12.健康論

人は、多くの病に見舞われます。

遺伝子のよるもの、老化によるもの、

傷害によるもの、酷使によるもの、

栄養不足、過剰によるもの、

環境の悪さ、害毒の摂取によるもの

他生物の侵入によるものなどの、病があります。

今回は、おもに生活の習慣から発生しやすい、

現代人の病をとり上げ、人の習性を構成している論理を想定して、

それにもとづいて健全な生活の構築を試みます。

(以下はこの単純系での仮説であり、現在の医学的事実や理論に

必ずしも基づくものではないことをご承知ください)

人は、高性能の機械です。

機械とは、動力を与えられることによって、仕組まれた作動を行なう、

構造体のことを言います。

機械は、付着、または消耗、変形・破損によって、性能が劣化していきます。

付着とは、異物が部分に付着することであり、

消耗とは、磨耗によって部分が減少することや、弾性が失われて劣化すること、、

変形・破損とは、衝撃、腐食または上の理由で、構造が破壊されることです

機械の性能保持には、清掃、点検、給油、修復が必要です。

身体の生活レベルで受ける障害(劣化)の、原因も同じです。

人間の体は、大きく、エネルギー吸収系統、

エネルギー運搬系統、

エネルギー変換系統、

動作系統、調整系統、

エネルギー貯蔵系統の六つに分かれます。

エネルギー吸収系統は、

口から、食道、胃腸、肝臓、腎臓、尿道や肛門までの内臓系と、

鼻から肺への呼吸器系が含まれます。

ここでの、作動の障害の主な原因は、異物の付着です。

摂取物や排出物の体内への付着、その刺激、腐敗、毒性が、

この系統に害を与えます。

また細菌やウイルスなどの付着による、体内への侵入もあります。

エネルギー運搬系統は、心臓と血管、血液からなります。

ここでも主に、異物の付着が、作動の障害となります。

原因は、運搬される栄養物、または排出物の付着、刺激によります。

エネルギー変換系統は、全身の細胞のことであり、ここで、炭素を主とする

栄養源を、酸素によって燃焼して、二酸化炭素に変化させ、エネルギーを得ます。

ここで得たエネルギーの一部で、細胞を活性化して、生成・成長・修復を行ないます。

残りのエネルギーは、動作系統に回されます。

細胞部分での主な障害は、活性酸素による細胞レベルの破損(老化)があり、

自然変異、または化学物質などによる、遺伝子レベルの変形があります。

また、エネルギーの供給不足による、生成不足があります。

細胞は、脳細胞以外、自己修復性を持っていますが、

細胞分裂の回数が決まっており、回数が終われば消滅していきます。

そのため、細胞は、自然に消耗していきます。

動作系統は、全身の運動系と、自律神経による作動系に分かれます。

どちらも、主に筋肉と神経、皮膚と骨によって構成されています。

ここでの障害は、消耗、変形・破損が多く、

原因は、外部からの衝撃と、エネルギー不足、酷使による消耗があります。

調整系統は、脳から、脊髄の部分、目や耳、鼻、舌、皮膚の感覚部分を指し、

全身への神経信号の伝達系と、ホルモン液による調整系、

リンパ液などの免疫系を言います。

ここでの障害は、外部からの衝撃による破損、遺伝子レベルの変形、

エネルギー不足による生成不足、老化、酷使による機能低下が主です。

エネルギー貯蔵系統は、皮下や腹部に蓄積される脂肪部分を言います。

ここでの障害はほとんどなく、かわりにこの部分の過剰の蓄積が、

他系統に障害を与える原因になっています。

血液の脂肪濃度を上げて、高粘度化し、血管への異物付着を起こします。

体重増加による運動、作動能力の低下も、起こします。

以上に述べた、それぞれの系統は、互いに関連しあい、

一つの系統の障害が、他の系統の障害の原因になる場合も多くあります。

次に、身体の主だった部分で発生しやすい、生活レベルの障害と、

その想定されるメカニズム、予防・対策を述べていくことにします。

【風邪】

顔には、目(視覚)、鼻(臭覚)、耳(聴覚)、舌(味覚)と、感覚部分が集まっています。

進化的には、動物の進行方向に、感覚部分が集まり、その集合が顔となり、

そして、その感覚部分の発達から、近くに脳部分が発達してきたと言えるわけです。

顔は、ほかに鼻と口での呼吸の出入りと、口で食物の取り入れの機能があります。

これらも進化的に、エネルギーの補給口が、動物の進行方向の前面に必要だったからです。

鼻からノド、気管支にかけて粘膜があり、その敏感さから、異物が肺に入るのを防ぎますが、

粘膜が繊細すぎるため、炎症をおこしやすくなります。

炎症とは、皮膚の表面が破損することです。

風邪の原因はウイルスであり、呼吸器系の弱い粘膜を破壊して、体内へ侵入します。

健康時は、粘膜液によって、ウイルスは体外へ排出されますが、

乾燥時や、疲労時には、その効果が十分ではありません。

体内に入ったウイルスは、炎症を拡大して、さらにウイルスの進入を増やし、

全身の細胞を破壊していきます。

体は、ウイルスへの抵抗手段として、発熱を促し、免疫力を活発にします。

しかしその発熱により、全身の倦怠、筋肉痛が起こります。

また、ウイルスへの抵抗力が弱いと、肺炎などに進行します。

呼吸器での防御機能が低下するため、細菌・ウイルスの、肺への侵入を

容易にしてしまうためです。

ウイルスは、遺伝子のみを持った構造で、細胞として完成された細菌とは違い、

細胞壁を破壊する抗生物質は、効果がありません。

ウイルスは、低温に強く、熱、酸に弱いと言われます。

対処としては、乾燥を避け、栄養と休息をとることで、免疫力を高めて、

体内のウイルスを絶滅することです。

風邪の予防としては、粘膜の強化であり、免疫力の強化です。

そのためには、疲労を蓄積しないことと、体質改善が必要です。

体質改善については、後述します。

食品としては、「ビタミンC」をとることがすすめられています。

【虫歯】

口には歯があり、それが口内の菌によって、簡単に腐食されてしまうことが、

人の弱点の一つです。

現代人は、食生活の変化により、アゴが未発達です。

そのため歯並びが悪くなり、食物が歯間へ残りやすく、腐食を促進してしまっています。

児童期に、歯の生え変わりがありますが、人生に一度だけ、それがあるというのは、

不思議です。

歯は、生えてからは、ほとんど成長しません。

生え変わりに、いきなり成人の歯(永久歯)が生えてきます。

口内で、歯自体が成長すると、口の皮膚を突き破ってしまうおそれがあるからです。

顔が十分に成長するまで、永久歯は、その生成を遅らせているのです。

幼児期には、その代用歯がはえているわけです。

幼児期の歯(乳歯)が、虫歯になりやすいため、歯が生え変わるわけではありません。

虫歯は、歯間の食物の残りが原因だと述べました。

虫歯が出来ると、さらに、その穴に食物のカスが入り込んで、腐食を進めてしまいます。

歯磨きは、表面の洗浄、歯ぐきのマッサージや、口内の消毒には、効果がありますが、

歯間の掃除には、十分ではありません。

人には、自浄能力がありますが、歯間だけは、その力も及びません。

高圧洗浄水を用いる方法が、短時間で、効果があります。

【近視】

目は、人の感覚器官のなかで、もっとも認識効果が大きく、頻繁につかわれる部分です。

構造は、カメラと同じで、フイルター(角膜)、絞り(瞳)、

レンズ(水晶体)とスクリーン(網膜)からなっています。

焦点は、レンズの厚みを、二つの筋肉の引っ張りと押さえつけで、変化させるることに

よって合わせます。(レンズ自体の弾力にもよります)

目の機能障害では、近視と老眼がほとんどです。

近視は、網膜の手前に像を結んでしまうために起こる、像のボヤケです。

もっともレンズを薄くした状態で、網膜の手前に像のピントが合ってしまうため、

これ以上、調整のしようのない状態です。

遠視は、逆に、網膜の向こうにピントが合ってしまうもののため、

レンズを厚くすることによって、ある程度の調整が出来ます。

近視の原因としては、レンズの厚さを調整する筋肉の衰えか、

レンズと網膜との距離が、広くなったためです。

現代社会においては、ものを近くで見ることが多く、

そのため、レンズをはさむ二つの筋肉で、

一つは長時間の緊張状態にあって、疲労して固化し、

一つはあまり使われない弛緩状態で、弱体化してしまいます。

また、緊張を減らすために、レンズの厚みの固定化が起こり、

さらに網膜を奥に下げて、焦点距離を伸ばそうとします。

それらが、近視を引き起こします。

また、成長期において、水晶体の成長と、焦点距離(眼孔)の成長のバランスがくるうため

とも考えられます。

眼鏡などを使用しての矯正で、度数が強すぎると、遠視状態になって、目の筋肉の疲労を、

さらに引き起こすことがあります。

対象物に焦点が合っていて、レンズの厚みが自然な状態で、

筋肉に力がはいっていないときを、ニュートラル状態と呼ぶことにします。

(5mくらい先を、ぼんやり見る状態)

眼鏡をつくる際の視力調整を、そのニュートラル状態で行なうため、

生活レベルでは、遠視状態となり、そのため、焦点をさらに近視方向にもっていこうとして、

疲労し、近視度を進めてしまいます。

老眼は、筋肉の衰えが原因で、レンズの厚さ調整が不十分になることです。

レンズ、網膜間距離も、収縮する傾向にあります。

近視、老眼の対策としては、筋肉のストレッチをするということです。

老眼は、筋肉の老化であるため、激しい動作は避けます。

ストレッチに対しては、後述します。

【胃炎】

胃の粘膜は、刺激物や細菌によって炎症を起こしますが、

精神的なストレスによっても、炎症を起こします。

炎症が進行すれば、潰瘍となります。

潰瘍は、また癌細胞の発生とつながります。

ストレスとは、欲求が満たされないために生じる、

生命活動が抑圧される感覚の、持続のことを言います。

欲求が満たされないとは、快楽追求が邪魔される、

または、不快苦回避が出来ないことですが、

大きなストレスを生むのは、後者です。

欲求は回避を望みながら、意識は回避をやめて、障害に立ち向かおうとします。

その軋轢がストレスを生み、身体は自律神経を不調にします。

強制的に、意識が立ち向かおうとするのを防止しようとするためです。

そして特に、胃に痛みを発生させることで、事態を回避しようとします。

脳に血流が集中し、自律神経の不調が起こり、胃粘膜への血流不足が起こって、

抵抗性が低化し、胃液によって、粘膜が破損して、炎症を起すと考えられます。

もっとも容易で、効果があって、被害の少ない胃に痛みを起こさせる、

本能の、緊急避難です。

胃を荒らし続けるほどのストレスを、溜めないことが肝心ですが、

胃の粘膜を正常に保ち、炎症を拡大させないことも必要です。

胃液は、自分の胃も消化しようとします。

それを防いでいるのは、胃粘液です。

胃の炎症は、胃液の過剰分泌、胃粘液の不足、

刺激物、固化物、アルコール、タバコ、薬品による胃粘膜の損傷、

ピロリ菌による損傷が、原因としてあげられます。

そこに、ストレスによる粘膜の弱体が重なり、炎症を大きくします。

対策としては、胃粘液の分泌をあげる、酸っぱい食品「リンゴ、レモン、ミカン、梅干」、

胃液の過剰分泌を抑える食品「キャベツ、レタス、セロリ、アスパラガス」、

消化の促進食品「大根、納豆」をとるという方法が有効です。

【脂肪肝】

小腸から吸収された栄養分は、血液にのせられて、

人体で最大の臓器と言われる肝臓へ、運ばれます。

肝臓には、体に必要な栄養を生成する、代謝機能

血液中の有害物を除去する、解毒機能

余分の栄養分を貯蔵する機能、

消化液たん汁を生成する機能があります。

これらの機能で、肝臓は、人の生きるための活力やスタミナを作り出し、

それらを血液に送りこみます。

肝臓の主な障害は、ウイルス性の肝炎であり、口や粘膜から、ウイルスが進入します。

肝炎は、肝硬変、肝臓ガンと進行するおそれがあります。

脂肪肝は、肝臓内に脂肪が過剰に蓄積することで、

栄養過多、アルコールによる代謝機能の低下が原因です。

脂肪肝は、肝臓の機能を低下させ、肝炎を発生しやすくします。

また、血液中の脂肪濃度を高め、血液の粘度を上げてしまいます。

対策としては、アルコール量を減らす、

運動不足を解消して、体内の脂肪を燃やす、

肝臓強化食品として、「レバー」をとるなどです。

【血行障害】

血液は、栄養分と酸素を、全身のすみずみの細胞まで運び入れ、

老廃物を運び出すという生命を維持する、基本的な働きをしています。

また、進入してきた細菌やウイルスを排除する、免疫機能を持っています。

血液は、細胞の命を保持する、管理者です。

その血液の流れが悪くなる血行障害が、身体に起こるいろいろな病気の原因に

なっています。

血行障害の原因は、血量不足、血圧不足、血管内の縮小、血液の高粘度が、

あげられます。

血量不足とは、おもに鉄分の減少によるヘモグロビンの減少(貧血)のことです。

鉄分をとるには、「レバーや、パセリ、ほうれん草」が適します。

血圧不足とは、おもに生活の不規則による、自律神経の不調からくる

循環不調です。

生活の不規則から、心臓が休めず、疲労してしまいます。

休養が必要です。

血管内の縮小は、塩分のとりすぎによる血管自体の縮小と、

血管内に異物が付着して、通路をせまくすることで、、血液の流れを妨害します。

異物とは、中性脂肪(エネルギー材料)とコレステロール(細胞材料)です。

脂肪肝のところで述べたように、栄養過多、運動不足が原因で起こります。

血液の高粘度化も、中性脂肪やコレステロールの過剰や、

赤血球の連鎖が、主な原因です。

血液の流れが悪くなると、高血圧化します。

中性脂肪対策には、動物性脂肪をとりすぎないことです。

人の三大栄養源は、糖、脂質、タンパク質です。

その中の一つ、脂質はエネルギーの貯蔵であり、細胞の保護に必要です。

その成分のとおり、細胞間、組織間の潤滑油にもなります。

また、ホルモンの原料になりますが、大量に摂取する必要はありません。

動物性脂肪は、飽和脂肪酸であり、植物の不飽和脂肪酸より安定で、

体温でとけにくく、分解しにくいため、血液中にのこりやすいと言われています。

血行障害としては他に、筋肉の緊張が続いたために、筋肉繊維間の血流が妨害され、

エネルギー源の糖が、完全に分解されず、乳酸などの、疲労物質が生成されて痛みを生む、

筋肉のコリという障害(血行不良)があります。

その対策としては、ストレッチが有効です。(後述)

【糖尿病】

糖尿病は、三大栄養源のうちの糖が、血液中に過剰になる病気です。

すい臓から分泌されるインシュリンが不足するか、作用がききにくくなるのが原因で、

血液中の糖濃度が増加します。

インシュリンは、細胞へ、エネルギー源として糖を吸収させる働きをしています。

作用しないと、細胞へのエネルギー不足を引き起こします。

そのため、抹消神経まで栄養が運ばれず、いろいろな障害を発生します。

また、糖の代わりに、脂肪が栄養源に回され、細胞を傷つける毒性物を

生成するとも言われます。

糖尿病となる大きな原因は、肥満です。

インシュリンには、あまった糖分を脂肪に変えて、貯蔵させるという働きもあります。

肥満によって、血液中の脂肪分が増えると、インシュリンは、その貯蔵の働きを

抑制されます。

インシュリンの働きがにぶくされると、細胞への糖分の吸収も抑制されます。

栄養過多で、糖分が過剰である上に、糖分の吸収も貯蔵もされないため、

血液中の糖濃度が、上昇するわけです。

また、過剰な糖を排出するため、体内の水分が多く使われます。

対策としては、栄養過多、運動不足の解消です。

【老化】

十代後半で、人の身体は成熟し、三十代から、じょじょに老化による障害が、

目立ち始めます。

老化とは、一つは、細胞が栄養不足(血行不良による)や、活性酸素によって、

キズをうけたために起こる、細胞の機能の低下のことです。

また、細胞分裂の頻度が減って、キズの修復が十分に行なえないために起こる、

細胞自体の劣化・消滅のことです。

もう一つは、細胞と細胞間をつなぐコラーゲンの劣化、減少のことです。

細胞の機能の劣化は、それぞれの組織の機能を低下させます。

筋力、視力、心臓のおとろえ、肺、肝臓、腎臓機能のおとろえ、

動脈硬化、血行障害、ホルモン異常、免疫機能、性機能の低下、

聴力、脳機能の低下を起こします。

組織の機能の低下や、ホルモン分泌の減少が、さらに細胞の活性を低下させ、

また、細胞分裂の数も減るため、新陳代謝が不十分となります。

それに伴っての、運動活力の低下と、栄養過多が、中年以降の肥満を作り出します。

コラーゲンの劣化は、皮膚の劣化、骨・間節の劣化を起こします。

皮膚においては、コラーゲン繊維の弾力が失われて、ふかいシワを発生させます。

また、皮膚組織の、アブラの分泌機能、水分の保持機能のおとろえが、

小ジワを発生させます。

紫外線に対する抵抗力のおとろえから、シミも増加します。

骨においては、骨の生成能力がおとろえ、カルシュウム不足から、

骨の分解が進んで、骨密度の低下が起こります。

関節では、コラーゲンが減って、軟骨層が薄くなり、クッション性がおとろえます。

老化の対策としては、栄養補給、抗酸化食品「赤ワイン、茶、ココア、大豆、ゴマ

にんにく」、適度な運動があげられます。

【がん】

組織を作るために、遺伝子は、細胞を増殖させます。

増殖ははじめ、無分化のまま行なわれます。

その増殖は、がん原遺伝子によって活性化されます。

増殖が進むと、次は、不必要な細胞が消滅して、分化が始まります。

そのために、細胞の増殖を停止させるのが、がん抑制遺伝子です。

以上は、正常な細胞の働きです。

がんの発生のメカニズムは、ウイルス、化学物質や、紫外線、放射線によって、

遺伝子がキズを受けます。

それによって、がん原遺伝子が、がん遺伝子に変異し、

また、がん抑制遺伝子の機能が低下します。

上の二つの要因が重なったとき、

正常な細胞が、がん細胞になると考えられます。

対策としては、発がん性食品(農薬、化学肥料)をとらない、

がん抑制食品「野菜、ビタミンA、C、E、食物繊維」をとる、

低塩、低脂肪食品、禁煙、紫外線防止に心がけるようにすることが、あげられます。

【アレルギー】

人は、自分を構成するタンパク質と、異なるタンパク質が、分解されないまま、

体内に入り込むと、それを侵入者と見なして、攻撃を開始します。

そのタンパク質を抗原とし、それを包み込むタンパク質の抗体を作成して、

結合により、そのタンパク質の構造を変化させ、排泄します(抗原抗体反応)。

そして次からは、その抗原が進入すると、すばやく、大量に抗体を作れるようになり

抗原の捕獲が容易になります(免疫機能)。

また抗体は、抗原の体内への進入を防ぐために、粘膜に刺激を与えて、

咳、鼻水、涙や、下痢で、異物の放出をしようとします。

免疫機能は、ウイルスや病原菌、がん細胞を攻撃するために、有効に働きますが、

人体に大きな害を与えない、未消化のタンパク質や、花粉、ハウスダストをも、

抗原と感知し、抗体を大量に発生させます。

そして、その抗体が不必要に粘膜への刺激を続けてしまうのが、アレルギーです。

アレルギーとしては、花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、じんましんが、

あります。

対策としては、体質改善があげられ、

食品としては、動物性脂肪をとらない、ビタミン類、きのこ、茶などをとることが、

あげられます。

【うつ病】

うつ病は、

脳内の神経伝達の感受性が高くなって、ストレスに対して反応し過ぎるために起こる説と、

反対に、神経伝達が阻害されて、ストレスの解消が十分にされないために起こる説が、

あります。

ストレスとは、快楽追求、不快苦回避の欲求を抑圧されることであると述べました。

また大きな意味で、抑圧されたために発生する、興奮、不快感、緊張感、不安感、

そして心の葛藤のことをあらわします。

葛藤とは、抑圧するものに対して、反撃できないことを納得させるために、

自分を正当化させようと、繰り返し自問することです。

ストレスを感知すると、ホルモンが分泌され、自律神経が活性化されます。

全身に、臨戦体勢(興奮+不快)、防御体勢(緊張+不安)をとらせるためです。

脳に、大量の血液が回され、胃などの体勢にかかわらない部分は、血流が減ります。

エネルギーの大量の補給が優先され、免疫力は落ちます。

ストレスを生む抑圧が解放されると、やがて、その臨戦・防御体勢も解除されます。

しかし、抑圧されていた時間が長いと、自律神経のバランスが崩れ、体勢がすぐに、

もとに戻らなく、体の回復力、免疫力、調整力が劣った状態となります。

それが、ストレスの、多くの病気の原因となる理由です。

ストレスへの不安感から、ストレスに対して敏感、または解消が鈍感になってしまったのが、

うつ病です。

抑圧に対する過剰反応が起こり、自律神経のアンバランスが続きます。

ストレスが多すぎるため、それを解消するために分泌されたホルモンも、

逆効果で、自律神経のアンバランスを助長してしまうと考えられます。

相乗効果で、快楽ホルモンも出にくくなるため、気力も失われます。

対策としては、ストレスに過剰な反応であることを自覚し、

ストレス発散による、心の解放が重要です。

軽い運動アミノ酸やビタミンの摂取が進められます。

ここまで、主に生活の習慣からなる体の障害を述べてきましたが、

その予防となる対策を、次に挙げていきます。

体質改善

人間の体は、三つの系によって制御されています。

神経伝達物質による伝達系と、

ホルモンによる調整系と、

血液、リンパ液による免疫系です。

伝達系は、全身の感覚、刺激の電気信号を、神経伝達物質で脳に伝えます。

脳は、筋肉に信号を送って行動を起させます。

調整系は、刺激を受けた脳の司令で、ホルモンを分泌します。

ホルモンは、内分泌液の総称で、おもに血液で運ばれます。

ホルモンには、自律神経を変化させるもの、

対応する細胞、組織にたどり着くと、一定の化学反応を起こすものがあります。

免疫系は、血液の白血球の部分である、免疫細胞によって構成されます。

体内に入ってきた非自己のタンパク質に対して、活性酸素を用いて、攻撃します。

神経物質、ホルモン、免疫細胞は、それぞれに影響を及ぼし合っていると言われます。

体質とは、これら物質の生成量、反応量、バランスの違いによって生じる、

体の制御作用における特徴のことです。

感覚、反射、運動神経の鋭い体質、鈍い体質。

自律神経が変化しやすい体質、しにくい体質。

各種のホルモンの分泌が活発な体質、不活発な体質。

免疫力が強い体質、弱い体質。

それぞれの体質の違いは、遺伝と、生育環境、経験学習によって形成されます。

また、それぞれの体質が組み合わせられて、個人特有の体質が形成されます。

不健康な体質の代表として、虚弱体質、肥満体質、アレルギー体質の三つがあげられます。

虚弱体質とは、おもに消化機能に対するホルモンの分泌が、不活発のため、

細胞や組織に栄養が十分に行き渡らず、そのため活力が乏しく、

血流不足、免疫力不足、気力不足になる身体のことです。

肥満体質とは、おもに新陳代謝に対するホルモンの分泌が、不活発のため、

栄養が十分に消費されず、脂肪として体内に蓄積されやすい身体のことです。

アレルギー体質とは、アレルギーの欄で述べたように、

おもに免疫力が、過剰反応してしまう身体、

または、自己外物質への耐性の、弱い身体のことです。

体質改善とは、これらの内分泌物質の生成、反応のバランスを、

身体にとって、もっとも適切に調整出来るようにするということです。

この、環境に対応して、身体を自動に調整する力を、

生体恒常機能(ホメオタシス)と言います。

この機能を最適にする必要があります。

身体にとって、温和な環境に身を置いているよりも、

ある程度、厳しい環境にあったほうが、その調整力は活発化し、鍛えられます。

厳しい環境とは、精神的よりも身体的な苦痛・不快を受けるという意味です。

ある程度とは、人間の耐久限度内の範囲にあるということです。

また、そんな環境に、直接接触する皮膚が、刺激を受けることにより、

すみずみの毛細血管まで、十分に血液が流れるようになります。

末端の血管まで、血行が良くなれば、

その途中の、それぞれの細胞、組織にも、十分に栄養を運ばれ、

活性化させられます。

暑ければ、汗をかき、体温の上昇を防ぎます。

また、暑いために、新陳代謝は促進され、エネルギーは自然に消費されます。

身体の動きを不活発にして、行動による発熱、エネルギーの消耗を防ぎます。

寒ければ、皮膚や身体を萎縮させ、体温の低下を防ぎます。

新陳代謝は抑制されます。

体温維持のため、エネルギーは自然に消費されます。

また、震えを起こして、発熱します。

冷房、暖房に囲まれた生活ではなく、

自然の環境の中に、身を置いた暮らしで、皮膚はある程度、強化され、

そして、全身への自律神経の働きを活性化します。

自律神経の活性化、能力UPが、体質改善へとつながります。

日常では、入浴時の、体のブラッシングやかたいタオルでの摩擦を心がけることを

推奨します。

ストレッチ・運動

人の健康維持には、

必要十分な栄養摂取、

その栄養を運ぶ血行促進、

そのエネルギーを使った新陳代謝の活性の、三つがポイントです。

ストレッチは、血行促進に効果があります。

筋肉は、緊張状態が続くと、血行が悪くなり、老廃物がそこに残ります。

ストレッチは、筋肉間の血行をよくし、溜まった老廃物を、押し出します。

運動は、エネルギーの消費により、新陳代謝を活発にします。

また、運動は、筋肉ポンプを動かして、全身に血液を送ります。

そして、骨格の関節を動かすことにより、その間にも、栄養を補充します。

適度なストレッチ・運動は、自律神経を刺激し、前章で述べた体質改善につながりますが、

急激な、筋伸縮運動は、組織の破壊、変形、弱体を招きます。

以下に、『ラジオ体操』を基本とした、ストレッチ体操を説明します。

音楽に合わせることなく、また回数を気にせず、ゆっくりとしたリズムで行ないます。

ラジオ体操を基にしたのは、多くの人が記憶している、記憶しやすいからです。

①背伸びをする、次に手を横から下ろす×2回

【指を組んで反らし、高く伸ばす】

②腕を振って、脚を曲げ伸ばす×8回

【そのうち4回、脚を大きく曲げる】

③腕を下から外、外から下へ、大きく回す×4回

【首を右から、左からと回す】

④腕を横に振って、胸をそらす×4回

【首を、左右上下に向ける】

⑤右腕を上げて、体を左側に2度曲げる。反対側で繰り返す×2回、

【曲げた側の脚を伸ばす】

⑥体を前に3度、後ろに1度曲げる×2回

【出来るだけ大きく曲げる】

⑦左右左に体をねじり、右に腕を2度振り上げる。反対側で繰り返す

【腕を振り上げたときに、アキレス腱を3度伸ばす】

⑧手を肩から上に伸ばし、次に下げる×4回

【腕の動きに合わせて、目だけを右上左下と動かす】

⑨斜め下に体を2度曲げ、次に2度そらす。反対側を繰り返す×2回

【そらした時に、肩を回す】

⑩体を大きく回す、反対方向に繰り返す×2回

【足腰のばねをそらす】

⑪4度跳び、2度腕と脚を広げて跳ぶ×2回

【手首、足首を軽く、振り回す】

⑫(②を繰り返す)

⑬腕を上下して、深呼吸する

【足首を回す】

運動では、日中も行なえる、手軽な歩行を推奨します。

(1)万歩計を携帯し、一日の通常の歩行数プラス5000歩を、目標とする。

(2)そのために、たえず歩くことを心がける。

(3)背筋を伸ばし、胸をはって歩く。

栄養

健康維持のためには、栄養の必要十分量を、バランスよく、

一定間隔で摂取することが、求められます。

栄養があっても、過剰にとり過ぎないこと、

また、農薬対策として、水で洗えるものは、適度に洗うことが、必要です。

以下に、体に必要な栄養分をもった、主な食物を挙げます。

豚肉・・・ビタミンB1、B2、タンパク質、ナイアシン、鉄、リン、カリウム

「ビタミンB1は、糖質をエネルギーに代える」

鶏卵・・・タンパク質、パントテン酸、ビタミンA、B2、D、鉄、レシチン

「レシチンは、細胞膜や脳、神経組織の成分、コレステロールの付着を防ぐ」

牛レバー・・・銅、鉄、ビタミンA、B12・葉酸

「鉄は、赤血球成分、銅は、そのヘモグロビン生成を助ける」

うなぎ・・・ビタミンA、B1、B2、D、E、カルシウム、鉄、EPA、DHA

「ビタミンAは、免疫機能をUPする」

さんま・・・ビタミンA、B1、D、E、ナイアシン、EPA、DHA

『薬の魚』と呼ばれる。

まぐろ・・・ビタミンD、E、タンパク質、ナイアシン、脂質、タウリン、DHA、EPA、セレン

「EPAは、血行改善、DHAは、脳細胞、網膜を活性する」

さけ・・・ビタミンA、B1、D、E、ナイアシン

「ビタミンDは、カルシウム、リンを補助して、骨を作る」

ぶり・・・ヨード、ビタミンB1、B2、D、E、タンパク質、EPA、DHA、タウリン

「タウリンは、肝臓を強くし、悪玉コレステロールを減らす」

かつお・・・タンパク質、ビタミンD、B1、ナイアシン、鉄、タウリン

「ナイアシンは、代謝、消化、血行を促進する」

いわし・・・タンパク質、脂質、EPA、DHA、セレン、カルシウム、ビタミンB6、B2、D

「カルシウムは、歯、骨を作る。神経の伝達、精神の安定を促す」

しらす・・・リン、カルシウム、ビタミンB、D、E

「リンは、カルシウムとの相互作用で歯、骨を生成する」

かき・・・亜鉛、銅、鉄、マンガン、ビタミンB1、B2、B12、タウリン、グリコーゲン、糖質

「『海のミルク』と呼ばれる。タウリンは、血管障害を防ぎ、肝臓強化」

あさり・・・タンパク質、鉄、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB2、B12、タウリン

「ビタミンB12は、葉酸とともに赤血球を作る」

ひじき・・・ヨード、マグネシウム、鉄、カルシウム、ビタミンA、食物繊維

「ヨードは、代謝を促進、体温低下を防ぐ」

わかめ・・・ヨード、カルシウム、カリウム、ビタミンA、C

「カリウムは、血圧抑制、筋肉機能の調整をする」

ほうれん草・・・葉酸、モリブテン、ビタミンA、B1、C、K、鉄、カルシウム

「葉酸は、正常な赤血球を作る」

にら・・・ビタミンA、B1、B2、C、E、硫化アリル

「硫化アリルは、ビタミンB1の吸収を高め、代謝を促す」

ねぎ・・・ビタミンA、C、カルシウム、カリウム、鉄、硫化アリル

「風邪予防に効果」

たまねぎ・・・ビタミンC、カルシウム、カリウム、食物繊維、硫化アリル

にんじん・・・ビタミンA、B1、C、カリウム

「がん予防にβ―カロチン(ビタミンA)」

じゃがいも・・・クロム、ビタミンC

「『大地のリンゴ』と呼ばれる。クロムは、インシュリンの活性化に働く」

さつまいも・・・ビタミンB1、C、E、カリウム、食物繊維

「食物繊維は、腸内の有害物質、血中のコレステロールを排出する」

さといも・・・タンパク質、カリウム、ビタミンB1、B2、C、ガラクタン、ムチン

「ガラクタンは、脳細胞を活性、免疫力を高め、ムチンは、内臓の強化」

やまいも・・・カリウム、ビタミンB1、C、ジアスターゼ

「『山うなぎ』と呼ばれる。ジアスターゼは、炭水化物の消化酵素」

かぼちゃ・・・ビタミンA、C、E、カルシウム

『冬至かぼちゃは、風邪引かない』と言われる。

大根・・・ビタミンA、C、E、カルシウム、カリウム、ジアスターゼ、リグニン

「『自然の消化薬』と呼ばれる。リグニンは、整腸作用」

レンコン・・・マンガン、ビタミンB1、B12、C、鉄、カリウム、食物繊維

「マンガンは、骨の生成、酵素を活性する」

ごぼう・・・カルシウム、鉄、マグネシウム、銅、食物繊維

「マグネシウムは、骨、筋肉の強化、精神の安定、代謝、核酸の合成」

にんにく・・・ビタミンB1、C、タンパク質、リン、アリシン、スコルジン

「アリシンは強い殺菌力を持ち、代謝を促す。スコルジンは血行促進」」

しいたけ・・・ビタミンB1、B2、D、ナイアシン、食物繊維、エリタデニン

「エリタデニンは、血中コレステロールを抑制する」

緑茶・・・ビタミンA、B1、B2、C、鉄、タンニン、フラボノイド

「タンニン(カテキン)は、血中コレステロール抑制、免疫力を高める」

ウーロン茶・・・タンニン、フラボノイド、鉄

「フラボノイドは、活性酸素を除去する」

ごま・・・亜鉛、カルシウム、リン、鉄、ビタミンB1、食物繊維、セサミン

「亜鉛は、タンパク質合成、免疫、代謝、ホルモンの活性化を行なう。

セサミンは、活性酸素を除去する」」

そば・・・リン、ビタミンB1、ナイアシン、タンパク質、食物繊維、ルチン

「ルチンは、毛細血管を丈夫にする」

玄米・胚芽米・・・リン、ビタミンB1、E、ナイアシン、糖質、タンパク質、食物繊維

「ビタミンEは、過酸化脂質を抑制、がん、老化の防止」

大豆・・・タンパク質、セレン、リン、鉄、カルシウム、マグネシウム、ビオチン、食物繊維

「『畑の肉』と呼ばれる。セレンは抗酸化作用」

みそ・・・鉄、リン、カルシウム、カリウム、タンパク質

「タンパク質は、筋肉、血液、分泌液などの、体の材料になる」

豆腐・・・カルシウム、鉄、タンパク質、脂質、モリブテン

「モリブテンは、酵素の構成要素」

納豆・・・ビタミンB2、K、タンパク質、鉄、カルシウム、食物繊維

「ビタミンKは、骨からのカルシウムの流出を防ぐ」

キャベツ・・・ビタミンC、K、U、カリウム、カルシウム、

「ビタミンUは、胃酸の分泌を抑え、粘膜を保護する」

カリフラワー・・・ビオチン、ビタミンC、食物繊維

「ビオチン(ビタミンH)は、代謝を活性化する」

落花生・・・パントテン酸、ナイアシン、マンガン、ビタミンE

「パンテント酸は、代謝、免疫を活性化する」

うめぼし・・・鉄、カリウム、カルシウム、クエン酸

「クエン酸は、筋肉疲労を回復、骨を強化、血行を促進する」

ハチミツ・・・糖質、鉄、葉酸、ビタミンB、C、K

「糖質は、エネルギー源、オリゴ糖は特に整腸作用がある」

レモン・・・ビタミンB1、C、カルシュウム、カリウム

トマト・・・ビタミンA、B1、C、カリウム

『トマトのある家に、胃病なし』と言われる。

バナナ・・・カリウム、クロム、マグネシウム、ビタミンB6、C、糖質

「ビタミンB6は、代謝を活性化し、赤血球を作る」

リンゴ・・・ビタミンC、カリウム、ペクチン、糖質

「『リンゴ一個は、医者を遠ざける』と言われる。ペクチンは、整腸作用」

イチゴ・・・ビタミンC

「ビタミンCは、コラーゲンの生成、免疫力をあげ、がん予防に効果」

牛乳・・・カルシウム、リン、ビタミンB2、脂質

「ビタミンB2は、代謝、成長の促進、粘膜の保護、抵抗力をつける」

チーズ・・・リン、カルシュウム、脂質、タンパク質、ビタミンA、B2

「脂質は、エネルギー源、細胞へ栄養を運ぶ潤滑油のはたらき」

マーガリン・・・ビタミンE

ヨーグルト・・・カルシウム、ビタミンA、B2、タンパク質、脂質