04.意識回路
前回、意識とは何かということについて述べました。
意識は、認識・記憶野、欲求野、感情野、意識野の五つの分野からなり、
それぞれがつながって、回路を構成しています。
意識回路の働きを、もっとくわしく見てみます。
意識回路は、通常時、反応時、緊急時の三つのモードがあります。
通常モードは、平穏時の状態維持として働きます。
認識・記憶野は、現在の状況の一時記憶と、認識を繰り返して、
状況に変化、または違和感がないかを、監視しています。
欲求野は、生活レベルでの欲求があるだけで、感情野に強い刺激を送ることもなく、
感情野も、ほとんど反応がありません。
意識野も、強い対応欲求がなく、順応-省エネレベルにある程度です。
状況に変化が現れ、違和感が発生しました。
通常モードは、反応モードに変化します。
認識・記憶野は、注意を集中して、違和状況を確認し、その情報を引き出します。
その情報によって、欲求野は、快楽追求または不快苦回避のスイッチをオンします。
感情野では、感情ホルモンが分泌され、程度により、全身を緊張させ、活性化します。
意識野では、対応-改善レベルとなって、違和状況を解消するために、
欲求を達成しようとします。
対応処置がなされ、違和状況が解消されれば、モードはまた、通常へと戻ります。
対応がうまくなされない場合、対応不十分として認識して、刺激の沈静化へ向かわせるか、
またはその不出来を認識し、感情野で、さらに不快ホルモンを分泌して、さらなる対応に
進むかに分かれます。
そのとき、不快の増幅が、くりかえし起こってしまうことがあります。
不快に、解消出来ない不快が加わり、不快のループ現象を起こしてしまうわけです。
意識回路は、普通、通常モードと反応モードの間を、くりかえしていますが、
違和状況が程度を越え、異常状態になったとき、モードは、緊急モードとなります。
認識・記憶野は、異常対象に注意を集中し、まわりが見えなくなります。
欲求野は、生存本能、種存本能、存在本能の順に優先されて、防御されます。
感情野は、興奮ホルモンを分泌して、全身を緊張状態にして活性化し、
異常に対しての、防御、回避、威嚇、除去体制をとります。
意識野は、無意識化して、対処を反応レベルに任せます。
(反応レベルとは、認識・記憶野~欲求野~感情野のみをめぐる回路で、
意識野にて、対応を考えない状態です)
意識回路は、年代とともに蓄積されていきます。
それらは、脳内に年輪のように刻まれます。
それぞれの人が持つ、価値観、信念・信条、性格が、その蓄積から形成されます。
蓄積は、経験、学習によって、意識回路の、どの分野を重視するようになるかで
差が出ます。
認識・記憶野を重視してきたタイプは、今までの経験を判断の基礎にします。
そのタイプの欠点としては、思い込みや思考の短絡が起こりやすいことです。
長所としては、思考の省エネ化、短縮化が出来ることです。
欲求野を重視してきたタイプは、快追求、不快苦回避を判断の基礎にします。
そのタイプの欠点としては、自己本位、理不尽、完全主義になりやすいことです。
長所としては、行動パワーを生み出すことです。
感情野を重視してきたタイプは、過去に持った感情を、判断の基礎にします。
そのタイプの欠点としては、直感的、偏見的になりやすいことです。
長所としては、瞬発力を生み出すことです。
意識野を重視してきたタイプは、対応機能を、判断の基礎にします。
そのタイプの欠点としては、優柔不断、秩序重視になりやすいことです。
長所としては、論理的であることです。
人は誰も、上記の、それぞれのタイプを複合した状態の、意識回路を持っています。