日時:2025年12月25日(木)(14:00から)
会場:産総研:臨海副都心センター
別館(バイオ・IT融合研究棟)11階 11205会議室
〒135-0064 東京都江東区青海2-4-7 電話:03-3599-8001
(アクセス方法は別紙)
講演会参加費:2,000円、学生1,000円(会員は参加費無料)
会員登録料(年会費:4月~3月):正会員 2,000 円、学生会員 1,000 円
同会場にて情報交換会を開催いたします(参加費3,000円、(学生は1,000円))
*ZOOMにて、講演会を配信します。参加費は、現地参加と同じです(会員は参加費無料)
申し込み:参加申し込みはこちらから(Googleフォームへのリンク)
連絡先:農研機構 北本宏子
(E-mail:mincy-ml@ml.affrc.go.jp、電話:029-838-8355)
参加申し込み締め切り:2025年12月18日(木) 正午厳守
振り込み締め切り:2025年12月18日(木) 正午厳守
振り込み先:Googleフォームで参加申し込み後、メールにてお伝えします。
プログラム
14:00~15:00
「北海道産Saccharomyces cerevisiaeの解析 ~ワインの微生物テロワールの要素として~」
曾根 輝雄(北海道大学大学院農学研究院/北海道ワイン教育研究センター)
ワインは製造過程で原料を洗浄しない,現代では稀な発酵食品と言える.そのため,原料ブドウに付着した微生物がその味わいに影響を与えることが想定され,ワインの風味における生産地の個性である「テロワール」の一部としての「微生物テロワール」という概念がある.北海道のワイナリーは70場を超え,国内屈指のワイン産地となってきた.当研究室では北海道産ワインの微生物テロワールに関わる要素であるSaccharomyces cerevisiaeの収集,遺伝的・生理学的特徴付けを進めており,北海道由来のS. cerevisiaeが多様であること,S. cerevisiaeの株間相互作用によるアルコール発酵の効率化が起こることを明らかにしてきた.
Analyses of Saccharomyces cerevisiae isolates in Hokkaido: As an element of microbial terroir of wine
Teruo Sone(Research Faculty of Agriculture, Center of Education and Research for Hokkaido Wines, Hokkaido University)
15:00~16:00
「麹菌など糸状菌による有用代謝産物の生産性向上に関する研究 ~主に遊離脂肪酸生産に関して~」
玉野 孝一(産業技術総合研究所 バイオものづくり研究センター)
麹菌(こうじきん)は糸状菌に属し、日本酒・みそ・しょうゆ等の発酵食品の製造に日本古来使われてきた、安全で物質生産能力の高いカビである。私は当菌で遺伝子組換えを行うことで、各種産業に利用が期待される物質の効率的な生産を目標に研究してきた。今回はその中でも、医薬品等の原料として利用が期待される遊離脂肪酸の生産性向上の研究について、主にお話しします。遊離脂肪酸以外では、他の研究機関との共同研究で行った、ポリケチドや非リボソームペプチドといった二次代謝産物の麹菌など糸状菌による生産性向上の研究についてもお話しします。
Enhancing productivities of valuable metabolites including free fatty acids via metabolic modification in filamentous fungi such as koji mold, Aspergillus oryzae
Koich Tamano (Biomanufacturing Process Research Center, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST))
休憩(16:00~16:20)
MINCYサロン
16:20~17:05
「酵母が導くウナギ研究の新展開」
高山 優子(帝京大学理工学部総合理工学科)
ウナギ餌には飼料用酵母エキスが配合されており、成長促進のために魚油を添加する。しかし、魚油は劣化が早く、水質低下を引き起こすなどの欠点がある。そこで、細胞内に油脂を蓄積する油脂生産酵母(Lipomyces starkeyi)を魚油の代替として利用できないかと考えた。細胞内に蓄積する油脂量が異なる細胞株を餌にまぜてウナギに与えたところ、野生株と比較して体重と胴回りが早期に大きくなる事が示された。驚いたことに、メスウナギが4割出現した。養殖ウナギは9割が雄であることが知られており、餌による性転換は初めての報告となる。日本はウナギの完全養殖を目指しており、人工受精に使用するメスウナギ確保においても本結果は重要な知見となる。
17:05~17:50
「食品副産物を利用した麹菌マイコプロテインの開発」
萩原 大祐(株式会社麹ラボ、代表取締役)
タンパク質危機や気候危機といった社会課題が深刻化する中で、植物性代替肉や培養肉といった新たなタンパク質源の開発が進む。我々は、そこに新たに、麹菌の菌体そのものを利用した菌類代替肉を開発している。培養の技術的な要点としては、肉様の食感を実現するために繊維感の強い菌体を得ることや、異味や不快臭がなく収量が良いことが求められる。また、培地の栄養源に酒粕などの食品副産物を利用した生産工程を開発し、資源循環によるより一層の環境負荷の抑制を目指す。伝統的な発酵微生物である麹菌の菌体バイオマスから、これまでにない食材を創出し、地球の食の未来に貢献する。
17:45~18:00 【MINCY活動報告】
微生物ウィーク2025の開催報告(2025年7月29日(火)10:00~12:00 東京大学)
2025年酵母合同シンポジウムの開催報告(2025年10月30~31日 新潟市)
「サステイナブル産業デザイナー「酵母」~酵母の魅力を支える基礎応用研究~」
18:05~18:10 会長挨拶
18:15~ 情報交換会