~「花を散らして乱れ斬り 夕陽を浴びる 夕陽を浴びる」(勝新太郎)~
カツシン富澤久々登場で縦横無尽の大活躍さらに、サード村上もハッスルプレー連発するも、接戦を押し切られ惜敗!
東京オリンピックまで50日を切り世の中が騒然とする中、エンジョイカップまで3試合となったビッグアプセットは、最高気温28度の下灼熱の新荒川大橋グランドに11人が集結し三光クラブとの試合に臨む。この日は新婚のカツシン富澤が昨年2月、コロナ前の小豆沢公園以来1年4か月ぶりに元気な姿で登場、試合前からナインの士気も大いに上がった状態で試合開始。
その富澤がプレイボール直後に度肝を抜くプレーをみせてくれた。1回表の三光クラブの攻撃、この日先発の石井大和はワンアウト後2番・3番を連続フォアボールで出しワイルドピッチでワンアウト2・3塁のピンチ、ここで相手4番の打球はセカンド後方のフライ、前進守備の田辺が反転して必死に追うが、河川敷特有の強い風にあおられセンター前ヒットとなり先取点を与える。さらにワンアウト1・3塁とピンチは続くが、ここで相手5番は石井大和のストレートをジャストミート、左中間へ快心のライナーを放つ、グランドにいた誰もがスリーランホームランか!と思ったその瞬間信じられないことが起こる。ふと左中間に目をやるとそこにはいるはずのないカツシン富澤の姿、なんと超快足を飛ばしてこの打球に余裕で追いつきナイスキャッチ、100%抜けたと確信していたファーストランナーはもはやサード手前、これをファーストで楽々刺して一気にチェンジ、初回表から出た目にもとまらぬ超スーパープレーにベンチは最高潮に盛り上がる。
(その場でも議論になりましたが、このプレーは野球ルールの盲点と言われる重要なポイントを示していました。この戦評の最後に解説します↓)
これで息を吹き返したビッグアプセット、その裏の攻撃先頭はその富澤、相手先発の速球を振り抜くと快心のセンター返しのライナーがセンター頭上を超え、富澤は快足を飛ばして3塁へ、いきなりノーアウト3塁のチャンスだ。ここでワンアウトから山下のショートゴロが相手のエラーを誘い富澤が還って同点、つづく芝田は技ありの流し打ちでライト前へはじき返し1・3塁、ここで5番櫻町がレフトへ犠牲フライを打ち上げ山下が生還しこれで逆転!あっさり試合をひっくり返した。
富澤の超スーパープレーと速攻逆転で試合の流れをつかんだかにみえたビッグアプセットだったが、試合はここから膠着状態に入る。
石井大和は2回以降エンジン全開、2回から5回までの4イニングを1安打3三振でシャットアウト、相手ベンチからも「このピッチャーは打てない」と声があがるナイスピッチング。守備でも3回ワンアウト1塁から1・2塁間のゴロにファーストカバーでセーフになるも、飛び出したセカンドランナーを2塁で刺すなど自らを助ける好プレー、試合の流れを渡さない。
一方のビッグアプセット打線も2回以降、次々と繰り出してくる相手3投手に沈黙、3回には大河原がベンチからの厳しく細かい指示を悠然と受け流しフォアボールを選び、これをきっかけにワンアウト満塁のチャンスを迎えるが、ここは残念ながら山下がセカンドゴロダブルプレーに倒れチェンジ。4回にも2つのエラーでツーアウト1・2塁と攻めるが、ここでももう一本が出ない。
ビッグアプセット1点リードのまま膠着状態で迎えた6回表の三光クラブの攻撃、石井大和は先頭1番をフォアボールで出すと続く2番にレフト前に打たれ1・2塁、そのあとツーアウトまでこぎつけるが相手5番に三遊間に打たれる、この日サードに入った村上が渾身のダイビングを見せるが、ボールはそのグラブの下5センチを無情にも抜けレフト前タイムリーとなり2点をとられついに逆転される。
すると続く7回表の守備、先頭のショート後方のフライが再び風にあおられエラーとなると続く打者にデットボール、1・2塁となったところで続く打者をショートゴロに打ち取るが、ここでショート西村のグローブが透明に!5月の大宮健保で現れた透明グローブがここで再び出現しボールは何事もなかったかのようにセンター前へ、カツシン富澤が猛ダッシュして本塁へレーザービーム、これでセカンドランナーを刺殺!透明グローブを富澤がカバーしピンチを切り抜けたかに見えたが、一度傾いた流れは変わらず、続く打者のサードゴロがフィルダースチョイスとなり1点、さらにキャッチャー石井から3塁への悪送球、石井大和の牽制悪送球などで失点を重ねこの回3点、そのままビッグアプセット打線の反撃もなく2-7の敗戦となった。
しかしこの試合を締めたのは久々登場の富澤だ。初回の守備は誰もが目を疑った超スーパープレー、櫻町監督もお手本にした鋭いバッティングはカツシンの乱れ斬りを彷彿とさせる抜群の切れ味だ、またセンターからの数々のレーザービームでも相手ベンチを刮目させた。
またこの日もう一人輝いたのはサードに入った村上だ。櫻町監督が熟慮に熟慮を重ねこの日ひいた布陣は芝田・田辺・村上・西村の平均年齢56.75歳の高齢内野陣だったが、サード村上はナイスプレーを連発、特に三遊間の緩いゴロを素早く拾い上げた後の流れるようなランニングスローは、50年前幼い日のビッグアプセットナインがテレビで釘づけになり盛んに真似をしたミスタージャイアンツ長嶋茂雄そのものだ。また三遊間の鋭い打球にも再三のダイビングを見せるガッツをみせチームを鼓舞した。
課題は結局初回の富澤、芝田の2安打だけに終わってしまった打線だ。スイング力を上げるだけでなく、いくつかあったチャンスを得点に結びつける戦略的な攻撃も大会に向けての課題だ。
とはいえ本格的な夏を迎え、激戦を終えたビッグアプセットナインの目線は未来に向かっている。たっぷりと汗をかき、水道の水を頭からかぶり、爽やかな気持ちで西に傾いた美しい夕陽を浴びながら、来週からの試合と緊急事態宣言の行方に想いをはせつつ、荒川土手をそぞろ歩くビッグアプセットナインであった。
<以下、初回守りでのダブルプレーについて>
(事実関係)
ワンアウト1・3塁で左中間へのライナー、これを富澤が好捕しツーアウト、ファーストランナーが飛び出しており、悠々とファーストに返球し芝田がベースタッチしてファーストランナーアウトでスリーアウトチェンジ。
この時サードランナーは(おそらく)タッチアップし、ファーストランナーがアウトになる前にホームインしていた。ここで石井は審判に対し「ファーストアウトになったから今のホームインはなし、2点目は入っていませんよね」と確認し、審判は「その通り」と答えたためこの回2点目は記録されず1点に終わった。
(ルール解説)
まず「得点」(公認野球規則4.09)
ランナーは「スリーアウト目がとられる前にホームインすれば得点となる」。ただし例外は2つあり、スリーアウト目が「フォースアウトの場合」か「打者走者が1塁到達前にアウトになった場合」。
次に「フォースアウト」(同7.08)
フォースアウトとは、走者が進塁義務があるときに、進塁先のベースにタッチするか走者にタッチする場合。
次に「アピールアウト」(同7.10)
走者がフライ・ライナー等のとき必要なベースタッチ(タッチアップ)をしていない場合、守備はボールを持ちその走者が戻るべき塁にタッチしてアピール、タッチアップが認められない場合はアウトとなる。
最後に「第3アウトの置き換え」(同7.10)
スリーアウトを取ったあと、アピールプレーによって4つ目のアウトを認められた場合、スリーアウト目を4つ目のアウトに置き換えることができる。
(まとめ)
この日初回守備のケースでは、飛び出したファーストランナーに対し一塁送球・ベースタッチでアウトにしたのはフォースプレーではなくアピールプレー。よってそのままでは、ファーストランナーアウトより早くホームインしたサードランナーのホームインが認められてしまう。
これを防ぐためには、サードランナーがタッチアップを正確にしていなかったことをアピールするため、サードにボールを投げベースタッチし、それがアウトと認められればそのアウトをファーストランナーアウトと置き換えることで得点を無効にすべきところであった。
証言によるとサードランナーは飛び出さずにタッチアップしていたため、アピールしてもアウト(つまりタッチアップが早かった)と認められたかは微妙なところだ。実際には石井が「いまのは得点入ってないですね」と口頭で確認し審判がそれを認めたため、ルールでは規定していない異例のアピールプレーが成立したものと解釈できる。本来であれば審判はそこで無言を貫くところで、ビッグアプセットナインがベンチに戻ったところで2点目を宣言できたかもしれない。
これは「ドカベンルール」とも呼ばれる一部では知られたルールの盲点、実際のケースでは2012年夏の甲子園での済々黌・鳴門高校戦のケースが有名(下記リンク参照↓)
このケースでは今回の試合と違いサードランナーが飛び出しており、アピールすれば確実に得点を防げたのに鳴門高校はベンチに戻ってしまった。一方、済々黌はこのルールを事前に知っていて、三塁ランナーはライナーをとられても戻ろうとせずにホームに突入した、アッパレな事例でした。
https://www.youtube.com/watch?v=_GRF7-XpI7Y
~監督談話~
富澤翔太くんの初回の左中間ど真ん中のライナーを激走ナイスキャッチには両チームとも度肝を抜かれたスーパープレー!打撃でも俊足を飛ばしスリーベースで先制点につなげ、走好守ともに大活躍でした!
また村上のサード守備はダッシュアンドスローが絵になる軽快な守備でスローイングも正確。期待の大物サード登場の嬉しいニュースになりました!
石井大和くんも終盤までナイスピッチングを続けたものの、この日はチームのヒット数が初回のみで富澤、芝田の2本のみ。
石井さん、藪下くんの大飛球を好捕された場面もありましたが、次は猛打爆発と行きましょう!
来週6月19日(土)は10時から大田区ガス橋緑地でClubTMと初対戦です。
出席表明をお願いします!
なお、7月3日(土)から7月の毎週土曜日はエンジョイカップ参加が決定していますので、みなさん予定してください!!!
では来週!
みんな、よろしく!