2月末に卒研生たちが卒論の提出を終えた翌日に、研究室では新卒研生や新しい大学院生との顔合わせ。またこの「新しいタネを蒔ける場所」に新しいメンバーが加わることを嬉しく思います。
メンバーを新たにして改めて伝えた(い)ことは3つ。
1. 言葉をうまく使えるようになって成長しよう
2. できないことに取り組もう
3. 問題解決力を身につけることは大切。それ本当?
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1. 言葉をうまく使えるようになって成長しよう
人は言葉を使うことで進歩してきました。話して伝えることで、自分自身や近くの人たちとだけではできないことを可能にし、問題解決のチャンスと成果の幅を広げてきました。さらに、言葉を書けるようになることで記録を可能にし、他者による過去の経験から学んだり、今の学びを次に伝えたりして進歩することを可能にしました。
自分自身でできる進歩自体は大きくなかろうとも、その力が将来何かのプロジェクトに参画したときに活きるときは必ず来ます。チャンスが来たときに活かせる準備を今しましょう。
2. できないことに取り組もう
なぜ大学、大学院に通うのか? それは、自分が今できることをできると確認するためではありません。今はできないができるようになりたいことを見つけ、経験することで、その一つ一つを「できる」に少しずつでも変えていくためではないでしょうか。
これまでの多くの100点満点のテストでの成績が良かった人も、これからは(おそらくは、卒業後もさらに)より多くの「できない」経験があなたの前に現れるでしょう。それは悲しむべきことでも恥ずべきことでもありません。その一つ一つをクリアしていくことで、人はいつでも成長できるのです。
これから皆さんが経験するのは、満点などという枠はとても囲え切れない、広く楽しい世界です。枠の中を満たすこと以上に大切なことがあります。その広く楽しい世界が自身の、そして隣の人の「できない」場面を互いにも尊重しあい、高め合う場所に皆さんでしていってほしいと切に思います。
3. 問題解決力を身につけることは大切。それ本当?
問題解決力は大切と言われ、それはたぶん確かに大切なんだろうと思います。しかし、実は問題は解決しないからこそ問題であることも事実です。解決できる問題は、一つ一つ解決して前に進んでいきたいものです。しかし、ときに解決できない問題を前にしても次のステップに進む必要があることもまったく少なくありません。
そんなときに、言ってみれば問題が解決していない場面でも次にどう進むのか。難しい状況でも前に進むべく次の一手をどう選ぶ(もちろん、周りに助けを求めることも含めて!)のか。それが「問題解決力」よりもずっと大切なのかもしれません。
大学院研究や卒業研究の場が、そんなことを実感して学べる所であり続けるようにしたいと思います。