Q8)

D-102やD-99の二層構造やD-103エスカルゴの様に曲がり角の多いバックロードホーンはどんな特徴があるのでしょうか? 

まずエスカルゴですが、構造が比較的に簡単なため、ダイソー300円スピーカーを利用して造った事があります。
音道が外観の割には長く取れるので、低域の拡大には大いに貢献していると思います。
ただ問題は、長さや太さの違う直管が幾重にも直角に繋がっている影響だと思いますが、周波数特性のグラフに凸凹が多い点です。
それぞれの管に固有の共振周波数があり、更に曲がり角での音の反射が影響する定在波も加わってこの現象が発生したと思われます。
試聴した感じでは、ハードロックの様な低音がボコボコで音圧が高めに続く曲でしたらインパクトは有るのですが、ジャズやクラシックの様な音域が広く繊細な曲は炭酸の抜けたサイダーの様な物足りなさを強く感じました。
そこでアイスの棒をアルミテープで繋げて角の無い完全スパイラルのエスカルゴを造りましたが、見事に癖が取れてオールマイティーの素直なスピーカーが出来上がりました。
このスピーカーは現存しており、壁掛け型として部屋に設置し、たまに聞いています。
とにかく造る手間が大変で、量産には向かない代物ですが・・・。(添付写真)
長岡氏の設計思考は間違いでは無いですが、簡便に造る事を優先した結果がこの様な特性に繋がったのではないかと思います。

D-102やD-99は聴く機会が無かったので正確にはお答え出来ませんが、「音楽之友社」発刊の本にD-102マークⅡの周波数特性のグラフが掲載されており、そこから判断するとエスカルゴに酷似した音の様な印象を受けます。
但し、開口部が前面にある為、低域の迫力や音像定位はオリジナルのエスカルゴよりは良いのではないかと想像できます。

両者とも箱のサイズを有効に使い、音道が長く取れる点では、低域の再生能力は優れていると思いますが、それぞれに一長一短が有りますので十分理解の上で選ぶ事をお勧めします。
試聴が可能であれば、それが一番です。
いずれにしてもスピーカーユニットの諸元に忠実にエンクロージャーが作られている事が前提となりますが・・・。

端的にまとめると、音道は曲がり角が少なく、音が真面に反射する直角カーブを避ける事で定在波の発生はある程度は抑えられます。
またホーンの広げ方は、直管の連続では無く指数関数的に広げたエクスポネンシャルカーブの方が、特定周波数の共振が抑えられる傾向が強い事が試作段階で証明されています。

こんなご回答でご理解頂けましたでしょうか?