2021/05/17 米科学誌Scienceに「Do coronavirus genes slip into human chromosomes? (コロナウィルスは人の染色体に潜り込むのか?」という記事が掲載されました。
それを裏付ける証拠がいくつかあり、且つ、それが「コロナから回復して何か月か経った後でPCR検査でコロナ陽性と判定される人がいることの説明になる」という記述がありました。
この説はまったくおかしなことではないし、当然ありうることとして受け止める必要があると思います。拙文「第14話. 水虫のDNAは人の細胞のDNAに種を残して生き延びる」 で述べたように、生命の戦略は自己のDNA/RNAを未来に残し続けることですから、そのためには、自己のDNA/RNAが末永く再生産される関係を人を始めとする宿主と確立しなければならない。
その方法は、コロナウィルスの場合には、①宿主あたりのコロナウィルスRNAの再生産数をできるだけ多く、且つ、②再生産されたRNAウィルスができるだけ速やかに他の宿主に渡されて、そこで新たな再生産が行われるようにすること、までは、他の細菌やウィルスと同じですが、更に、人間の腸内細菌と同じように、③宿主と共生し、宿主とGive and takeの関係を結んで、宿主の繁栄と命の連鎖に乗っていくか、更に共生を進めて、④ミトコンドリアのように、人間のDNAの一部となって、人間の命の連鎖に乗っていくということが考えられます。
④の場合に、人間のDNAの一部となった場合に、そのDNA配列から再生産されるものが、(a)現在猛威を振るっている人間に有害なコロナウィルスまたは変異体と同様の有害物の場合と、(b)人間に無毒、または有用なタンパク質を生成する、あるいは、人間の生命維持・再生産活動を支援・促進する働きをする場合と、(c)あるときは有害あるときは有用な働きをするものとなる場合とがある思う。
(a)の場合、再生産のトリガーが何かによるが、DNAの当該配列部分が、普段はDNAの立体的に巻き取られた奥にあって、メッセンジャーRNAに曝されない間は読み取られることがなく、コロナウィルスが生成されることはないが、何かのトリガーによって、DNAの立体構造がほどけて、問題の配列部分が表面に出てきたときに、メッセンジャーRNAによって当該配列が読み取られてコロナウィルスが生成されて、人の免疫機構との戦いが始まることになる。あたかも、一度人間の免疫機構との戦いに敗れて後退し、ウィルスそのものは一見人間の体内からほぼ一掃されたが、人間のDNAの中に身を潜め、臥薪嘗胆、機を見て自己を再生産させて再戦を試みるという感じ。まわりくどいけれども、再戦によって自己大量再生産の機会を得て、成功すれば、他の宿主への拡散移転を図ることができるので、この戦略もありうると思う。
これがあるということは、人は今後、それこそ「with corona」で生きていくことを覚悟しなければならないと思う。