第26話. タイムマシンについて (2005/10/21予告編作成、2005/11/21一部加筆し発表、2018/12/03一部更新しました)
タイムマシンは、未来か過去の時空に我々を移動させる空想上のマシンですが、ちょっと考えてみても、いろいろと克服しなければならない現実的な課題があります。バック・トゥー・ザ・フューチャーを始め、タイムマシンを題材にした映画はたくさんありますが、どれも敢えて触れていないと思われる現実的な考慮点があります。
例えば、移動させる対象となる物質のみを時空から切り取ることを考えて見ましょう。 (そもそも時空から切り取るなんて出来るのでしょうか?しかし、ここでそれを言っては話が始まらないので、仮に切り取ることが出来るとして)。 我々生物は、一見すると周りと明確に線引きできる境目を持っているように見えますが、マクロレベルでは体を常に動かしており、また呼吸や発汗等で外部と相互作用しており、ミクロ的には分子レベルで外部と激しく分子交換を行なっており、その境目がどこであるということを線引きすることはそう簡単ではないと思います。それを敢えてきれいに瞬時に線引きして切り取るためには、ある程度の割り切りと、安全面を考慮して外部を多めに切り取るか、または宇宙服のようなものに身を包ませて宇宙服毎切り取るというような事が必要になります。
更に、物質を切り取った後の時空は、真空ですから、切り取った瞬間に周りの空気がどっとなだれ込み大音響をあげるでしょうから、周りの迷惑にならないように騒音対策も必要となります。
更に、移動した先の時空では、そこに存在している物質と激しく衝突することになりますから、何も手を打たなければ、移動先の時空にたとえ空気しかないとしても我々生物は死んでしまうでしょう。原子レベルで考えてみるとわかりますが、我々の体を構成している原子の集団が、移動先の時空に存在している原子の集団と突然混ぜられることになりますので、我々の体を構成する細胞の一つ一つが沸騰し、爆発するでしょう。それを避けるためには、移動先の時空を真空にして、我々は宇宙服に身を包んで行かねばならないと思います。
また、地球は太陽の周りを公転し、太陽は銀河の自転に沿って公転し、更に銀河も銀河団の中で飛び回り、更にまた、銀河団も宇宙膨張の中で姿を変え移動しつつありますから、過去や未来の地球に行くということは、その時点の地球の位置を正しく計算して、更に地球の自転も考慮しないと同じ場所には行くことが出来ません。仮に時間を飛ぶことが出来るとしても、この空間座標の差を埋めるのが難しそうです。(太陽系の中の将来地球に衝突する可能性のある彗星や小天体すら予言できないのに、多くの天体と重力で相互作用しあう銀河の中の太陽系の中の更にまた地球の軌道を、未来に渡って予測することは不可能に近く、過去の軌道も、同様に計算できないでしょう。この宇宙に存在する全ての天体を始めとする物質の位置と質量と運動量と、未だ正体の判っていない暗黒物質の同様の値を全て把握して、更に宇宙斥力もパラメーターとしてコンピューターに入れたとしても、近似の座標しか計算できないと思います)