~「人生最高の夜ふかし」(仙台育英・須江監督)~
真夏のナイター、チャンスをモノにする攻撃と鉄壁の守備、そして末永のあっぱれピッチングで快勝!!
2週間のオールスターブレークを経て3週間ぶりにグランドに集結したビッグアプセット、この日は2025年夏の甲子園決勝、沖縄尚学が日大三高を破り歓喜の初優勝に輝いた日でもあった。いつになく熱戦つづきの甲子園が終わってしまい甲子園ロスの気持ちを抱えつつも、一方でビッグアプセットの2025年シーズン後半戦がスタートだ。ビッグアプセットナインは甲子園の感動を胸に新たな気持ちで城北中央公園に集結だ。
今シーズンの方針で夏の間は17時スタート、この日も最高気温36度の熱中症警戒アラートつづきの毎日だが、日が西に傾く17時には長い木々の影がグランドを覆いはじめ、時おり吹きつける風にも助けられ久しぶりの野球に気持ちを高ぶらせて初対戦のコニカミノルタオーシャンズとの試合がプレーボール。
後攻のビッグアプセットは2回裏、この回先頭のほぼ1カ月ぶり復帰の櫻町がセンター前に弾き返し、つづく橋本の内野ゴロでランナーが入れ替わる、つづくただいま二冠王・西村がフォアボールを選び1・2塁とすると、つづく鈴木秀紀のセカンドゴロを相手セカンドがファンブル、この間に橋本が一気に三塁を回りホームイン!相手の隙をつく橋本の好走塁でビッグアプセット先制だ!
しかし好打者を揃えるコニカミノルタオーシャンズは3回表、ツーアウトからレフト線ツーベースとライト前タイムリーで1-1の同点、するとその裏ビッグアプセットは先頭村上がフォアボールで出ると1番黒田が火の出るようなライナーでレフト頭上を破る、誰もが1点追加だ、と思いサードコーチャー田辺も腕を回すが、相手レフト・ショートの驚くべき強肩で村上はホーム寸前でタッチアウト、それでも3塁に黒田を残し2番丸野がライト前に弾き返すタイムリーで再び2-1とリードだ!
しかしあけた4回表、コニカミノルタオーシャンズは2本にヒットで1点を加え、再び2-2の同点、両チーム好守備としぶとい打撃で1点を取り合う攻防、まさに今年の甲子園、仙台育英対沖縄尚学、あるいは県立岐阜商業対横浜を彷彿とさせるしびれる接戦の様相を呈しはじめる。
2-2の膠着状態がつづき試合は速いテンポで5回裏ビッグアプセットの攻撃、先頭西村が相手エラーで出ると、ツーアウトから村上が再び粘ってフォアボール、3塁に進んでいた西村がここで相手バッテリーのわずかなミス、パスボールの隙をついてホームを落とし入れ、ついにビッグアプセットは3-2とリードを奪う!
真夏のナイター、日はどっぷりと暮れカクテル光線が美しくグランドを浮かび上がらせるなか繰り広げられた1点をめぐる痺れる試合、この試合輝いたのはビッグアプセット守備陣だ。
初回表、ワンアウトから相手2番の放った打球は左中間への大飛球、誰もが長打を覚悟したその瞬間、センター黒田が三倍速と見まがうスピードでダッシュ、城北中央公園グランド左中間最深部のフェンス手前で何とこれをランニングキャッチ!試合直後に飛び出したスーパープレーに先発末永も大声で歓喜を表す。
3回表の相手先頭打者の打球は、ピッチャー横ファーストよりの緩いゴロ、ダッシュよく飛び出した末永がこれを好捕するが、この日ファーストに入った西村も打球に反応してしまい1塁ベースががら空きに、すると打球を捕球した末永はそこから全力ダッシュで1塁へ、バッターランナーとの競争になり間一髪アウト!末永の咄嗟の判断と鋭いダッシュで先頭打者を打ち取る。
3回表には、ツーアウト2塁から相手11番にライト前タイムリーを放たれるが、これに全力ダッシュしたライト鈴木秀紀が果敢に1塁に送球、末永がベースカバーに入りライトゴロを狙う、これは惜しくもタイミングが合わずセーフとなったが、アグレッシブな守備がビッグアプセットナインの闘志に火をつけた。さらに4回表の守備では、ワンアウト1・2塁で相手4番にライト前に打たれ同点を許すが、ここでカットプレーから2塁を伺うバッターランナーを1・2塁間に挟む挟殺プレーとなり、しかし1塁ランナーが3塁に達し挟殺プレーの間にホームを狙うその瞬間をショート橋本が見逃さず、キャッチャー丸野に弾丸送球、これがホームタッチアウトだ!6回表の守備では相手先頭打者の打球はサード後方への高いフライ、サード芝田を含むグランドの全員がショート!と叫び、ベンチの屋根裏解説陣がサード!と叫ぶなか、素早くポジションをあけた芝田の動きを察知したショート橋本が猛ダッシュ、サード後方でこのフライをスライディングキャッチだ!
そして3-2と1点リードし勝利のかかった7回表の守備、ワンアウトからデットボールとエラーでワンアウト1・3塁と同点・逆転の大ピンチ、するとここで相手5番の打球はピッチャーゴロ、末永が捕球するが思わず飛び出した相手3塁ランナーを末永が猛ダッシュで追い詰め、相手ランナーが動けないなかホームタッチアウト!ツーアウト1・2塁となり勝利まであとひとりとなったところで相手6番の打球は1・2塁間のゴロ、これに試合途中からファーストに入った復帰戦・櫻町が果敢にダッシュし好捕すると、1塁にむかって猛ダッシュ、故障全快の櫻町の軽やかなダッシュでバッターランナーアウト!最後の最後まで鉄壁の守備陣が見事なプレーで虎の子の1点を守った、沖縄尚学や県立岐阜商業かと思わせるようなしびれる接戦をビッグアプセットはモノにしたのであった。さらに時間が余ったエクストラタイムでは橋本が久々にマウンドにあがる。フォアボールを2つ与えたものの、時間切れとなるまでツーアウト無失点に抑えビッグアプセット投手陣にさらに厚みが増したことを確認しゲームセットだ。
ビッグアプセットは相手好投手の継投の前に5安打ながら数少ないチャンスをものにする攻撃、そして何より1点を争うしびれる接戦で末永を援護し好守備を連発した守備陣、3週間ぶりに味わう野球の醍醐味に躍動するビッグアプセット守備陣、そしてこの日7イニング完投の末永はいつにもましてカーブの落差とツーシームのキレが抜群、相手打線を翻弄し7イニングで8三振を奪うナイスピッチングで今季6勝目、ハーラーダービートップをひた走る。ノビータ大河原は2回裏の打席で3塁線を鋭く破る火を噴くような打球を放ち、これが1ミリ差で惜しくもファールとなったものの、相手投手やビッグアプセットベンチの度肝を抜いた。誰もが野球の楽しさを堪能する2時間、城北中央の夜はこうして更けていった。
熱中症対策で早朝・夕方の二部制が一部導入された今年の甲子園、試合終了が夜遅くなったことを問われた仙台育英・須江監督は、「仲間たちとすごした人生最高の夜更かしじゃないですか」と発言し賞賛と感動を集めた。すっかり日が暮れた城北中央公園、今年の甲子園で入手した阪神演芸のタイルを首にかけたクラッチ芝田をはじめナインはグランドをきれいに整備し、カクテル光線に美しく浮かび上がるきれに整備されたグランドを眺め再び心が洗われる。全身汗だくとなった身体をシャワーで洗い流し、少しだけクールダウンしたビッグアプセットナインは、夜7時を過ぎた時刻をものともせず池袋西口の中華名店に直行だ。
最高のピッチングに最高の守備、少ないチャンスをモノにした攻撃陣が一体となって1点差の接戦に勝利した充実感、生ビールにレモンサワーそして常温紹興酒がつぎつぎにオーダーされ、絶品餃子や小籠包、絶品麻婆豆腐などがあっという間に消費される。3週間ぶりの野球、美しいナイターを堪能し、チーム一丸となって勝ち取った1点差勝利は18歳であっても還暦であってもその醍醐味に変わりはない。これが人生最高の夜更かしだ、と心のなかで叫びつつ、残りのシーズンに全力を注ぐことを誓う、既に夜9時を回った池袋西口界隈を再興の気分でそぞろ歩くビッグアプセットナインであった。
【監督コメント】
試合中に入った、牧くんからの嬉しい知らせ……。
牧くん、良かったね! おめでとうございます!
今日の試合、ご参加の皆様、お疲れ様!
本日のゲーム、高校野球のような1点にこだわるナイスゲームでした。
この試合、小生は守りにつかず、ベンチから戦況を見守り皆に声を掛ける。
末永のフォーシームは威力があり、チェンジアップ、カーブのキマリ具合も上々と見受けられた。
ただ、自身はキャッチャーとして守りについていない分、試合への没入感はやや薄れてしまったのかもしれない。ある回、アウトカウントを誤って一人で大きな声を出し、一瞬、メンバーたちを戸惑わせてしまい申し訳なかった。
しかし、それも1点にこだわっていたからでありますので、お許しいただきたい。
今日は、我チームの太陽のような存在、櫻町選手も戻ってきて、いいムードのもと、黒ちゃん、橋本くん、鈴木秀、そして何よりピッチャー末永のいい守備があり、キッチリと勝つことができた。
ナイスゲームでした。
この調子で、次戦からも戦っていきたい!