球審の構え方

1.ポジション

※球審のポジションには、スロットポジションとセンターポジションの二つがあります。アマチュア野球では、スロットポジションを基本としています。

  1. スロットポジション

    • スロットとは、“何かと何かの間”という意味です。スロットポジションは、“打者と捕手の間”に位置するポジションです。

    • 一つの目安として、ホームプレートの内角のエッジに、体の中心を置くようにします。

    • また、捕手の左肩に自分の右耳を合わせる(右打者の場合)ことも、スロットの位置取りに役立ちます。

    • ストライクゾーンの“高め/低め”と“内角/外角”の両方を見ることができる位置として、考えられたポジションです。

    • 捕手に視界をさえぎられることなく、ホームプレート全体(特にアウトコース低め)を見ることができます。

    • 打者の体側に近づくので、ファウルチップが当たりにくくなります。

2.スロットスタンス

※球審のスタンスには、スロット、スクエア(両足を並行にする)、シザース(両足を前後に開く)、そしてニーズ(片ヒザをつく)の四つの形があります。アマチュア野球では、スロットスタンスを基本としています。

  1. まず、捕手のかかとのラインに、球審の打者側の足(Slot foot:スロットフット)のつま先を合わせ、投手にまっすぐ向けます。

  2. 次に、スロットフットのかかとのラインに、球審のもう一方の足(Non- slot foot:ノンスロットフット)のつま先を合わせ、45度程度まで開きます。両足は肩幅以上に開き、一番楽な広さにします。

    • このヒール(Heel:かかと)・トゥー(Toe:つま先)・ヒール・トゥーの形が、スロットスタンスです。

      • 捕手になるべく近づくためのスタンスです。捕手に近づくことにより、捕手の身体やミットで、ホームプレートが見えなくなることを防ぎます。

      • 投手に正体するために、スロットフットのつま先をまっすぐ投手に向けます。投手に正対しないと、“投球を受ける面の形”が変わってしまいます。

        • 投手に正対するために、骨盤自体が投手に正対しているかどうか確認しましょう。

      • 捕手のかかとよりスロットフットを前に出すと、捕手が動いたときに接触してしまいます。

      • ノンスロットフットを引き過ぎると、投手に正体したとき、下半身に負担がかかります。

      • かかとからつま先までの全部を地面につけ、両足に体重を均等にかけます。

※投球を判定する際には、球審はOn the rubber → Get set → Call the pitch → Relax までの一定した自分のリズムを作り上げることが大事です。

3.オン・ザ・ラバー(On the rubber)

  1. 投手がボールを持って投手板についたら、スロットポジションに位置してスロットスタンスをとり、投球への準備を開始します。この状態を “オン・ザ・ラバー”といいます。

  2. スロットの位置にいること、捕手との距離が適正(スロットスタンス)であること、そして身体が投手に正対していることなどを確認します。

    • “オン・ザ・ラバー”についたら、投手から目を離さないように注意します。

4.ゲット・セット(Get set)

投手が投球動作を開始したら、姿勢を低くして、投球を判定する体勢を作ります。これを“ゲット・セット”といいます。

  1. 投手の投球動作に合わせ、エレベーターが降りるようにスーッと下がって、ピタッと止まるようにします。

  2. 投球に立ち遅れないようにするため、投手がボールをリリースするときには、“ゲット・セット”の体勢を整えます。ただし、“ゲット・セット”が早すぎると、体が硬くなり集中力を維持できなくなる恐れがあります。投球動作のどの時点で“ゲット・セット”に入るか、自分のリズムを確立しましょう。

  3. 投手がボールをリリースした後、頭が“ゲット・セット”の位置から下がらない(ぐっと沈み込まない)ように注意します。ストライクゾーンの高低が、微妙に動いてしまいます。

  4. 捕手の頭や打者の腕などで視界をさえぎられ、ホームベース全体や投手のリリースポイントが見えなくなったときは、スロットフットを一歩引いたり、構えを少し高くしたり、またはセンターポジションに移動したりして、視界を確保します。ただし、打球に当たりやすくなるなど危険なため、センターポジションを越えないようにします。

  5. 肩は投手に正対させ、地面と平行にします。(投手に正対しないと、“投球を受ける面の形”が変わってしまいます。)

  6. あごは捕手の頭頂部に合わせます。

    • あごが捕手の頭頂部より低くなると、捕手の頭に視界をさえぎられてしまいます。

  7. 体はやや前方に傾け、リラックスします。

  8. 目線は地面と平行にします。

    • 目線が下を向いていると高め(上を向いていると低め)の判定に影響します。

  9. 打者側の腕は90度に曲げ、ベルトのあたりに止めます。そして、もう一方の腕はヒザの上部をつかむように置きます(軽くロックします)。

    • 打者側の腕は、投球がチェストプロテクターで保護されない腹部に当たるのを防ぐため、ベルトあたりに止めます。

    • 打者側の腕は体につけます。これにより、投球が腕に当たったときの衝撃を、体全体で吸収できるとされています。

    • 打者側の手の甲は、けがの防止のため投手に向けます。

    • もう一方の腕は、カメラの三脚をイメージします。

※球審の構えのポイントは、次の三つです。

  1. スロットフットのつま先が投手板方向を向いていますか。

  2. ホームプレートが全部見えていますか。

  3. 構えた姿勢が自分にとって快適ですか。