると言うことです。
一方、日本語の起源に関する本の中では、大野晋博士のタミル語との共通性を指摘した説が話題を集めましたが、多くの言語学者が共通して認めているのは、日本語の起源の一つは、ウラル・アルタイ語の系統に繋がるという点です。それは、タミル語との親近性を唱える大野晋博士も述べておられますが、日本語には母音調和の特色が残っており、これはアルタイ語の特色であるということです。母音調和とは、母音を前舌母音/中舌母音と後舌母音とに分けた場合、単語の最初の母音として一方の系列の母音が来ると、それに続く母音を皆同じ系列の母音に引っ張っていく現象のことだそうです。
日本人はウラル・アルタイの北方系と、マライ・ポリネシアの南方系と、及び、中国の江南にルーツを持つ民族の3種類を主要な起源とする重層構造だと思っていましたが、今回、自分のDNAで、その一端を垣間見た気がしました。
DNAをベースとする人類の系統樹作成をハードウェア(DNA)面からのアプローチとすると、言語や文化あるいは食生活等の面からの系統樹作成はソフトウェア面からのアプローチと言うことができ、、今後、両方向からの研究の進展や交流により、日本人や日本語のルーツが愈々明らかになることが楽しみです。