22.経済論

あるものごとに、需要が起こると、そこに価値が生まれます。

それを供給でき、流通できるとなると、

その価値が、社会の中を、次々に移り変わっていきます。

その移り変わりの状態を表わしたのが、経済です。

経済は、需要と供給で作られます。

需要は、人の限りない欲望から生まれます。

休養追求――(生存本能)――疲労回避 『面倒なことを避けたい』

快楽追求――(種存本能)――不快回避 『快楽を得たい』

尊敬追求――(存在本能)――軽蔑回避 『自分の価値を認めたい』

満足追求――(達成欲求)――不満回避 『達成感を得たい』

安定追求――(秩序欲求)――不安回避 『安定感を得たい』

需要については、【10.企業論】において、以下のように述べました。

需要は、一般的な文化生活を維持するための【生活需要】と、

個人の嗜好、趣味的な欲求である【個別需要】、

時代の進歩によって、新しい生活スタイルを生み出そうとする【流行需要】があります。

【生活需要】には、レベルがあります。

生存レベル:生命を維持するために、最低限必要である。

生活レベル:社会生活(活動)を維持するために、必要である。

文化レベル:文化生活(活動)を維持するために、必要である。

社会の発展によって、それらのレベルは上がっていきます。

【個別需要】は、文化生活を、さらに深く受け入れようとするレベル、

【流行需要】は、新しい文化生活を受け入れようとするレベル、

それぞれ、上の文化レベルの、さらに発展したものと言えます。

人の欲望に限りがないように、レベルは際限なく上がっていきます。

ただし、それは、供給が可能である限り、と言うことです。

供給の基本は、競争です。

供給されるものごと(商品)が、独占されていない限り、同じ用途ならば、

品質の良いもの、コストの低いもの、納期の早いものが、需要者に選ばれます。

そして、供給者は、商売である以上、儲けを上げるために、

供給の効率を良くしようとします。

また、新たな需要を作り出そうと、開発を進めます。

以上が、需要、供給の要素であり、そして、経済の原理です。

需要者人口と、供給者人口は、同じではありません。

需要者人口とは、商品を求め、購入できる立場にある者の人数のことを言います。

配給者人口とは、商品を供給出来る立場や環境にある者の人数のことを言います。

需要者人口が増えれば、供給側は安定します。

正規の価格で商品が売れ、供給者は、十分な利益を上げることが出来ます。

利益を上げれば、さらに効率良い供給や、その増加、また開発に費用がかけれます。

また、供給者全員の収入が増え、自らレベルの高い需要者になれます。

供給者も需要者も、消費に積極的になります。

経済は活発になり、良いことづくめのようですが、

消費は、資源の乱費につながります。

資源の、ほとんどが有限です。

ものを作り過ぎ、浪費すれば、未来には、節約を強いることになります。

しかし、太陽エネルギーから生まれる資源のように、無限に近いもので、

環境を汚染しないものなら、どんなに消費されても問題はないわけです。

需要者人口が増えても、供給量が追いつかなければ、社会はインフレーションとなります。

インフレーションとは、全体の商品の価格が、持続的に上昇することです。

供給量が少なければ、商品が不足し、その価値が上がります。

商品が不足する理由としては、

(1)需要者人口が、急激に増えた。

(2)供給者人口が、減少した。

(3)原材料が、不足した。

(4)供給設備、技術が不足した。

(5)供給が、政府などの権力で、規制された。

以上があげられます。

商品の価値=価格が全体に上がるということは、

その国の貨幣価値が下がることと同じです。

貨幣が、過剰に発行されても、同じように、インフレーションになります。

インフレーションが起こる原因は、世界情勢や国内情勢の変化、天変地異や災害

技術革新や風潮の変化などです。

これらは、供給量が絶対的に少なく、将来に渡って当分、供給が望めないケース、

市場のバランスが悪いため、相対的に少なくなっているだけで、流通が正常になれば、

供給も満たされるというケースがあります。

前者を【慢性インフレ】、後者を【偏性インフレ】と名付けます。

【慢性インフレ】では、品不足のため、価格はセリにかけられたように上がっていきます。

価格の規制があっても、買占めが起こり、闇で高く売られたりします。

また、原材料も仕入れにくく、価格も高いため、

供給者も出来るだけ高く売らざるおえません。

儲けが不安定であり、供給者として、その場しのぎで発展性もなく、

供給者の立場でいるより、需要者の立場で、奔走することになります。

需要者は、物価の上昇、貨幣の目減り感と、品不足で、買占め傾向に走ります。

収入が不安定のため、生活も低レベル化していきます。

社会的には、一部の富者と大勢の貧者の構造になっていきます。

【偏性インフレ】でも、価格は需要に応じて上がります。

しかし根本的に、原材料や設備、労働者が不足している訳ではないので、

商品は、しだいに供給されます。

供給者は、安定した大きな儲けを得ることが出来ます。

その儲けは、さらに供給の効率化、開発に向けられます。

また、需要者として、収入も増え、消費や投資も活性化します。

すなわち、一度に供給されれば、過剰になり、価格が下がるものでも、

徐々に供給されるため、価格が高いまま売られ、

その間に、やがて新商品が開発され、さらに高く売られるという、

需要を供給が追いかけるようなかたちで、物価が上がっていきます。

物価が上がり、収入が増え、需要が増え、流通する貨幣が増えることで、

インフレ感はさらに促進されていきます。

【偏性インフレ】は、実際に、供給量が少ないわけでも、

需要人口が多くなったわけではないので、やがて、需要は満たされます。

そのため、社会全体に貨幣が余り、投資や投機的な目的に、

多く使用されるようになります。

投資は、商品の供給における効率化、増加、差別化、開発に向けられますが、

すでに需要が満たされているため、供給過剰を促します。

また、投機は、不動産や株、貴金属や芸術品のような、

そのものの売買により、大きく利鞘を儲けれるものに、集中するということであり、

それらの価格は、正当な価値を越えて、異常な値を付けるようになります。

いわゆるバブル経済です。

バブルはやがてはじけ、供給過剰から、社会はデフレーションとなります。

デフレーションとは、全体の商品の価格が、持続的に下降することです。

商品が過剰になり、価格が下がる理由は、不足する理由の反対です。

(1)需要者人口が、減少した。

(2)供給者人口が、増加した。

(3)原材料が、過剰で安価になった。

(4)供給設備、技術が過剰で安価になった。

(5)供給が、政府などの権力で、規制が緩和された。

デフレも、需要量が絶対的に少なく、将来に渡って当分、需要増加が望めないケース、

需要が供給者が、供給の効率化や開発をして、一部の商品価格を下げるているが、

社会の流れは、需要増加の傾向もあるというケースがあります。

前者を【慢性デフレ】、後者を【偏性デフレ】と名付けます。

【慢性デフレ】について述べます。

需要人口が減れば、供給人口も、それに伴って減リます。

しかし需要量は、需要人口と、比例しますが、

供給量は、効率化によって、供給人口と関係なく増加します。

ゆえに、需要人口が減れば、供給過剰となるわけです。

需要人口は、社会が発達するほど、減少する傾向にあります。

上で述べたように、需要レベルは発達に従い、上がっていきます。

高い需要レベルは、個人で発生する需要量が多いということです。

供給者としての親の収入に対して、需要者としての子の支出が多ければ、

社会は、少子化します。

社会が発達すれば、医学も進み、高齢化となります。

高齢者は、新しい需要に対して消極的であり、

その人口が多くても、需要量はあまり増えません。

少子化と高齢化が、需要人口を減らします。

つまり、文明が発達すると、生活に不満感がなくなり、

社会の需要を生みにくくなることから、世の中はデフレとなります。

商品の価格が下がるということは、、貨幣価値が上がるのと同じです。

貨幣価値が上がれば、人は、ものより貨幣を大事にします。

【慢性デフレ】は、世の中を不景気にします。

次ページで、その社会的変化を述べます。

デフレーションの初期は、消費者に購買力があっても、需要が少ない状態です。

その少ない需要は、【流行需要】や、【個別需要】が中心になります。

商品の差別化が進み、供給者は、気まぐれな需要を求めて、右往左往します。

産業は、設備などの長耐久品産業が、まず不振になり、

やがて、装置、道具などの中耐久品産業が不振になります。

供給者は、儲けが少ないため、投資も消極的になり、

新しい需要の開発へよりも、現状の効率化による、コストダウンを目指します。

その効率化が、さらに供給過剰や、低賃金化、失業者を生み出ます。

需要者は、収入が減るため、さらに値下がりを待って買い控えたり、

将来への不安感から、需要や消費を抑え、貯蓄志向になります。

中期になると、どの産業も、供給者が、低コスト競争に巻き込まれ、

負ければ淘汰されていきます。

需要は、【個別需要】が中心となりますが、

気まぐれな多様化はなくなり、一部の独占的な傾向に進みます。

【流行需要】を追う余裕は、多くの人からなくなります。

産業の不振は、成熟している消耗品やサービス産業に及びます。

また、新たな需要開発も進まず、投資も消極的になるため、

金融機関も利益を上げることが出来ません。

借金をしても返せない状況が続き、踏み倒しが増えます。

多くが低収入になり、失業者も増えるため、

政府も、税収入が減り、また保障が増えて、財政を圧迫します。

公共投資も、一時的な効果で、国の負債を増やしてしまいます。

税率を上げることが検討されます。

後期には、購買力が全体に低下します。

需要は、生存、生活、文化レベルにおいて、最低になり、

低価格のものや、リサイクル品を求めるようになります。

無意味なもの、不必要なものは、社会から消えていきます。

産業の不振は全般に渡りますが、供給者の大半が淘汰されたため、

供給過剰は、ずいぶん解消されます。

しかし、失業者は増え続け、パートタイムやアルバイトなど、

低収入で働く人が、ほとんどになります。

増税や、社会保障が減らされ、また貯蓄も不安定で目減りしていきます。

不景気に増税は無理なようですが、負債が増えて、国家の機能が十分に

果たせなくなるため、せざるおえなくなります。

貨幣価値は上がるので、人々の生活は質素のまま維持されます。

以上の、【慢性デフレ】から不景気現象を打破するには、

上で述べた、 インフレーションを起こす原因のうちの、

世界情勢や国内情勢の変化、技術革新や風潮の変化などが起こればいいわけです。

人為的には、特に技術革新が有効です。

人々の生活を、根底から覆すような技術の発明がなされるのが、理想です。

今後の社会において、技術革新の期待が持てるのは、

ロボット関連(ヒューマノイド)、人口知能関連(コンピューター)、

バイオ関連(クローン、遺伝子)、未来関連(エアカー、衣料素材、建築素材)

宇宙開発(月、火星)、海洋開発(海洋牧場)、

資源開発(エネルギー)、リサイクル開連、

などであり、大企業の研究開発に任せられます。

大企業は、その立場上、社会の進歩に対して、先導する役目があります。

【偏性デフレ】は、潜在的な需要があっても、供給の体制が整わず、

商品の価格が高いという状態があって、発生します。

需要があると見込んで、供給者は努力し、供給の効率を上げ、価格を下げます。

価格が下がって、その商品の需要が伸びれば、供給者間の競争が始まり、

さらに価格が下がります。

価格は、やがて品質レベルとの兼ね合いで、一定範囲におさまります。

このように、【偏性デフレ】の特徴は、持続的に価格が下がりながら、

商品も増え続け、同時に、需要も増え続けることです。

また、その商品に関連した、他の商品の需要も増え、

その分野を、経済的に活性化します。

次に、経済の全体の状況を、まとめます。

【7.環境論】において、以下のように述べました。

社会環境では、欲望気流というものが流れています。

社会は、個人それぞれの欲望が集積し、また干渉し合って、形成されています。

欲望とは、人の意識の持つ、五つの欲求のことです。

生存、種存、存在、達成、秩序欲求の五つです。

ある社会、または集団、組織において、その構成員のおおよその欲求が、

同一の方向を向いた時、そこに大きなエネルギーが発生します。

エネルギーは目的達成に向かい、欲望気流が流れます。

人の欲求には、快楽追求と不快苦回避があると述べてきました。

快楽追求は、社会に対して、積極的、挑戦的で、進歩を求めます。

不快苦回避は、消極的、防衛的で、安定を求めます。

すなわち、前者は、需要を高め、消費を進める気流となり、

後者は、需要を押さえ、貯蓄を勧める気流となります。

社会を流れる欲望気流には、このような二種類の大きな流れがあります。

前者は、インフレ傾向、後者は、デフレ傾向にあります。

これら欲望気流は、前にも述べた、

世界情勢や国内情勢の変化、天変地異や災害、技術革新や風潮の変化などや、

文化や芸術による、人の意識の変化によって、引き起こされます。

欲望気流の、いくつかが干渉しあって、

現状は、下の四つのケースが混在する状態となります。

需要が多く、供給も多い・・・・・・高揚状態

需要が多く、供給が少ない・・・・インフレ状態

需要が少なく、供給が多い・・・・デフレ状態

需要が少なく、供給も少ない・・・沈滞状態

社会の実際は、一概に、インフレ・デフレと決めつけれず、

これらの状態が、地域的、産業的に、それぞれ優勢、劣勢の傾向にあるということです。

人為的に行なえる、状態の改善方法としては、政府の政策によって、

高揚状態では、貨幣調整をする・・・インフレ・デフレに進まないように、

経済調整をする。

インフレには、供給を増やす・・・・・・民間の供給の増加、効率化を支援する。

デフレには、公的需要を増やす・・・貨幣の流動を、活性化する。

沈滞状態では、上の三つの対策を、同時に行なう。

欲望気流の流れが強すぎる場合は、人為的対策の効果がうすく、

長期間をかけて、徐々に影響する程度です。

「やっても効果が少ないが、やらなくても困る」という経済政策の、難しさです。

経済では、人々の心理的作用が、大きく影響します。

次に、それを述べます。

人の心理現象として、群集心理があります。

人の本能(生存・種存・存在本能)は、三つの機能を持っています。

一つは、リード機能であり、人の行動を、外部の環境に働きかけるよう導きます。

一つは、ガード機能であり、人の行動を、外部の環境から守るようにします。

もう一つは、ヒール機能であり、外部から受けた身体的・肉体的ダメージを癒そうとします。

リード機能は、他者との競争を生み出します。

ガード機能やヒール機能は、他者との協調性を必要とします。

すなわち、人(または人々)は本能を満たすために、

他者と競争(差別化)して、群れの中で、優位に立とうとし、

他者と協調(同一化)することによって、群れに埋没して安定しようとします。

これが、群集心理を生み出します。

群集心理とは、

一人が優位になろうとすると、全員が優位になろうと競争を起し、

また、数人が同一化すると、全員が同一化しようとする心理です。

経済においても、この群集心理は、大きな影響力を与えます。

需要がある程度あって、商品が足らなくなると、その商品を持たない不安から、

その商品の需要が、急激に増えます。

また価格が上がることによって、その商品を早く手に入れたがり、

競争心を煽られて、さらに需要が増え、また、価格が上がります。【偏性インフレ】

マスコミなどが、インフレ傾向の情報を流し、物価の上昇を予想します。

マスコミは、全体の統計的な情報より、一部のショッキングな情報を優先するため、

人々は、先行きの、物不足、物価高の不安に被われます。

社会がインフレになり、貨幣の価値が下がっても、

人々は、貨幣に対しての価値観を変えることが出来ないので、

持続的な物価の上昇に、不満や怒りを募らせます。

政府は、人々を納得させようと対策を練り、

その対策が、さらに、インフレ感を決定的にしてしまいます。【慢性インフレ】

供給過剰で、商品の価格が下がることは、人々は歓迎します。

値が持続的に下がることで、人は購入を出来るだけ我慢します。【偏性デフレ】

マスコミなどが、デフレ傾向の情報を流し、倒産、失業の増加を伝え、

価格低下、節約を話題にします。

収入が減り始めて、人は、先行きの不安感を感じます。

景気回復のための、消費の必要を説かれるほど、

世間が消費を控える方向にあると思い、個人も控えるようになります。

社会がデフレになり、貨幣の価値が上がっても、

やはり人々は、貨幣に対しての価値観を変えることが出来ないので、

収入の低下に、不満や怒りを募らせます。

この場合も、政府は、人々を納得させようと対策を練り、

その対策が、さらに、デフレ感を決定的にしてしまいます。【慢性デフレ】

人は、群集心理に、逆らうことは出来ません。

経済の本質を知って、扇動に乗らないように心がけることが必要です。

経済の本質とは、何でしょうか?

経済は、どのように発展してきたのでしょうか?

かって、人は生きるために、最低限のものだけを消費し、

大きな楽しみもなく、明日への不安だけを抱えて暮らしていました。

不安を解消するために、人は、ものをため込むようになります。

ものをため込み、そして、余ったものを交換し合いました。

それが経済の発生です。

やがて、ため込むものを、物品から貨幣と代えていきます。

貨幣が発明されたことが、さらに多くの蓄えを可能にしました。

貨幣は、いろいろな場所で、いろいろなものと、安易に交換できます。

貨幣を多く手に入れるために、ものを多く売るようになります。

そのためには、一人でいくつかのものを作るより、

一つのものを多く作る方が、効率が良いことに気づきます。

貨幣を多く得れれば、さらに便利や楽しみも買えるようになりました。

経済は、人の不安を根底にしています。

生きるためのものが手に入らない不安、不快苦を避けられない不安、

そんな不安を解消しようと、経済は発達してきたのです。

不安を根底にしているため、人は、群集心理に操られやすいのです。

インフレは、ものがなくなるという不安、デフレは、貨幣がなくなるという不安です。

不安は、人を貪欲にします。

欲望は、社会に競争を引き起こします。

経済は、奪い合いの競争でもあります。

勝ち負けを繰り返し、負けないよう、技術の改良、開発に励みます。

競争をやめれば、社会から落伍するという、新たな不安も生まれます。

経済が発達をして、やがて、資源を大規模に開発し、

多くの商品を作り出し、大量に消費し、大量にゴミとして捨てるようになります。

そのために、人は多くの情報を操り、行動範囲も広く、活動的で忙しい日々を送ります。

多くの快楽と、ストレスを受ける社会では、経済は激しく流動的で、活発です。

不安はずいぶん緩和されますが、

技術に依存しすぎる、情報が過剰であるという、別の不安も生まれます。

しかし、経済は、文明を発達させてきました。

経済を規制し、その自由を奪えば、文明の進歩も遅れてしまいます。

今後、世の中の経済は、どのように変化していくのでしょうか?

経済の、インフレ・デフレの傾向に、一定の周期は存在しないと思われます。

供給が生まれて、需要が生まれる【偏性インフレ】

需要を追って、供給が増える【偏性デフレ】

供給が過剰になり、淘汰される【慢性デフレ】

需要と供給のバランスが保たれる

通常は、このような流れで、サイクルしていきます。

原料不足などの異常事態が起こると、【慢性インフレ】に進行します。

文明が進むにつれて、全体には、デフレ傾向になり、

経済は不活発な方向に収束していきます。

経済の本質は、効率性にあるのです。

上で述べてきたように、経済の発達は、欲望と不安を原動力にした、

効率性の追求でした。

蓄えから、物々交換、そして貨幣化

商いから、市場化、そして流通化

生産から、分業、そして産業化

共同から、組織へ、そして企業化

かって、人は、食物を手に入れるため、多くの生物を狩り尽くし、その種を絶滅させました。

天然資源も、競い合って、掘り尽くしてきました。

効率化は、その時限りで、将来にわたるものではなかったからです。

経済の、際限ない効率化を、抑えてきたのは、文化です。

文化は、人の生物レベルの欲求を抑え、高い意識での悦びを求めます。

現代では、人類の将来にわたっての、経済での効率化が求められています。