2011-40

新薬剤師国家試験(第97回)の出題基準

2011年3月で4年制課程の薬剤師国家試験は終了した.2012年3月から6年制カリキュラムによる「新薬剤師国家試験」が実施される.

新国家試験が4年制課程の国家試験と異なる点は以下のとおりである.

1)出題数の増加.従来の240問から新国家試験では345問に増加(約1.4倍),必須問題90問

2)問題形式の多様化 複合問題の採用(問題解決能力を重視)

3)合格基準の設定 総合点方式ではなく,基準に達しない科目があると不合格

国家試験の問題作成担当者にとって大変難しい作業と思うが,従来の徹底した暗記方式の勉強では合格できない,真の大学教育に基礎を置いた応用力を試す試験問題が作成されることを期待したい.

4年制課程の薬剤師国家試験に関連して,ある大手予備校の有名女性ベテラン講師の講 演を学生と一緒に聴いたことがあるが,その講師は「私立大学の学生は,理屈をこねる基礎問題では国公立の学生には勝てないので,衛生等の暗記もので勝負し なさい」と言っていた.また,生薬のラテン名などは出題されても1,2問だから最初から勉強しないという学生も多い.さらには選択科目のうち,国家試験に 直接関連のない科目は受講しない等の傾向が強い.人間味豊かな医療人として成長するためには国試対策に重点を置いた予備校的な授業だけでは無理であること は言うまでもない.来春の初試験では,4年制課程で経験した考え方が通用しない試験になることを期待したい.さもないと6年制改革と裏腹に代わり映えのし ない期待はずれの薬剤師が誕生することになる.

[PDF] 薬剤師国家試験について