「プレゼンって誰のためにするもの?」
こう卒研生に訊いたところ、返ってきた答えがこれだったので少し安心しました。
「プレゼンは相手のために。」
冒頭の問いへの答えは、そのプレゼンの舞台が自分にとって重要な機会であるほど、「自分(の成長)のために」「自分が良い評価を得るために」という面が頭にチラつくこともあるかもしれません。
それも悪くないでしょう。しかし、そういったものを得るためにも結局は、プレゼンを通して自分が何を考えているのか、何を面白いと、何が重要だと自分が思っているのか、何に困っていて何を必要としているのか、自分がどういう人間なのか。場面によってそれが相手に伝わるつくりになっていなければ、自分が望む結果にはなかなか近づけません。
ではその「相手のために」、「相手に伝わる」準備をするにはプレゼン資料をどこから準備すればいいでしょうか。
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それはまず、もし聞いてもらえる時間が「15秒」しかないとしたら一番伝えたいことは何かを、初めに考えることです。そして、これをプレゼンで確実に伝えるべきメッセージの核として、外さないように準備を進めていくことがポイントになります。プレゼン資料を作るのに、冒頭の部分から内容を作り込もうとしては絶対にいけません。
次に、説明を「1分」で過不足なく伝えるとしたら何を伝えるか。コンテンツを全体像を1分間で伝わる文量で自分の言葉にしてみること。それが、そのプレゼンで伝えるべきコンテンツの要点になります。
ここまでやって初めて、プレゼンに許される時間に合わせて内容を肉付けするステップになります。
このときも、資料の冒頭の方、つまり始まりの部分から順番に作り込んでいくことは絶対にしないこと。そうでなく、例えばプレゼンの時間が10分間だったら説明する内容を一つの語句、もしくは一文にしてリストにしてみましょう。その数は、1分あたり1つ(10分だったら8~10個)が目安です。その作業は、例えば作る資料がPowerPointを使ったスライドだったら、真っ白なスライドを10枚出してみて、まずスライド1枚ずつに付けるタイトルを並べていってみることに当たります。
あとは、作る資料がPowerPointだったら、各スライドに載せる図表をまずは貼り付けてみること。そして、その図表の内容がストレス無く伝わるようにするために付けるべき説明(語句や印)は何かを考えて、それを揃えること。「なぜそう言えるのか」「なぜそう考えたのか」といった、各スライドで伝えたいメッセージを明確にすること。
内容を「15秒」「1分」で表せる言葉に要約するところから始めてここまでできれば、プレゼンの準備はできたも同然。大ケガをすることはまずありません。しかし、この順番を誤って本当は伝えたかった(もしくは伝えるべきだった)要点を外したり、ストーリーがブレてしまったりしてしまうと、自分が伝えたかったことが伝わらない惨事の起こる可能性が大きくなってしまうでしょう。
この手順を参考に、どのように準備をしたらいいか、試行錯誤をしてみてもらいたいと思います。
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プレゼンテーションの準備をどうしたらいいだろうかという話は、これまでも某所にたびたび書いてきました。おそらく探すといくつか出てきそうですが、5ヶ月前に書いたものだけ一つ、最後にリンクを貼っておきます。参考になれば嬉しく思います。
●大学院生に伝えたい大学院生に伝えたい「学会発表スライドの作り方」(2020年11月)