TCFフレンドリーロードレース2021

日付: 2021年10月10

場所: 千葉県成田市 下総運動公園(フレンドリーパーク)

今年のフレンドリーロードレースは、『落車をしない・させない』がテーマ。今回の特別講師であるチームユーラシアの橋川監督と選手2名が参加してくれた。


チームユーラシアは、中学生高校生の見込みある若手をロードレースの本場ヨーロッパのレースに参戦させる『サイクリングアカデミー』という夏休み育成プログラムがあります。

今回来てくれた選手の一人は、小学生の頃にこのフレンドリーロードレースに参加してくれていて、サイクリングアカデミーからチームユーラシアに加入して、現在はキナンチームの選手です。

橋川監督の呼びかけに快く応じてくれた選手2名ともに講師としてフレンドリーロードレースが始まった。


フレンドリーロードレースは、レースだけではなくレースのためのトレーニングや勉強を午前中に行います。

芝生広場でフルブレーキの練習。まずは丘の斜面から惰性で進んでストップラインで急制動。最初は自由にやってもらう。

それから自転車に乗らないで全員集合、急制動ポジション見本を橋川監督が解説してくれた。ポイントは『肘を曲げて頭を低くして、腰を引く』みんなはサポートを受けながらポジションを確認。

さらに数回の丘からの急制動。みんな制動距離短縮を果たしただけでなく様になった。なかには転んだ子もいるけれど芝生なので大事には至らない。

集団走行ではわざと肘で押し合うようなアクションも交えた。これも落車をしないためのメソッドの一環。それは昼休みを挟んでの講義で明らかになる。


サイクリングアカデミーは2016年〜2019年までのレース中の落車事故を減らすために落車データ収集をして分析。『落車をする選手はするべくして落車する。90%の落車は防げる』と橋川監督

同行した選手を例に、橋川監督の真剣なヒアリングにより落車分析を見せてくれた。

落車分析の要素は<機材(整備不良やタイヤ選択)・情報(天気や道路状態や集団内のコミュニケーション)・精神(焦りや使命感)・外的要因(突発的事故など)>でそれぞれの積み重なり。「コップいっぱいの水は最後の一滴で溢れる。落車も同じ。走りながら情報や精神を整理して冷静になれれば落車を避けられる」と、アカデミーでの実績を話してくれた。レース中にコップの水が溢れ出さないよう、できることは事前に解決しておくことが重要と締めくくってくれた。


午後の実技では、アカデミーの講話を心に走ってから個人タイムトライアル。そして最後に優秀な6人が選抜されて2チームでの2周のチームタイムトライアル。どちらにも現役選手が付き添ってくれる。タイム的に有利なAチームに付く現役選手は一切のアドバイスが禁じられ、実力で劣り気味なBチームに付き添って走る現役選手はアドバイスが許される。そう、現役選手はチームメイトたちにわずか2周のなかでどんなアドバイスをする?

Aチーム出走の30秒遅れでBチームがスタート。結果はBチームが約25秒もタイム差を詰めて勝った。Bチームでは現役選手がチーム選手たちの疲労度を観察して余裕のある選手に先頭を長めに牽引させた。上り勾配では力をセーブさせ、下では惰性を活用してペダルを回させた。個別に声がけをした。そういったアシストがチーム勝利に貢献。

ロードレースは、力だけではなく頭脳も使うことで勝利を得ることができる素晴らしいスポーツであることを証明してくれた。