Q4)

他のスピーカー出品者は塗装なしで出品しているのに、何故塗装にこだわるのでしょうか?

A)

大きな理由が3つあります。

その一つが説明文にも記載している様に湿度の変化による影響が大きい事。

特に開口部の大きなバックロードホーンは木材の種類に関わらず湿度の変化で膨張・縮小を繰り返し、割れや接着部の剥離のリスクが大きいと言われています。

音の変化は厳密に測定してみないと恐らくは判らないレベルだと思いますが、少なくても変化は全く無いとは言い切れません。

以前ダイニングに置いたMDF材の写真立てにカビが発生した事をご報告しましたが、バックロードホーンの場合、内部に発生したカビは臭いでも出ない限り気付く事は無いでしょう。

特に床置きした場合はリスクは倍増します。

その為私は、内部も含めて全てアクリルペイントでコーティングし、湿度の影響を受けない様に対策しています。

また木地のままだと日射や水濡れ等の要因で変色する事が多いです。

塗装をする事でUVカットや、オゾン対策・水濡れ等、様々な外的要因を排除できます。


二つ目は見栄えの問題です。

専用のオーディオルームやご自身の部屋に設置するなら塗装なしのでも良いのかも知れませんが、場合によってはリビングに設置を考えている方も多いのでは無いでしょうか?

そうなるとやはり見栄えが良い方が良いですよね。(添付写真)

  

三つ目は塗装後の鏡面仕上げに関する事柄です。

実は何度も検証にトライしていたのですが、周波数特性を塗装後の鏡面仕上げ前と後で比べても変化が見られないので公表は控えていた事柄です。

鏡面仕上げした後では、どの機種でも音の広がりや透明感が全く違います。

気が付いたきっかけは、FE103NV専用機を試作中に早く音が聞きたくて塗装前に音出しをし、塗装鏡面仕上げ後に聞いた音が明らかに綺麗だった事。

その後、FE126NV専用機・FE166NV専用機でも同様の結果だったため、単なる思い込みやプラシーボ効果では無い事を確信しました。

現在YouTubeでお馴染みの有る方に検証をお願いしていますが、なかなか難しい解析になると予想されます。


以上が何故塗装にこだわる理由ですが、内部塗料に艶消しを使用する事で思わぬ副産物を得る事が出来ました。

バックロードホーンは吸音材を適切な場所に適量入れる事で、開口部からの低域寄りの中音成分を位相歪が出ない程度に減衰させて低域のみを放出させます。

エンクロージャー内部に艶消し塗装を使う事で、中音成分は音道内で吸収拡散され、空気室内に僅かに入れた吸音材のみで心地良い低音が開口部から出る様になりました。

音の通り道に障害となる吸音材も必要なく、ホーンの広がり具合を決める「広がり定数」も従来より小さく設定できる事になり、必要十分な音道長も取れる様になりました。


と言う事で、塗装の重要性は判って頂けたでしょうか?

以前ご落札頂いたY様宅のリビングルームFE166NV専用機

サランネットの架装も塗色にマッチしています