※バックロードホーンは何処まで低い周波数を出せるのか?
「バックロードホーンの原理」の中で「スロート断面積をしっかりおさえれば理論的には最低共振周波数(F0)が150Hzの数センチのユニットからでも20Hzを拾い出す事が可能」と記載しましたが、低域を拡大するにはもう一つ大切なファクターがあります。
それはホーンの広げ方で採用したエクスポネンシャル方式の公式の中の重要な要素の一つ「広がり係数(m)」です。
エクスポネンシャル方式
S=S0×e^mx
S=スロートからの距離がx(m)の所のホーン断面積 (cm^2)
S0=スロート断面積 (cm^2)
e=2.718・・・ (自然対数の底)
m=広がり係数
x=スロートからの距離(m)
上記の公式中の係数「m」が大きければ音道が短くても大きく開き、小さければ音道が長くても開き方は小さくなります。
一般的に、広がり方が小さければ低い周波数まで再生しますが音圧は稼げません。
逆に広がり方が大きければ音圧は出ますが低い周波数まで再生する事が出来なくなります。
但し広げ過ぎるとホーン効果が減り、全く低音が出なくなります。
この限界を「ホーンのカットオフ周波数」と呼び、次の式で表す事ができます。
fc=m×c/4π
fc;カットオフ周波数
m ;広がり係数
c ;音速(約340m/S)
π ;円周率(3.14159・・・)
仮に広がり係数0.7で設計したバックロードホーンのカットオフ周波数(fc)は
fc=0.7×340/4×3.14 約19Hz
ちなみにこの19Hzと言う数字はホーンの長さが無限遠と仮定して算出されており、実際はここまでは絶対に出ません。
また「スロート断面積」と「広がり係数」の相関関係もあるので、それぞれのファクターを少しずつ変えながら適正値を探る試作には、かなり根気のいる作業となります。