日時:2021年11月19日(金)(14:00から)
Zoomによるオンライン開催
プログラム
14:00~15:00
「新産業酵母研究会(MINCY)の10年を振り返る」
高島昌子(東京農大)、福田良一(東大)、高久洋暁(新潟薬大)、〇髙木正道(新潟薬大)
MINCYも創立以来約10年が経過しましたので、これを機に、標記演題で第20回新産業酵母研究会(MINCY)の例会での話題提供をさせていただきます。私の話は2部に分かれており、前半ではMINCY設立の意味を「基礎研究と応用研究とは何か」「MINCYは何を目指しているのか」などを中心に、自分自身の研究の経緯を含め、お話しいたします。後半では、10年間のMINCY例会で取り上げられた種々の酵母について、それらの系統樹上の位置、関連する代謝系の代謝経路上の位置、などをまとめ、更に一般的に酵母のゲノム情報からその表現型に迫る道は、など今後の展望についてもお話ししたいと思います。MINCYの会長として、今後もこの会が多様な酵母の利用研究を目的とする研究者間の情報交換、交流にお役に立つことを目指して運営していきたいと考えております。
Looking back on the 10 years activities of the Meeting on the Industrial Non-Conventional Yeasts(MINCY)”
Masako TAKASHIMA (Tokyo Univ. of Agriculture), Ryoichi FUKUDA (The Univ. of Tokyo), Hiroaki TAKAKU (Niigata Univ. of Pharmacy and Applied Life Sciences=NUPALS), Masamichi TAKAGI (NUPALS)
15:00~16:00
「酵母によるエリスリトールの発酵生産とその生理的意義」
春見 隆文(一般財団法人 日本醤油技術センター理事長)
希少な糖質であるエリスリトールを生産するMoniliella属酵母を自然界から分離、改良を加えて大量生産法を開発した。エリスリトールは人の体内で消化吸収されないことから、いわゆるカロリー値ゼロの糖質甘味料として知られるほか、様々な特異的機能を有しており、食品、医薬品、化粧品などへの利用が広がっている。本菌は浸透圧耐性酵母で、エリスリトールの生成には環境適応機構のひとつである浸透圧応答が密接に関与している。本菌の発見とエリスリトールの生産、適合溶質としてのエリスリトールの生理的意義、新たな化成品原料としての用途開発等につき紹介する。
Erythritol production by Moniliella and its physiological significance
Takafumi Kasumi, phD
(Japan Soy Sauce Technology Center, the Director)
休憩 (16:00~16:15)
MINCYサロン
16:15〜17:00
「選択的発酵酵母を利用した砂糖・エタノール逆転生産プロセスの開発」
小原 聡(東京大学未来ビジョン研究センター・特任准教授)
従来のエタノール生産では,サトウキビから砂糖を抽出した後の糖蜜(ショ糖,還元糖を含む)に酵母を加えて,エタノール発酵するプロセスが世界的な常識であった。演者らは,ショ糖非資化性酵母を利用して,サトウキビ搾汁中の還元糖(砂糖結晶化阻害物質)のみを最初に選択的にエタノール発酵させ,エタノールを分離回収した後に,残った高純度のショ糖液から高効率で砂糖を生産する画期的な製造プロセスを世界で初めて開発した。従来の砂糖・エタノールの生産順序を逆にした「逆転生産プロセス」によって,これまで還元糖高含有という理由で製糖産業から敬遠されてきた多収性サトウキビ品種からの砂糖生産を可能にするなど,エタノールを作ることで砂糖の回収率を飛躍的に高める(食料増産型エタノール生産)というパラダイムシフトを起こした。本講演では,プロセスの開発秘話から,概要,今後の展望について紹介する。
Development of the Inversion process using a selective-fermentation yeast
Satoshi Ohara
(Institute for Future Initiatives, The University of Tokyo)
17:00~17:45
「世界の食と健康を支える酵母エキス」
長谷川 旭(三菱商事ライフサイエンス株式会社酵母エキス・アミノ酸事業部営業部 海外営業課)
大腸菌の研究をしていた学生時代の私にとって、酵母エキスとは、ベタベタして独特の香りがする、微生物たちの栄養源であり、自らが食べたいと思える代物ではなかった。そんな酵母エキスであるが、実は人々の食と健康を支え、持続可能な社会の実現にも繋がる「食品」素材として世界中で幅広く使用されている。本講演では、高付加価値型酵母エキスのグローバルリーディングカンパニーである三菱商事ライフサイエンスの取組をもとに、「食品」としての酵母エキスの世界を紹介する。
Yeast extract, as a natural FOOD ingredient
Akira Hasegawa
(Mitsubishi Corporation Life Sciences Limited Savoury Ingredients
Division Sales Department, Global Sales & Marketing Group)
講演会参加費: 無料 申し込み:(参加申し込みにはメールアドレスが必要です) 下記のアドレス宛に、メールにて、下記の情報をご記入の上、参加申し込みをお願いし ます(参加者氏名、ご所属、電話番号、講演会招待状(URL 等)配送用メールアドレス)。
連絡先:農研機構 北本宏子・産総研 森田友岳 mincy-ml@ml.affrc.go.jp
電話 029-838-8355
〆切り 2021 年 11月15日 (月) 正午厳守