第21回新産業酵母研究会

講演会

日時:2022年5月20日(金)(14:00から)

Zoomによるオンライン開催


プログラム

14:00~15:00

「野生酵母のフェロモン多様性とショウジョウバエからの有用酵母の探索」

   清家 泰介(大阪大学 大学院情報科学研究科 バイオ情報計測学講座)


酵母は2つの交配型を持ち、お互いにフェロモンを分泌して異なる交配型間で交配する。フェロモンの認識は種の識別に重要であるが、自然界ではフェロモンの変化はどのようにして起こるのだろうか。私はこれまで、野生の分裂酵母の大規模な解析から、一方のフェロモンは変化に富んだ柔軟性を示し、他方は同一の構造を厳密に維持していることを発見した。また実験室条件下ではフェロモンの認識レベルは培地のpHにより変化することを見出した。pHが変化しうる環境の一つとして、昆虫の体内が考えられる。そこで私は実際に、2年ほど前からショウジョウバエを分離源として野生酵母を単離するプロジェクトを始めた。興味深いことに、ハエから単離できた分裂酵母はフェロモンが変化していた。本講演では、ショウジョウバエから単離した野生酵母についてお話し、ハエから酵母を集める手法の有用性と、ハエと酵母の関係について紹介したい。


Pheromone diversity in wild yeasts and isolation of useful yeasts from Drosophila

Taisuke SEIKE (Osaka University, Graduate School of Information Science and Technology, Department of Bioinformatic Engineering)


15:00~16:00

「サステナブル油脂原料の開発に向けた油糧藻類ナンノクロロプシスの育種検討」

   尾﨑 達郎(花王株式会社 生物科学研究所第1研究室)  


ラウリン系油脂は洗浄剤等に用いられる界面活性剤の主原料であり、世界的な人口増加や新興国の経済成長に伴い需要が増加していくことが見込まれている。しかし、その供給はヤシ油・パーム核油に依存しており、これら植物は生産地が赤道直下の熱帯地域に限られるため大幅な供給増は困難である。また、原生林伐採による環境破壊、食糧との競合、価格の乱高下といった様々な問題を抱えていることから、サステナブルな新規ラウリン系油脂供給源の開発が求められている。そこで我々は微細藻類を用いたラウリン系油脂生産に向けた研究を 2008 年度より行っている。本講演では油糧藻類ナンノクロロプシスの脂肪酸組成改変や光合成活性・油脂生産性向上のための育種検討について紹介する。


Modification of oleaginous microalgae nannochloropsis for development of sustainable lipid feedstock

Tatsuro OZAKI (Biological Science Research, KAO Corporation)


休憩 (16:00~16:20)


MINCYサロン


16:20 ~17:00

「ローカルバイオコミュニティのパワー ~長岡バイオコミュニティ~

   Power of Local Biocommunity ~Nagaoka Biocommunity~」

   小笠原 渉 (長岡技術科学大学 工学部/工学研究科 技術科学イノベーション専攻)


新潟県長岡市は、「コシヒカリ」を開発した街であり、酒蔵は全国で2番目に多い街であります。田畑の面積割合は、「田んぼ」が90%以上であり、信濃川流域の風土がもたらす恩恵をいまなお引き継いでおります。一方で、既存の産業のみでは、これからの時代に対して、若者の雇用も含め、厳しい時代が到来しております。その中で、田んぼを中心とした地域資源循環システムの街として、動き出しました。その内容が、今年度、内閣府より地域バイオコミュニティとして認定(10年間)されました。今回の講演では、バイオ産業を中心とした長岡バイオコミュニティを紹介いたします。


17:10~17:35  総会


講演会参加費: 無料 申し込み:(参加申し込みにはメールアドレスが必要です) 下記のアドレス宛に、メールにて、下記の情報をご記入の上、参加申し込みをお願いし ます(参加者氏名、ご所属、電話番号、講演会招待状(URL 等)配送用メールアドレス)。

連絡先:農研機構 北本宏子・産総研 森田友岳 mincy-ml@ml.affrc.go.jp

電話 029-838-8355


〆切り 2022 年 5月16日 (月) 正午厳守