※ダボ継ぎ接着について


以前友人の紹介でFE126NV専用機をお譲りした事がありましたが、その方からご質問が寄せられましたので、良い機会ですから皆様にもご紹介します。

その方のご親戚は、家具工房に勤めていらっしゃると言う事で、家に来られた際にダボ継ぎ接着についての話が出たそうです。

結論から言うと、この程度(FE126NV専用機)の接着なら木工ボンドだけでも十分強度は出ているので、手間のかかるダボ継ぎは必要ないと言う事だそうです。

ダボ継ぎを止めれば、製作時間の短縮にもなるし、値段も下げられるのでは?という提案でした。

「※製作に当たり」では強度にしか触れていませんでしたが、実はダボ継ぎを採用した理由がもう一つあります。

それは、ズレの問題。

接着の手順は、まず片側の側板に音道の設計図を写した墨通り木工ボンドを付けて置いていきます。

全て置いた時点で、もう片方の側板をボンドを付けずに上に置きハタガネや錘等で加圧接着します。

その際どんなにカットが正確でも、接着時の加圧により音道の仕切り板がズレてしまう事がかなりの確率で起きてしまいます。。

ハタガネを締める際、均等に圧力をかける為、少しずつ締めていきますが、圧力の偏りが少しでも出ると板は加圧の弱い方に逃げてしまうんです。

音道の中間以降なら2~3mm程度のズレなら、音質に大きな差は出ませんが、空気室の出口付近や側壁等に隙間が出来てしまった場合はバックロードホーンにとって致命的な欠陥になります。

外板のズレならすぐに分かりますが、内部の音道の仕切り板のズレは接着剤が乾いて蓋を開けた時にしか確認できません。

それでも片側づつの接着なら失敗は確認できますが、失敗を見逃したり、手間を惜しんで両面を同時に接着したりした場合、不良品が世に出てしまう事になります。

それを防ぐ方法は瞬間接着剤の併用ですが、木工用の瞬間接着剤は意外と高価ですし、すべて確実に仮止め出来きるかと言うと完全とは言えない事も実際に起こりました。

そこでダボ継ぎと言う発想が生まれました。

ちなみにダボの使えない6mm厚の板で作る小型のバックロードホーンは、仕切り板単体でL字やT字になる様に自立できる状態でパーツを造り、パーツごとに側板に錘で加圧圧着しています。

パーツはクランプや直角交差で無い場合はピンタッカーを用いて接着します。

手間はかかりますが、不良を出して手直しするよりはマシなので、この方法はかなり昔から行っていました。

と言うわけでダボ継ぎ接着は、接着強度以外にズレによる不良を出さないための手段として採用しています。

どうぞ皆さん、安心してご落札下さい。