※サックス型がベストな理由
幾つか理由が有りますが、その一つは音道の長さに対する開口部の断面積が出しやすいから。
もう一つはより良い音像を作るために低域もなるべくスピーカーユニットの近くから出したいから。
開口部を床から離す事で、結果的に音楽を聴く部屋で起こりうる定在波の軽減にも繋がります。
(音道で定在波が発生したり中音成分が減衰しきれない場合は、ユニットから出る音との干渉で周波数特性に大きな乱れが起こる可能性 があるので注意が必要です)
そして最大の理由は、ユーザー自身が聞かれる環境に合った好みの音を作りやすい事。
メーカー品であれ個人製作品であれ、「これがこのスピーカーの音だ!」と言わんばかりにユーザーが手を加える場所がほとんど無いのが事実です。
PCオーディオの様に小型で安価、ニアフィールドで小音量で楽しむなら特に気にもならないでしょうが、メインとなるスピーカーは聞く空間の環境に大きく左右されます。
根本の音を変える為にスピーカースピーカーユニットをわざわざ外して、吸音材の量を加減する人ってどれだけ居るのでしょうかネ。
また残響の多い密閉度の高い部屋の場合は、低音が出過ぎても良い音で聞く事が出来ない反面、広い和室で聞いていれば物足りない低音に音楽の楽しみも薄れてしまう事でしょう。
これが同じスピーカで起きてしまう事実をどれだけの方がご存知でしょうか?
同じ部屋でも家具の配置を変えたり、ソファー1つ買い換えただけで音が変わ事も実際にありえます。
「試聴して納得して買ってきたスピーカーが家では全く違う音だった」と言う話もよく耳にしますが、原因はロットの違いやエージング状況では無く、ほとんどの場合聞く環境の違いが原因です。
音響メーカーでさえ、この事実を承知していながら、ユーザーの前では口を開こうとしません。
サックス型にした理由は、開口部に詰める吸音材の質や量で、その部屋に有った低域特性が簡単に変えられるからなんです。
勿論、オーソドックスな開口部が一番下にあるタイプでも吸音材の増減は可能ですが、詰め込める量にも限界があり、更には見かけが悪くなります。
サックス型にする事で、上記の問題は一度に解決できる訳です。
また造る側としては設計をギリギリまで煮詰め、低域の音圧を下げずに開口部まで導く事が容易になります。
この3つがサックス型に決めた理由です。
大金を叩いて素晴らしいスピーカーを買い、それが一番良い音だと勘違いしている聞いている方って意外と多いのではないでしょうかネ?
本来ならスピーカーに掛けるお金以上に、聴く部屋にお金を掛けなければいけないはずなのに・・・。