第18話. 時空の膨張とともに我々も膨張しているのでしょうか? (2005/04/16作成、2006/10/01修正--青字部分、2023/07/06加筆)
現在はビッグバン時のインフレーション(時空の急速な拡大)以降の第二のインフレーションの最中であると言われますが、我々も一緒に膨張しているのでしょうか?
時空というものはたとえ物質の無い真空の状態であっても、まったく何も無いものでは無く、それ自体が構造を持っていて、その構造変化によりエネルギーを放出または吸収して、その結果、現在は加速度的に膨張していると言われています。
物質は時空構造の中で存在しているわけですから、その存在形態は良く分かりませんが、時空が膨張しているならば我々の体も膨張していると考えるのが自然の考え方だと思います。
しかし、そもそも時空構造とはどんなものであり、その中で物質とは時空構造にどのような関わり方をしているかが分からない限り、我々が膨張しているのかどうか結論できません。
アインシュタインの相対性理論によれば、少なくとも物質が存在すれば重力が発生し、その重力により時空が曲げられるということですから、物質は間違いなく時空と密接な関わり方をしているはずです。
四次元の時空構造を考えるのは面倒なので、球面という二次元の時空を考えて見ましょう。この球面の構造は、突き詰めるとどのような構造をしているのでしょうか?
地球儀を考えてみると分かりますが、地球の表面は正方形では隙間無く平等に覆うことは出来ません。正三角形ならば、それは厳密にはユークリッド平面上の正三角形では無く、球面上の正三角形ですが、それならば全球面を隙間無く平等に覆うことが出来ます。
おそらく、我々の時空も、部分部分に例外があったとしても全体としては安定な構造を持つのではないのでしょうか?
それが膨張するとはどういう仕組みでしょうか?
前記の地球儀の例で見るならば、基本構造の正三角形そのものが膨張しているのか、それとも、正三角形の中に次々と新たな正三角形があたかも癌細胞の増殖のように次から次へと生まれてきているということでしょうか?
そして、光とは恐らく上記の地球儀の例では、その正三角形の辺を伝わって行く振動(波)または変異信号であり、時間の進み方と密接に関係した空間の変異の仕方 (例えば、隣接する正三角形の中に新たに4つの正三角形を生成させる等) と結びついているのでしょう。電子をはじめとする量子は、光とは異なる属性を持った変異信号 (光という変異信号はほとんど光速で伝わるのに対して、物質粒子は周りとの相互作用により、そのTotalの変異信号が拘束され 例えば電磁気力や重力という、それ自体が時空構造との関わり方が良く分らないものの、そのポテンシャルに制限されて、伝わり方が千変万化している) そういうものではないかと勝手に推定します。
そして、物質の塊である我々も、時空のノード (上記の例では正三角形の頂点)の増加または辺の拡大に伴って、恐らく、拡大しているのではないかと勝手に推定します。
[以下は2006/10/01修正のために加筆] ⇒ 2023/07/06 これも更に訂正 (下記赤字見出し以下を参照)
時空と物質との関わり方が良くわからないが、「時空の膨張とともに我々も膨張しているだろう」というのは、寄って立つ何の根拠も無く、暴論と言えるでしょう。逆に我々も時空とともに膨張しているならば、我々は物差しを持たないことになり、膨張を検知できないでしょう。したがって時空は膨張しているが我々は膨張していないと考えるほうが自然のようです。
[2023/07/06 七夕を前にした加筆 (我々が宇宙の膨張と共に膨れる程度を計算してみました)] 2023/09/15、 1桁間違えてたものを修正(緑字)
時空と物質との関わり方は良くわかりませんが、仮に、物質は膨張する時空の界面 (物質は時間に拘束されていると思われることから、特に時空の時間面とそうでないものを隔てる境界面) に投影された映像だと仮定した場合には、映像は空間面にも投影されますから、空間が膨張していれば映像も膨張すると考えるのが自然と思います。つまり、時空の膨張と共に我々も膨張していると考えるのが自然と思います。その膨張速度はハッブル定数(73.24±1.74km s-1 Mpc-1 )から求めると、人の身長は2m程度ですから、その足元から頭頂までの距離は1パーセクが30.8×10の12乗kmを適用すると、0.002÷(30.8×10の12乗) = 6.5E-23 Mpc (2023/09/15 修正 6.5E-24Mpc)となりますので、人の体の膨張速度は4.76E-21km/s (2023/09/15 修正 4.76E-22km/s)となります。言い換えると4.76E-9nm/s (2023/09/15 修正 4.76E-10nm/s)であり、1秒間に水素原子1ケの大きさ0.1nmの1億分の1(2023/09/15 修正10億分の1)も膨らまないということになります。仮に100年生きる人の場合、3.15E10秒ですから、一生かけて約150nm (2023/09/15 修正15nm)(水素原子1500個分) (2023/09/15 修正 150個分)相当の長さ伸びるということになります。
ただし、我々は銀河団の中の銀河系の中の太陽系の地球という、宇宙全体の平均から見ると物質の大変濃いところに居ますので、重力も宇宙平均よりはずっと強く、かつ、重力の強いところでは時空の膨張速度が遅くなりますから、その効果分を上記値から減じる必要があります。その計算はとても面倒なので、(小生の手には負えませんので) 割愛いたします。