東京理科大学に入学する皆さん、理科大に限らず新年度に学び始める新たな場所を得た皆さん、おめでとうございます。
大学で皆さんは、それぞれの分野の知識や技術を知ることになると思います。ある場面では修得したそれらを答案に書けば、高得点が得られ良い成績で学業を修められることになります。それが進級や資格取得のラインになることも、もちろんあるでしょう。しかし、大学で学ぶことが良い成績をとることで終わってしまったら、ここでの学びが成功したとは言えません。 学ぶことで良い成績をとることや、何かに合格をすること。それだけでなく、得た知識や経験をもとに自分で何か行動してみることと、考えて自分なりの意見を持つこと。この2つをできるだけ多く経験することを、大学で大切にしてほしいと思います。
何か行動してみること。
これは、何もいきなり会社を作ろうとか本を一冊書こうとかいうわけではありません。皆さんの手元には今、スマホがあると思います。大学でその日知った知識や単語を、教科書やノートだけでなくスマホからネットで検索してみてください。その知識はもしかしたら、大学に行かずしてもアクセスできるものだったかもしれません。
今や、知識は手元で誰でも得られるようになっているのは、皆さんすでに実感していることかと思います。大学で知った知識や単語を起点に、是非その隣にはどんな世界があるのかを自分で見つけていってほしいと思います。もちろん、大学はそのきっかけを皆さんに多々提供することでしょう。そのきっかけを生かすか殺すかは皆さん自身です。
自分なりの意見を持つこと。
これを意識的に繰り返して試行錯誤してみてください。大学に入るまでの過程では、与えられた問いに対して答えを返し、満点に近い回答をできるかどうかが重要であった場面を少なからず経験したきたと思います。しかし次のステージにおいて、与えられた問いに回答することで新たな仕事に関わる機会(たとえば就職)を得たり面白い仕事を作れたりすることは、まずありません。
目の前の事柄について、自分自身が何を課題・問題だと思うか、自分が何を大切だと思うか。それはなぜなのか。その意見は他人のものと違っても何ら問題はありません。それを可能な限り、理由や根拠をもって意見として持つこと。新たに知識や事実を知っていく中で、自分の中に考えが生まれることに意識的であること、それらを見逃さないこと。生まれる考えを、人に伝わる自分の言葉で表現できるようになること。そうすることで、自分をもっとワクワクできる環境に置けることになるでしょう。それは、テストで高い点数をとること以上にずっと大切なことです。
今から新しい場所で新しいチャレンジを始める皆さんの「いま」が、思い描いていた以上にワクワクする楽しいものになることを、心から願っています。