2011-43

県立図書館のレファレンスサービス

祖母の実家(緒方)は,2代にわたり養子による家督相続が続いた ため,緒方家のDNAを直接引き継いでいるのは緒方から嫁いできた祖母,父,私の系列だけである.その祖母の父親(江戸ー明治に生きた)については氏名以 外はほとんど聞かされていなかった.氏名だけを手がかりにネットで調べると熊本在住の郷土史家が公開している「有禄士族基本帳」に名前があり,原本は熊本県立図書館に所蔵されていることが判った.

早速,インターネットで蔵書検索すると明治大正期の縣政資料であることが分かった.


書誌番号 1005010261031

資料区分 図書

書名 熊本県公文類纂 8ー43 有禄士族基本帳 明治7年 33冊ノ内1

副書名 明治大正期県政資料 8ー43

大きさ 26

一般注記 出版年不明

禁帯出 3F貴重書庫(印刷してカウンターへ) 古文書 在庫中


一般人は見ることはできないと早合点し,図書館の調査相談(レファレンスサービス)を利用してみた.コピーは可能,ただしコピー代金2枚20円,送料90 円を送れば郵送するとのメールが来た.少額の金は送りにくいので,切手を送れば郵送してくれるか問合せると”規則上だめ”ということで直接図書館へ出かけ ることになった(切手可の県もある).

貴重資料とは言え,サインすれば本(複写本)を貸しだしてくれるので,当該ページを自分で捜し出し,コピーすることができた.


ところで,コピー機,スキャナー,プリンタは同じ原理である.スキャンした画像あるいはPDFファイル化してメールに添付すれば簡単に送ることができ る.そのために特化した安価な機器が民生用でも市販されている.ここでこのようなことに触れる理由は,ほかでもない.先に国会図書館の近代デジタルライブ ラリーを紹介したからである.画質はあまり綺麗ではないが.ページイメージを書籍としてファイリングしてあるので,ウ エブブラウザで閲覧することができる. 遠距離の人でも見ることができ,省資源や省エネにも繋がると思うのは私だけだろうか.図書館の外部評価で閲覧者数の減少が指摘され,その対策が提案されて いるが,デジタル化は減少に歯止めをかける一方策である.

県立図書館レベルでは,一般家庭から蔵書検索ができるようになっただけでも画期的という人がいる.一次資料(著作権上問題のない)が国会図書館並に見ることができるようになるにはさらに十年以上の時間が必要だろう.


追記:資料とは,明治七年作成の旧熊本藩の「有禄士族基本帳」の中に収められている「改正禄高等調 禄高帳◯号◯◯◯」文書で,本人が白川県(熊本県の前身)権令安岡良亮宛に差し出したものである.維新前後の個人情報(旧名,住所,家督,従前身分,職 務,石高等)が記載されていた.明治維新前後(4,5代前)の先祖の置かれている状況を把握することができ,熊本藩のかなりの士族が西南戦争で西郷軍側について戦った背景が何となく見えてきた.


きれいな画像提供例 九州大学デジタルアーカイブス 蒙古襲来絵詞 [もうこしゅうらい-えことば].

(2011/5/24)