固定装備
エルパ ER-88(vz)多モードレーダー
ホサセ HS-X ソナーアレイ
AAMAD(F) 対空磁気探知機(前方用)
AAMAD(R) 対空磁気探知機(後方用)
EQM(IR)-1NZ 指向性赤外線妨害装置×2
EQM(R)-54NZレーダー警報受信機
チャフ/フレアディスペンサー
空中給油プローブ
ウォータージェット推進機×2
搭載兵装(一例)
NZ/AAM(IR)-1 前方赤外線監視装置
大型空対地ミサイル×2
短距離空対空ミサイル×2
解説
概要
ZAC2101年に中央大陸に凱旋を果たしたネオゼネバス帝国は鉄竜騎兵団航空部隊にEZ-032シンカーを少数配備していた。
この少数配備されていたシンカーはZAC2101年以降も再編されたネオゼネバス帝国海軍航空部隊で専ら飛行ゾイドとして引き続き運用されていたが、各種部品がガイロス規格であり中央大陸での保守整備に問題があり、稼働率も低下しつつあった。
この問題を解決すべく各種部品を中央大陸で調達出来る物に変更し、各種センサーや自己防御装置をアップデート、生存性向上の為の改造を施したのが本機EZ-032AS アドヴァンスドシンカーである。
改良点
コックピット横のレーダーとソナーが中央大陸の防衛企業エルパ社とホサセ社の製品に置き換わっている。
置き換えにあたってコックピット横の突出部の形状が変更された他、ホサセHS-Xソナーアレイの側面には可動式の対空磁気探知機AAMAD(F)が追加装備された。
AAMADは飛行ゾイドがマグネッサーシステムを利用して飛ぶ際の磁気の乱れを感知するパッシブセンサーである。
尾部には飛行時の安定性を増す為や機動性向上の為に垂直尾翼が追加されており、その垂直尾翼にはレーダー警報受信機EQM(R)-54NZが装備されている。
さらに垂直尾翼天頂部や尾部後方には赤外線誘導方式ミサイルのシーカー(誘導部)を妨害するEQM(IR)-1NZ 指向性赤外線妨害装置が装備され、アドヴァンスドシンカーの自己防御性向上に貢献している。
また、尾部先端にはAAMAD(R) 対空磁気探知機(後方用)が装備され、機首のAAMAD(F)と合わせて機体全周をカバーしている。
他には機体各部のサーボモーターが中央大陸での入手が容易な共和国製の物に変更されており、目立たない機体内装部品もかなりの部分が中央大陸で手に入るものに変更されている。
上記の様にアドヴァンスドシンカーは整備性向上の為の各種部品の変更以外の目立った改造点はセンサー性能向上と自己防御機材の搭載に重きが置かれている。
勿論これらセンサー等の変更と搭載は整備性と稼働率の向上が第一目的ではあるが、エルパ社とホサセ社のセンサーは機体形状を変更してまで従来型より大型で高性能な物に変更されているし、自己防御機材の搭載からは生存性向上に力を入れている事が伺える。
これらは少数のゼネバス人で構成せざるを得ない、つまり兵士一人の命が重いネオゼネバス帝国軍の現状を反映しパイロットの生存確率を上げる為の措置である。
その他には作戦行動範囲延長の為、機首部に空中給油プローブが増備された。
空中給油プローブには二本の配管が通っていて、ロケットブースター用の液体燃料とゾイドコア用の高濃度金属イオン水が機体に供給される。
主翼付け根上部に搭載されるドロップタンクにも通常、上記の二種類の液体が充填されている。
武装
武装類に変化は殆ど見られず、唯一の固定武装ARZ加速ビーム砲も構成部品を変更しつつ引き続き使用されている。
変化が見られたのは搭載兵装で、ネオゼネバス帝国海軍では基地航空隊での飛行ゾイドとしての運用が主だったことからホーミング魚雷ではなく、主にミサイルや誘導爆弾を主翼下のハードポイントに懸架するようになっていた。
例えば写真のアドヴァンスドシンカーはZAC2106年に行われた第二次デルポイ航空戦こと「風王作戦」時クーパー港を空襲した海軍第4航空団第42海軍攻撃飛行隊の機体で、この時は夜が明けきらぬ時間帯の作戦であった為、航法用のNZ/AAM(IR)-1 前方赤外線監視装置と兵装は大型空対地ミサイル2発と自衛用の短距離空対空ミサイル2発を装備していた。
運用
何度も述べた通りアドヴァンスドシンカーはネオゼネバス帝国海軍では主に飛行ゾイドとして運用されていた。
具体的な運用方法としては海軍の基地航空隊として、共和国残党軍支配地への対地攻撃に使用された他、西方大陸から中央大陸の残党軍支配の港へ支援物資を運んでくる共和国海軍指揮下の艦船並びに海洋ゾイドへの対艦攻撃である。
また、ZAC2104年に行われた共和国軍の海上要塞スターフィッシュへの一連の攻撃にも投入されている。
この時はマリンカイザー級に艦載され、空母航空団の一翼として投入された。
しかし、この様な艦載航空ゾイドとしての運用は例外的な措置であった。
ZAC2106年に共和国残党軍を放逐し中央大陸を完全制圧すると、帝国軍再編計画によりアドヴァンスドシンカーは全機退役しモスボール保管された。
その後、翌年の共和国軍再上陸によって一部の機体が現役復帰したものの、ZAC2109年の休戦協定締結を機に再びモスボール保管に移された。
ZAC2113年現在、既存のアドヴァンスドシンカーの第三国への輸出に向け複数の国と帝国政府は交渉中である。
配備
ZAC2102年末、アドヴァンスドシンカーの部隊配備が開始され、翌年ZAC2103年5月には最初に配備を受けた第41海軍攻撃飛行隊がアドヴァンスドシンカーでの作戦行動を行い、ZAC2103年8月には全てのシンカーがアドヴァンスドシンカーに改造され部隊配備された。
帝国海軍は同年同月にEZ-032AS アドヴァンスドシンカーの完全作戦能力獲得を宣言した。
アドヴァンスドシンカーは一部の機体を除き、ネオゼネバス帝国海軍第4航空団に集中配備された。
配備を受けたのは海軍第4航空団第41、42,43海軍攻撃飛行隊である。
アドヴァンスドシンカーのパイロットはシンカーの扱いに習熟した暗黒大陸帰還組のゼネバス人パイロットが務める事が多かったが、一部は共和国から離脱したゼネバス人パイロットも存在した。
他にもZAC2103年から育成が始まった元ガイロス帝国軍でも元ヘリック共和国軍でもない、新規採用のパイロットがZAC2105年からアドヴァンスドシンカーの操縦桿を握っている。
写真の機体(機番白425)のアドヴァンスドシンカーの垂直尾翼に塗装された第42海軍攻撃飛行隊のスコードロンマークと、パイロットであるレオン・ゲルバー大尉のパーソナルマーク
戦果と実情
アドヴァンスドシンカー用いた航空攻撃作戦で最も多かったのが、共和国残党軍が支配するクーパー港など港湾への攻撃である。
特にZAC2106年に行われた第二次デルポイ航空戦こと、「風王作戦」ではクーパー港沖に停泊する共和国海軍の汎用フリゲート「レイク・グレイ」への対艦攻撃に参加している。
「レイク・グレイ」は海洋ゾイド母艦も兼ねた共和国海軍の主力艦マウント・アーサー級の8番艦で、搭載対空兵装を用いて共和国残党軍が支配する中央デルポイ州南東部の防空を担っていた。
「風王作戦」で共和国残党軍の航空戦力の殲滅を目指すネオゼネバス帝国軍は当然「レイク・グレイ」をターゲットにしており、その攻撃に投入されたのがアドヴァンスドシンカーを配備する海軍第4航空団だった。
この作戦でアドヴァンスドシンカー有する海軍第4航空団は「レイク・グレイ」を撃沈した他、要撃に上がってきた共和国海兵航空部隊所属のナイトワイズを第42海軍攻撃飛行隊所属のレオン・ゲルバー大尉機が自衛用の短距離AAMで2機撃墜する戦果を挙げている。
アドヴァンスドシンカーは中央大陸でも運用が可能なよう改修され、合わせて生存性向上の改造を受けた。
一部ではこうして少なくない資金を投じてまでシンカーの運用を続ける必要があったかどうか疑問を呈する声もあったのは確かだ。
事実、キメラブロックス「フライシザース」の正式採用が決定したZAC2106年初頭、帝国海軍司令部はアドヴァンスドシンカーを退役させ、その後継としてBZ-005Nフライシザース海軍仕様の開発とその採用を決定した。
これは共和国残党軍の掃討作戦の行方とは関係なく決定され、その後の共和国残党軍の中央大陸撤退により加速した。
しかし、アドヴァンスドシンカーはその就役からフライシザースの実用化までの3年間、帝国海軍独自の航空打撃戦力として帝国海軍の海洋作戦を担ったのは間違いなかった。
この3年間は帝国海軍が海洋航空作戦を実施するのに必要な大きなペイロードと長い航続距離を持つ飛行ゾイドはアドヴァンスドシンカーの他には無く、唯一の対抗馬であるEZ-005レドラーは帝国空軍が少数配備するに留まっている。
このことを考えるとやはり予算をかけシンカーをアドヴァンスドシンカーへ改造して運用を続けた事は正しかったと言えよう。
風王作戦で第二次攻撃の為、セシリア海軍航空基地より編隊を組み出撃する2機のアドヴァンスドシンカー。
垂直尾翼のマークから第42海軍攻撃飛行隊所属と推定される。
同飛行隊は風王作戦で1日で4ソーティの攻撃任務を遂行している。
作品解説
去年製作したシンカーの改造ゾイドです。
トミー製なので主翼の裏など肉抜き穴だらけで、そこをパテなどで塞ぐことから始めて。
後ハメ加工やディテールアップ中心に行いました。
今回自分の飛行ゾイド製作では恒例のスコードロンマークとパイロットのパーソナルマークがちょっと適当になってしまったのが反省点ですが、それ以外は結果的には上手く出来たと思っています。