※バックロードホーンもどきについて

まずお断りしておきますが、スピーカーの諸元を無視して造った物であっても、出品も落札も個人の自由であるからして、否定する物では無い事を予めお伝えしておきます。


ただ、「バックロードホーンってこんな物なんだぁ・・・」と思われる方が、かなり多くいらっしゃる事も事実で、未だに「バックロードホーン」=「癖のある音」と言われ続けられる理由もこのあたりにありそうです。

この事は先駆者たちの名誉を傷付けている様で、とても悲しくもあり歯がゆい思いがしてやみません。

バックロードホーンはバスレフ型や密閉型と構造も違いますが、一番の違いはスピーカーユニットの諸元を元に造られる物で、既にあるバックロードホーンエンクロージャーに口径の合うお手持ちのユニットを取り付けて成立する物ではありません。

バスレフ型や密閉型の様に、口径の合うユニットを付けても真面に鳴ると思っている方が、出品者や落札者の中にも少なく無い事を「バックロードホーンの落札相場」のページから見て取れます。


また、有名機のコピーを出品されている場合、設計当時のスピーカーユニットが現存していれば良いですが、仮にモデルが変わっていたとしても「Q0値(共振先鋭度)」が変わっていたとしたら適合する確率は格段に落ちてしまいます。

バックロードホーンエンクロージャーを選ぶ最大のポイントは、スピーカーユニットの指定があり、それに応じたスロート断面積と空気室容量が記載されている事です。

また、記載が有る事で正確に計算されて造られたと言う証の一つとなると同時に、数値から逆算して、それに合う別のスピーカーユニットを探す事も可能となります。


このHPで「様々な疑問点」⇒※諸元に合わないエンクロージャーの場合に記載した通り、Q0値の僅かな違いで低音域が全く広がっていない事を指摘しました。

薄い低音が乗ったとしても、これではバックロードホーンの本来の働きでは全くありません。

スピーカーは真面な音が出て価値のある物です。

いくら有名機でも、高価な木材を使っても、いくら綺麗に仕上がっていても、スピーカーユニットの諸元を無視して造った物は、ただの無駄で邪魔な箱にしか過ぎません。

ただの箱ならまだ良いですが、スピーカーユニット本来の性能さえもスポイルしてしまう事も少なくないため、購入を考えている方は、特に何が重要なのかよく勉強なさってからお決め頂く事を強くお勧め致します。

最後に一言、真のバックロードホーンとはスピーカーユニットの諸元に合ったエンクロージャーとの組み合わせで成立する物で、それ以外は全て「もどき」と言っても言い過ぎでは無いと思います。

バックロードホーンは「※バックロードホーンの原理」でも説明した通り、スピーカーユニットの諸元に合ったスロート断面積と空気室容量を要し、振動板(コーン)に適正なロード(負荷)を掛ける事で本来の性能を現します。

ロードのかからない物は、「バックロードホーン」とは呼べず、「バックホーン」と呼ぶべきでしょう。

はっきり言って、何の役にも立たない代物である事は、ここまでお読み頂いた皆様には、ご理解できるのではないでしょうか。