SPEC
重量 61.3t
最高速度200㎞
武装/装備
「モデル203試作砲撃ユニット」構成パーツ
203㎜試作ビームランチャー
増加装甲板
エルパES-10/G陸戦ゾイド用多モードレーダー
通信用モジュール
その他の装備
スモークディスチャージャー
エレクトロンバイトファング
ストライククロー
概要
ヘリック共和国の地方政党「人民戦線」の軍事部門「人民防衛隊:People's Defense Force」が所有する改造コマンドウルフ。
正式名称「RZ-009YC/M203 コマンドウルフ改良型モデル203」と言いマクサー社がコマンドウルフの改良型コンペに提案した機体。
軍による試験運用終了後マクサー社で保管されていた機体の内の1機を人民戦線が譲り受け、南イリューション市に駐屯する人民防衛隊第23大隊の大隊長インメルトルート・アンテスの乗機として配備されている。
モデル203試作砲撃ユニット
モデル203試作砲撃ユニット(以下M203ユニット)はヘリック共和国の兵器メーカー、マクサー社が軍のコマンドウルフ改良型開発コンペに提案したカスタムパーツである。
提案したコマンドウルフ改良型開発コンペでの軍の要求は、コマンドウルフの機動性を損なわない高火力砲撃機という物であった。
これは西方大陸戦争初戦での高速戦闘隊での戦訓を活かし、コマンドウルフに機動砲撃戦を行わせるというコンセプトを元になされた開発要求であった。
この開発要求に対するマクサー社の答えがM203ユニットで、機動砲撃機の要の火力には203㎜試作ビームランチャーを搭載、ビームランチャーを正確に命中させる為にエルパES-10/G陸戦ゾイド用多モードレーダーを装備。
さらにビームランチャーの粒子貯蔵用タンクや冷却剤タンクなどのバイタルパートを防護する増加装甲板を有し、これら装備をマルチウェポンラックを介してコマンドウルフ背部のハードポイントに搭載する。
構成パーツを1ユニットで収めたシンプルなカスタムパーツ、それがM203ユニットである。
では、ここからはM203ユニットを構成する各パーツを見ていこう。
203㎜試作ビームランチャー
M203ユニットの中核をなすパーツ。
マクサー社が中型ゾイドに大型ゾイド並みの火力を持たせる事をコンセプトに開発したビーム兵器で、レッドホーン級の帝国軍重装甲ゾイドの撃破を可能とする。
ビームランチャーの構成としては上部の大型タンクが射出用粒子貯蔵タンクで、砲身下に装備されている細長いタンクが砲身等の冷却する冷却剤貯蔵タンクである。
ビームランチャー機関部上には照準用の光学センサーが装備されている。
ビームランチャーのみをコマンドウルフを始めとするゾイドに搭載、運用する事も可能だ。
エルパES-10/G陸戦ゾイド用多モードレーダー及び通信モジュール
ビームランチャー用の照準用レーダーにはエルパ社の製品を採用している。
基本的には照準用に使用されるが捜索モードも備えており、限定的ながら対空モードも有している為ビームランチャーでの対空射撃も可能としている。
レーダーとビームランチャーの間に存在するのが通信モジュールである。
M203ユニット開発時にテレメトリーデータ送信用に装備されいたが、現在は部隊間通信や双方向データリンク接続の為に使用されている。
通信モジュール
増加装甲板
M203ユニットの主要構成パーツを待る為の装甲板。
最下部の装甲板は可動し、スタビライザーを兼ねている。
その防護力は限定的でマクサー社としてM203ユニットが採用された際は、形状を見直した装甲板に変更する事になっていた。
マルチウェポンラック
M203ユニットは大掛かりな追加推進装置を装備していない。
これはM203ユニット自体が比較的軽量である為、大掛かりな推進装置を装備せずとも機動性の維持が可能であるとの判断が成された為だ。
マクサー社としては被弾時の誘爆の可能性とトレードオフしても推進装置を追加装備させるより、ある程度の速度低下は許容すべき。という考えだった様だ。
それでも緊急離脱時等の使用を考慮して、各パーツを繋ぐマルチウェポンラック上に小さな増速用ブースターが装備されている。
モデル203試作砲撃ユニット(RZ-009YC/M203 コマンドウルフ改良型モデル203)の総評
結果としてM203ユニットは軍のコンペに敗れ、パノーバ社のXCP-444がアタックユニットとして採用された。
結局M203ユニットはパノーバ社のXCP-444より完成度が低く、M203ユニットが採用されたとしても配備までに改良する点が多く、迅速な実戦配備の妨げになると軍当局は考えたようだ。
また幾らM203ユニットが比較的軽量とは言え、増加した重量を補う大型推進装置が装備されていないのも軍当局の採用にマイナスに働いた。
マクサー社は申し訳程度の小型緊急離脱ブースター1基で良いとしたが、軍当局ひいては軍の高速戦闘隊閥は少しの最高速度低下も許容出来なかったのだ。
それだけでは無くM203ユニット装備のコマンドウルフ(RZ-009YC/M203)は巡航速度も低下しており、新型機で巡航速度も上であるブレードライガーと部隊を組む事が求められる改良型コマンドウルフには些か適さなかった。
こうした様々な欠点を抱えたM203ユニットは、装備機のコマンドウルフ改良型モデル203と共にマクサー社西部の倉庫で死蔵されていたのだが・・・。
人民防衛隊での活躍
ZAC2101年4月、マクサー社が保管していた5機のRZ-009YC/M203 コマンドウルフ改良型モデル203を予備部品と共に人民防衛隊へ譲渡する事が決まった。
その5機の内の1機が本機「レッヒャー」である。
個体名「レッヒャー」は人民防衛隊のトップであり、旧ゼネバス帝国大佐リーンハルト・シュナイダーにより命名され第23大隊大隊長で、同じく旧ゼネバス帝国中尉インメルトルート・アンテスの下に送られた。
「レッヒャー」即ち復讐者と名付けられたコマンドウルフを与えられたアンテスは最初「何を今更・・・。」とかなり辟易したという。
ZAC2101年12月南イリューション市での戦闘の様子。
同戦闘では鎮圧に派遣された共和国軍第6海兵師団のゾイドを相手に「レッヒャー」は激戦を繰り広げた
ゼネバス事変(鉄竜騎兵団侵攻)での市警察部隊との戦闘
ZAC2101年12月某日、ネオゼネバス帝国を名乗り鉄竜騎兵団(アイゼンドラグーン)が中央大陸デルポイへと侵攻を開始すると人民防衛隊の親組織「人民戦線」は他のゼネバス系結社と連名でネオゼネバス帝国への支持と協力を宣言。
ヘリック共和国に対して蜂起を宣言した。
南イリューション市に駐屯するアンテス率いる人民防衛隊第23大隊にも蜂起の命が下った。
元々、旧ゼネバス帝国中尉でZAC2051年の敗戦後もゼネバス系テロリストとして共和国に対する抵抗運動をしていた過去もある古兵アンテスはこの命令に歓喜し、直ちに実行に移した。
大隊の隊員(共和国軍指揮下の民兵)も組織の命令とネオゼネバス帝国への恭順を支持、南イリューション市内の重要施設の占拠等に向け動いた。
「レッヒャー」の塗装も蜂起に合わせて塗り替えられた。
共和国軍旗下を示す稲妻の国籍表記は白のペンキで塗り潰され、上からゼネバスの紋章を描かれた
また、大隊の整備スタッフの手により「Zenebasn Alive!!」の一文が書き込まれた。
「レッヒャー」は今まさにその個体名が示す通り、ゼネバスの者の手により共和国への復讐者になろうとしていた…。
南イリューション市を眼下に収めるクレイト高地に布陣する「レッヒャー」
12月の小雪が舞う南イリューション市で人民防衛隊第23大隊は蜂起を開始した。
幸いアンテス達の蜂起に同調した市民の協力もあり、重要施設の占拠は次々に成功。
唯一、南イリューション市警察が抵抗してきた。
市警側は警察用ゾイドを装備する第911機甲警ら中隊やSWATを動員し、市庁舎周辺に立て籠もった。
これに対して第23大隊は市内を眼下に収める事が出来る丘「クレイト高地」を確保し、そこから「レッヒャー」が布陣し203㎜試作ビームランチャーによる長距離砲撃戦を開始したのだ。
今まさに南イリューション市警所属機に向けて長距離砲撃戦を行おうとしてる所を収めたカット。
この砲撃に市警部隊は無力だった・・・。
精々、小火器しか装備していない警察用小型ゾイドは一方的に撃破され、その様子は虐殺じみていた。(実際この時、第23大隊隊員による戦争犯罪が確認されている)
ともかく、「レッヒャー」の活躍により市庁舎攻略戦はものの三時間で終結し、ここに南イリューション市の解放は成った。
共和国海兵隊との戦闘
その後、第23大隊には鉄竜騎兵団部隊到着までの南イリューション市を確保し続ける任務が「人民戦線」党本部から与えられた。
これに共和国正規軍が手をこまねく訳もなく、すぐさま精兵たる第6海兵師団を鎮圧に派遣した。
共和国軍としても鉄竜騎兵団部隊が到着して守りが固くなる前に、南イリューション市を奪還したかったのだ。
こうして第23大隊の南イリューション市解放の翌日、第6海兵師団第102海兵高速偵察大隊の先遣隊1個分隊がクレスト高地から4㎞の地点まで進出した。
クレスト高地を偵察する共和国海兵隊のコマンドウルフ
第23大隊と共和国海兵隊の戦端が開かれようとしていた
第6海兵師団は面倒な市街戦を取り敢えず避け、まず第23大隊ゾイド部隊が展開するクレスト高地の制圧を優先。
共和国海兵隊所属のコマンドウルフの弾着観測の下、クレスト高地に砲兵部隊による砲撃を開始した。
この砲兵戦に於いて「レッヒャー」は無力だった。
10㎞以上先から曲射してくる共和国海兵隊砲兵部隊に対し、「レッヒャー」の装備する203㎜試作ビームランチャーは強力だがビーム兵器故に直射しか出来ず、共和国海兵隊への対砲兵射撃は不可能だった・・・。
そしてこの砲撃を何とか耐え抜いた「レッヒャー」は、砲撃後に突撃してくる共和国海兵隊ゾイド部隊に対して203㎜試作ビームランチャーによる中距離機動砲撃戦を展開。
一射ごとに陣地転換を行い、時には高速機動中にビーム放ち、迫りくる共和国海兵隊ゾイド撃破していった。
格闘戦を挑んきた共和国海兵隊のコマンドウルフを叩きのめし、別の敵機に向けて砲撃を行う「レッヒャー」
マクサー社開発チームが望んだ戦いを、そして戦果を「レッヒャー」は共和国軍に対して挙げたのだ。
このクレスト高地攻防戦で「レッヒャー」は共和国海兵隊ゾイドを19機を撃破。
最後は格闘戦を挑んきた共和国海兵隊コマンドウルフに203㎜試作ビームランチャーを捥ぎ取られるも、残ったM203ユニットをパージして格闘戦で19機目撃破したところで、共和国海兵隊の集中砲火を浴び撃破された・・・。
クレスト高地攻防戦は最後には「レッヒャー」を含む第23大隊ゾイド部隊と共和国海兵隊ゾイド部隊による乱戦の様相を呈した。
乱戦の中、共和国海兵隊のコマンドウルフ マリーネが「レッヒャー」に格闘戦を挑み、から203㎜試作ビームランチャーを捥ぎ取った!
203㎜試作ビームランチャーを失った「レッヒャー」
今まさに残ったM203ユニット基部をパージしようとしている。
こうして「レッヒャー」の戦闘は幕を下ろした。
なお、第23大隊大隊長でもあり「レッヒャー」を駆っていたインメルトルート・アンテスは脱出に成功。
その後は大隊の指揮に専念し、クレスト高地を共和国海兵隊に奪還されるも、鉄竜騎兵団部隊到着まで南イリューション市街を確保し続ける事に成功している。
ZAC2102年にネオゼネバス帝国体制が設立すると、激戦が発生したクレスト高地には「レッヒャー」とアンテスの模した記念碑と銅像が建てられた。
第23大隊が所属する「人民防衛隊」の母体。
共和国西部で活動するゼネバス系民族主義政党で、地方議会には議席も有する。
南イリューション市は「旧イリューション市」が大異変で地形的に北西部と南東部に分断され、南東部が南イリューション市として行政的に分離した自治体である。
今年始めに完成したゾイドで、タカラトミーの新シリーズ「リアライズモデル」第三弾のコマンドウルフを改造した物です。
前から自分の中で構想していた、親ゼネバス派のミリシア(民兵)が鉄竜騎兵団侵攻時に共和国軍から離反して、共和国軍旗を塗り潰してゼネバスマークを描くという塗装がやってみたく作りました。
有体に言えばゼネバス残党です(笑)
なのでAOZのジオン残党の機体「ゲルググシュトゥッツァー」のカラーリングを参考にしました。
Zenebas Alive!!とかもZeon Alive!!を真似させて書きました。
今思えばもっと大きく書けば良かったかな?