Q10)
一般的に測る位置は何処が良いのでしょうか?
また開口部で低域特性が良いとされている物の場合でも駄作は有るのでしょうか?
周波数特性の測る位置はそれぞれの考え方がありますが、バックロードホーンの場合はスピーカーユニットの中心の高さで1mの距離で測るのが一般的な様です。
これはスピーカーユニットからの直接音と開口部から放出される低域のバランスを考えると、開口部との位置が離れている場合に低域特性が低く出る事もあるため、ケースバイケースと言っても良いかも知れません。
基本的にはリスニングポイントで測定するのが良いのですが、部屋の残響や定在波、生活ノイズ等の混入が多くなるリスクもあります。
私の場合は基本的に前者ですが、外からのノイズが少ないときにはリスニングポイントで測定する場合もあります。
そのため測定グラフには必ず測定環境を記載する事にしています。
次に開口部の件ですが、測定レベルが高ければリスニングポイントまで低域が届く物もありますが、あまり性能に影響は少ない様で、見掛け倒しと言っても良い物があると思います。
今まで造ってきた試作機でボツになった物でも、開口部での低域のレベルは高めに出る物がほとんどで、それは体験的に証明されています。
私が開口部の測定結果を公表している理由は、開口部における位相歪を確かめるためで、スピーカーユニットの最低共振周波数(F0)より高い周波数での凹凸の有無を確認するためです。
また、開口部では、きちんとスピーカーの振動板にロードのかかったバックロードホーンエンクロージャーの場合は、バックロードホーンのクロスオーバー周波数より低い周波数帯でそれより上の周波数帯よりレベルは高めに出るのが一般的です。
これはスピーカーユニットその物から出る直接音が距離を取って回り込んでいる影響で、もしバックロードホーンのクロスオーバー周波数前後で変化が無い場合は、本来減衰していなければならない中高音がそのままホーンから放出されている事を意味します。
理由としてはスロート断面積や空気室容量がスピーカーユニットの諸元に適合していない、また吸音材が適切に入れられていない等が考えられ、ほとんどの場合、位相歪と思われる凹凸が最低共振周波数(F0)より高い周波数帯で発生しています。
これはバックロードホーンと呼べない出来損ないに多い特徴で、私も試作で何度も失敗しています。
以上が一般的な周波数特性の見方です。
纏めると、適正な距離で測ったグラフと開口部でのグラフの両方を見ないと、性能は判断できないと言う結論に至ります。
補足として私の考えを述べておきます。
バックロードホーンのデキの判断は試聴重視ですが、善し悪しの裏付けとして周波数スイープによる特性を計測し、そのグラフを添付しています。
基本的にはHP「スロート断面積と空気室容量の求め方」で説明した通り「スロート断面積」と「空気室容量」がそのスピーカーユニットの諸元に対応しているかを確認し、周波数特性は癖の有無を確認する手段として見るのが最善だと思います。
その癖とは、定在波や位相歪の有無、ハイ上がり傾向か低域がどもまで伸びているか等々。
その上で試聴が出来ればなお良いと思います。
実際に有名オーディオメーカーの技術研究所に勤務されていた方から、次の様なお言葉を頂いています。
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昔(有名オーディオメーカー)にいたころ、出力や周波数特性と言った物理特性、スピーカーも30cmウーハーを使った3way密閉式、能率は下がるが周波数特性やダンピング特性はいい。
しかも高価!・・・でも聴いて疲れる。
商売には良いでしょうが、なんとなく納得がいかずオーディオの世界からは完全に離れました。
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あくまでもスピーカーの音は人間が聴く物ですので、周波数特性がどんなに良くても聴き疲れると言う事が実際に起こります。
試聴が難しい場合は、他の方のレビューも参考になるのではないでしょうか?