Q2)

バックロードホーンの空気室内に入れる吸音材は何処に入れても大丈夫ですか?



A)

吸音材の働きは密閉型やバスレフ型はエンクロージャー内の共振や定在波の低減を図る目的で入れます。

バックロードホーンの場合はそれとは全く働きが違って、中高音をホーンに流さない為に入れるのが本来です。

入れる位置は空気室内で音圧が直接かかるスピーカーユニットの背面(マグネット裏)。

ここに適正量を入れないと、ほとんど期待できない事が実験で分かっています。


D10バッキーに代表される様な空気室の奥行きが足らない物の場合、空いたスペースに吸音材を詰め込んでいる画像を良く見る事がありますが、吸音効果は思ったほど期待できず逆に空気室の容量を減らす事になってしまいます。

更には空気室内で音が真面に反射し、それがコーン紙に伝わる事で凹凸の激しい周波数特性になったり歪を作ってしまう原因にもなってしまいます。


また吸音材の量の問題ですが、沢山入れれば確実に低音成分だけホーンに送れるので良い様に感じますが、実は入れ過ぎもダメなのです。

ホーンはスピーカーユニットの背面から出る音を単一方向に纏めて開口部から放出する役目を持っていますが、空気室に吸音材を入れ過ぎると肝心の低音成分も減衰してしまい、せっかくのホーン効果も半減してしまいます。

長い音道中で中高音が綺麗に減衰してくれれば、空気室内に吸音材を入れる必要はなくなります。

しかし空気室と開口部は一本の管で繋がっている以上、高域音は減衰しても中域音はある程度は出てしまいます。

P1000K専用機の説明欄にも記載しましたが、中域音がホーンから出てしまうとスピーカーユニット正面から出る音と干渉しあい位相歪が確実に出てしまいます。

たまに目にする音道途中に吸音材を貼ってある物も効果はある程度は期待できますが、道管自体の抵抗が増す分肝心の低音成分の減衰も否定できません。

結論を言うと、吸音材は空気室内で適正値を探るのが肝心だと言う事です。

バックロードホーン造りの難しさはこんな所にもあるんです。


バックロードホーンは密閉型やバスレフ型とは構造が全く違いますが、吸音材一つでも入れる意味が全く違いますので、これを機会に勉強してみては如何でしょう?