オリエンテーション
沿革・概要
法人沿革
平成10年 4月 「有料ホームヘルプサービスパートナー」結成
平成12年 4月 介護保険法施行 「ホームヘルプサービスパートナー」に改名
居宅支援事業 訪問介護事業 開始
平成15年 6月 NPO法人化 入善町第1号 「特定非営利活動法人パートナー法人」
平成17年 1月 「グループハウス うらら」開設
平成18年 4月 「グループハウス うらら」が住宅型有料老人ホームに指定
平成21年 4月 小規模多機能型居宅介護「小規模多機能ホーム うらら 」開設
ホームページ https://sites.google.com/site/partnernourara
訪問介護事業
訪問介護に従事しているものは、介護職員初任者研修、介護福祉士の資格保有者や定められた必要な研修を修了している専門職です。
設置主体 特定非営利活動法人パートナー 法人全体数 26名
名称 特定非営利活動法人パートナー 訪問介護事業 10名(内 常勤1名)
併設 居宅支援事業 ケアマネ 2名
介護保険事業者としての役割(訪問介護)
事業者の訪問介護員は、要介護者等の心身の特性を踏まえて、その有する能力に応じ自立した日常生活をその自宅において営むことができるよう、入浴、排泄、食事の介護(身体介護)、その他の生活全般にわたる援助(生活援助)を行なう。
最近の介護福祉士の教科書には「心身に応じた介護」と文言に変わりつつある。それは、人間が生活していくには、いわゆる三大介護と言われる入浴、排泄、食事のお世話だけでは生きてはいけない。たとえ、最低限の生活が継続されても、その人らしさを保つための支援にはならない。と言うことがわかってきて、その方の病気や心の状態に応じたきめ細かいケアがホームヘルパーにも必要だということがちゃんと表現されるようになってきたのだと思います。実際に訪問してみればわかるが、「入浴、排泄、食事の介護(身体介護)、その他の生活全般にわたる援助(生活援助)」以外の仕事のほうが多いし、心のケアの方が大変です。
介護予防・日常生活支援総合事業訪問型 旧(介護予防訪問介護)
「日常生活上の基本動作がほぼ自立し、状態の維持もしくは改善の可能性が高い」として、要支援1又は要支援2と認定された方を対象とする介護予防訪問介護では、本人が自分で行うのが困難な掃除、買い物、洗濯、調理等の家事について、家族や地域による支え合いや他の福祉施策等の代替サービスが利用できない場合に提供されます。入浴介助やトイレ誘導など身体介護もすることはあるが料金は、一律に一カ月○○円と決められているので、身体介護とか、生活援助という呼び方はしません。
平成27年4月からは介護予防事業は、お金の出どこが(県)でしたが、市町村に移行になり、名称も介護予防・日常生活支援総合事業に代わりました。今は移行期間で実際に施行しているのは全国で1割。その一割にこの新川地区が入っています。平成29年4月からは全国どこでも「介護予防・日常生活支援総合事業」が始まります。
要支援の方を「予防」と略称で呼んでいましたが、今度からは「総合事業対象者」の「総合」という呼び方をしています。
ヘルパーは、この人は「介護だから」とか、「要支援だから」とかあまり意識していないと思いますが、制度も、報酬も、サービス内容も大きく違います。本当は訪問しているヘルパーもそういうことを意識して訪問すべきです。報酬が安いから、手を抜くんじゃなくて、「介護予防の人だから、ここまでやったらやりすぎ自立のためにならない」とブレーキをかけることも必要です。
以前はしていたものの、今はしていない家事や日常の動作を、ホームヘルパーが手伝いをすることにより、また「したい」という意欲をもっていただきながら、サービス利用者が自分でできることを増やすことによって、自立した日常生活を送れるように支援することが「総合事業」の目標と私は考えています。
具体的には、要支援の訪問に入浴介助はあまり考えにくいことです。自分で出来ることの多い要支援者なので、本来なら「一人で入浴できる 」しかし、体力気力がだんだん弱って一人で入浴するのが、自信がなくなったり、おっくうになったりすることはよくあることです。そこで、ヘルパーが訪問して、気持ちよく入浴できるように環境を整え、誘い、洗えない所は補助し、かがむのが大変な浴槽の底の掃除を援助すれば、その方は「家で入浴することができる」ということが達成できます。
介護状態の訪問介護でも、介護予防・日常生活支援総合事業訪問型 旧(介護予防訪問介護)でも、
「できない」のか、「できるのにしていない」のか「したいができない」のか、ここでICFの考え方が必要になります。
受け入れ状況・利用者の特性
利用者数 41名 男女比 男9名 女32名 年齢はさまざま 平均?
そのうち要支援者は19名を占めている。
事業対象者 名 要支援 19名 介護度① 12 名 ② 2 名 ③ 4 名 ④ 2名 ⑤ 2 名
事業対象者は介護認定調査なしで、チェックリストのみでサービスを受けられる。
入善は全国的から比較すれば、まだ家族同居率が高いため、訪問介護サービスが必要になるのは高齢の一人暮らしが多い。そして、男女差なく一人暮らしの人は生活援助が多い。特に介護予防・日常生活支援総合事業訪問型の方の比率が高いパートナーは、主に調理や掃除などの「生活援助」が大半を占めている。24時間訪問介護事業者が存在しないので、もし、一人暮らしの人がおむつ交換などの身体介護が必要になると、即、施設入所か病院へ社会的入院になるケースになり在宅復帰は難しい。また、同居家族がいても、介護者が共働きであったりすれば、施設入所を望む方が多いので、入善町にある、どの訪問介護事業者もそれ程「身体介護」は多くないと思う。
生活援助というと、掃除、洗濯、買い物、料理など家事全般をさす。だから、主婦の仕事の延長のように思われることが多い。しかし、決まった時間内に介護計画にあるサービスを完了させなくてはならない。主婦経験があるのは有利だが、他人の家庭に入って家事をするには、利用者さんやり方に合わせて行わなくてはいけないので、だた家事がこなせればいいわけではないという難しさがあります。
身体介護とは主におむつ交換、入浴、清拭、トイレ誘導、食事介助などがある。やり方や注意すべき点は施設介護と変わらないが、訪問介護の場合、その方の家の事情(金銭面や生活歴)、家の構造、備品のある場所などそれぞれ違うので、その人、その家に合ったサービスマニュアルがそれぞれ必要になる。また、身体介護で訪問している家庭は、生活援助とは逆に家族の方がおられるケースがほとんどなので、介護の愚痴を聞いてあげたり、ちょっとしたコツをアドバイスしたりと家族とのコミュニケーションが必要になります。でも、アドバイスが先行すると煙たがられるので、まずは聞き上手にならなければいけない。
最近、在宅にも認知症の方が増えてきている。一人暮らしの認知症、老夫婦二人暮らしで介護者である夫が認知症、知的障害の息子が認知症の母親を介護するなどの問題が複雑なケースが多くなってきた。認知症の理解を深める研修、障碍者福祉、成年後見人制度などの研修などが必要になってきている。今回、訪問してもらうケースにも認知症夫婦の家庭で、ヘルパーが来ることでお金がかかることを嫌がる夫の目をかいくぐりながら訪問しているケースがある。私たちが訪問することで喜んでもらえるケースばかりではない。
罹患しやすい疾病 その他
・自分が風邪など持ち込まないで。高齢になると肺炎を起していても微熱しか出なかったりするので、風邪が命取りになる事もあります。
・食事介助のムセは、誤嚥性肺炎の原因になることがあるので、ムセがあった時は2,3日注意深く観察します。(隠さず記録しましょう)
・調理の援助が多いので食中毒に注意。1行為1手洗いを心がけて下さい。手に傷のあるときは、ばんそうこうをしていても手袋施行。
・脳梗塞の方の入浴やリハビリ介助があるので学習した基本に忠実に。
・自分の訪問する利用者さんの疾患を事前に調べておきましょう。調理のみのサービス内容であっても、病気によっては塩分制限、カロリー制限、透析を受けている人はカリウム制限の他に水分も1日の量を決められている人もいるので注意が必要。
・感染の危険のある皮膚疾患のお宅へ訪問する時もあります。感染予防のためガウンテクニックを覚えておきましょう。その場合は事前にヘルパーが重装備で訪問することを先に伝えておきます。
・訪問途中に容態が変わったり、訪問したら倒れていたり、という場面に出くわすこともあります。そんな時に慌てないように、緊急連絡のマニュアル、救急車を呼ぶ時の緊急方を用意してあります。それでも、何かあった時どうしよう!との、不安は払拭できません。パートナーでは、週1回「打ち合わせ」と言って、ヘルパー全員が集まる会議を開いていますが、訪問中にあった、ひやっとしたこと、はっとしたことを報告し合うヒヤリハットの発表する時間を設けています。他のヘルパーが体験したヒヤリハットを聞いて、自分ならどうしただろう?こうしたらよかったのでは?と振り返りの機会を持っています。
職員構成
女性ばかり10名。全員2級ヘルパー(内、6名が介護福祉士 高い保持率です!)
休憩
サービス開始までの流れ(別資料で説明)
介護保険利用まで
訪問介護利用まで
サービス責任者の役割
記録
訪問宅で記録してくる場合と、1週間に一度の打合せのときにまとめて書く場合とあります。ハンコはもらいません。これは事業所によって違います。
報告・連絡(引継ぎ)
1週間に一度の打合せ(毎週水 13:30~15:00)早急に必要な事は電話連絡する。
担当者同士のミニカンファを随時(担当のサービス責任者かヘルパーが呼びかけ)
介護計画(ケアマネが作成)と個別援助計画(訪問介護サービス責任者が作成)を見比べる
・訪問前に目的を頭に入れて訪問するようにしないと、あれもこれもと依頼されて家政婦扱いされてしまうことがあります。ケアマネのプランに則って、自立のための支援だと言うことを忘れないようにしましょう。
しかし、あれもこれもだめではなく、ヘルパーが援助することで、それが「生きる意欲」になるならケアマネとの相談をして対応する時もあります。「いったん事務所にもち帰り検討します」とお返事するか、その場でサ責に電話して指示を仰ぐようにします。電話は指示をもらうのが目的ではなく、サービスの追加や変更はヘルパーには勝手に決められないということをしっかり利用者さんに見せて、わかってもらうためです。
皆さんご存知だと思うが家族同居していると生活援助は原則受けられない。受けられる条件には、家族が身体障害者または病気であるか、その他、虐待など特別な事情がある場合のみ。でも、実際にはヘルパーの乱用「家政婦扱い」と思われるものもあるので、ケア計画を立てるケアマネの計画作成の責任が重大。でも、その自覚がなく、家族に言われるままになんでも引き受けてしまうケアマネもいる。本当にその方に必要なサービスであるかどうか検討し、訪問目標を決めてから訪問を開始するということが大切。なので、サービス責任者の契約時の「訪問介護とはこんなことができます。こんなことはできません。」という説明がとても後々の仕事に響いてきます。
他事業所との連携
ヘルパーは本人さんの一番近くにいるサービス事業者である。家族よりも信頼される存在になることも多々ある。だから、いろんな問題が見え過ぎるほど見える。担当者会議では本人の代弁者の役割もあるが、だからこそ家族や他のサービス事業者と板ばさみになって苦しい時も多い。「本人のために何がいいのか?」と真のニーズを理解していないとヘルパー自身が抱え込みすぎて立ち行かなくなることもある。例えば、本人が「知らない人ばかりのデイサービスなんか行きたくない。あんたに風呂に入れてもらいたい」とヘルパーだけに打ち明けてくれた時でも、デイサービスへ行く目的は体の清潔だけではなく、唯一の外出の場である場合もある。そんな時は嫌がっていることをサ責に伝え、「嫌」の原因を探ってもらい、本人の言葉のままのニーズある「デイサービスへ行かない」ことを実現することより、デイマンズである「デイサービスで気軽に話せる友人を持ちたい」という真実の希望・本当のニーズに近づくために、ヘルパーに何ができることを他業種と一緒に考える必要がある。
ヘルパーが一人で抱え込まないで、関わっているみんなと悩みを共有して、ヘルパーだけで解決できないことは、他のいろんな資源を利用する手があると柔軟な頭と気持ちを持って接するようにしたい。ヘルパー同士もケアマネも、他のサービス事業所も本人のためのひとつのチームであることを忘れずに。
具体的なケースをあげると
・訪問看護師
・医師
・デイサービススタッフ
・ケアマネージャー
研鑽
ヘルパーというと主婦の片手間のパート業と思われがち。確かに皆さんもいますぐにでも、訪問して決められたサービス内容をこなして来ることはすぐにでもできる。しかし、私たちのお客さまは「人」であり高齢や障害で生活が困難になっている方々なので、ちょっとした親切心ではできない。プロとしての仕事が求めてられている。
そのために、パートナーでは月1度の内部研修、そして県主催の外部研修にも積極的に参加してもらっている。もちろん全員がヘルパー2級の資格をもっているが、学ばなければならないことはまだまだある。介護の世界も日進月歩でケアの方法や福祉機器などは刻々と新しくなっている。「ホームヘルパーです」と自信を持って訪問するには、主婦経験だけでなく、それなりの知識がないと利用者さんや家族に信用してもらえないし、ヘルパー自身も胸を張って訪問できない。
また、月1回の内部研修では担当者を決め、資料の準備、当日の司会進行、まとめのレポートまでをしてもらっている。私は外部研修へ行った時に、「発言できるヘルパー」を目指してほしいと思っている。研修には必ずといっていいほどあるグループワークで、時間が過ぎるのを下を向いてじっと待つような事はないようにしてほしいと思っている。そのために、内部研修を担当して企画から司会進行、まとめのレポート提出までを経験しておくことは有効だと思う。
介護職の中でも、ホームヘルパーはまだまだ下に見られることが多い。若い施設職員でもあからさまにヘルパーを見下げた態度の人もいる。でも、ヘルパーは利用者の一番近くにいる介護職であることに誇りを持って「私は○○さんのホームヘルパーです」と言えるように、自分で自分を磨く努力をしてほしいと思います。
最後に
本来、介護保険は施設入所や社会的入院を減らし、在宅介護のためのものだったが思うようには進んでいないのが現実。しかし、最近の新聞でも報道されているように、2025年までに全国で療養型ベッドを20万床削減して、介護保険施設や在宅へ戻すとされています。今でも、施設が足りないとか介護職不足が言われているのに、とっても心配です。
でも、いろいろな産業の中で、福祉の分野の中でも「在宅介護」はまだ歴史が浅い。病院・施設の歴史はあっても、在宅介護はまだ挑戦していない分野です。頭から「できない」「無理〜」と言わないで、できるかどうかやってみればいい。
私たち介護事業者の役割は、「世間の人たちに上手に介護保険を利用すれば、在宅でも介護が可能であることをわかってもらう。」ことも大切な役割だと思っています。だから、1件1件実績を作り、成功事例を積み上げてモデルケースを沢山作っていくことが大切だと思っている。たとえ、在宅で誰にも看取られずになくなる方が増えようと、それが高齢者が在宅で暮らすということだということ、それが不幸なのか?病院で死ぬことが幸せなのかどうかもこれから大いに議論されればいいと思っています。
私たちパートナーの理念は
「わたしたちパートナーは普通の主婦が自発的に集まり、助け合い活動を始めました。人の親になったとき、自分が年をとったとき、障害を持ったとき、どんなサービスを受けたいが実行し研究するグループです。」