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妹尾流BLUESの楽しみ方(試案)となっていました。 が、公開します。
2018_8_30 妹尾菊江
20歳の頃からブルース・ハープに嵌り、すぐに黒人のブルースを知ってから僕はハーモニカだけではなく、黒人の「ぶるーず」に心を奪われて既に50年近くになった今も尚ますます興味が尽きないでいる。
不思議な魔力をもって僕を揺さぶるこのブルースを知ってしまうと高校から始めて、大学に進んでもバンドのレパートリーに取り入れたいと思うのは当然だったが、如何んせんさっぱりそれらしくならないでいた。自分でもはっきりと自覚できる程、モノにならなかった。
何しろ彼らのビートの取り方がそれまで僕らの知っていたカッコいいロックから見てどうにも何やらズレて聴こえるので自分が下手になってしまいそうに思えて、もっと上手く演奏しようとすればする程バンドメンバー同士のリズムもテンポもちぐはぐで、メンバーの間で「へたくそ!」の罵り合いになるほどだ。(これは後にアフタービートと呼ばれる黒人特有のビート感覚である事と知って皆んなで研究し合い、やっとメンバー間のビート感を共有出来るようになったが、かなり時間も掛かりシンドイ事だった。)
それにも増してもっと厄介なのは、歌詞が英語であるのは判るとしても、その歌っている本人の殆どが口をモゴつかせていてなんと言ってるのかはっきりしない上に、なんとか発音だけは聞き取れても、英語で何といっているのか? またその単語はどういう意味なのか? 主語+動詞+副詞・形容詞という文脈でどう解釈していいのか? この曲は一体どういう事を歌にしているのか? これがサッパリ理解不能であった。日本に初めて黒人のブルースレコードが日本のビクターレコードから発売されて(チェスのビンテージ・シリーズ)初めて詳しい解説書と英語の歌詞がついていたので、驚喜したのも束の間、その歌詞カードの一部は明らかに歌手の言葉通りでもなく、また「この部分聞き取り不能の文字が…」
その当時、僕は輸入レコードやさんを小まめに歩いて売れ残りのバーゲンを漁っていて黒人のブルース・レコードをてに入れて来たので歌詞カードなども無く、増して当時インターネットで歌詞検索など(今でも時々検索した歌詞が間違っている事もかなり…)ありえないから、仕様がなく何度もレコード盤に針を落して聴こえてくる発音を一先ず「カタカナ」でノートに書き留め、「一体何と言っているのか?」とパズルを解き明かす努力の毎日であった。
これも後ほど判明するが、僕たちの大好きなブルースのなかの黒人英語は「ブロークン・イングリッシュ」が多く、その上個人しか使わない「単語」「隠語」「宗教や悪魔に関する卑語」「魔術」など日本人の大学生程度の英語力では到底理解不能な「日常会話」そのままな内容なので、文章にならない! だから余計に ワ?カ?ラ?ナ?イ?
ッテ事は、彼らは自分たち独特のシャベリ言葉で歌っている、同じ黒人同士に通じればそれでいい、って感じ。 それだけに聴き手に媚びていず、思った事を素直に口にして語る…
きっとそこが、僕にグッときたんだなぁ~~~と今になって想う。 さあ、そこで、今僕がブルースを50年近くもの間飽きずにやって来て尚、楽しくて仕方ない、その訳は…
『BLUES は オ モ シ ロ イ』 どこが?
『歌詞がぁ』 例えば?
[ Oh Baby, You Don’t Have To Go ] by Jimmy Reed
[I’m Your Hoochie Coochie Man ] by Muddy Waters
[ Chicago Bound ] by Jimmy Rojers