第17回新産業酵母研究会講演会

第17回新産業酵母研究会講演会

日時:2019年5月10日(金) (14:00から)

会場:産総研:臨海副都心センター

別館(バイオ・IT総合研究棟)11階 会議室

〒135‐0064 東京都江東区青海2‐4-7 電話:03‐3599‐8001

プログラム

14:00~15:00

「トウモロコシ黒穂病菌Ustilago maydisを用いた基礎および応用研究」

樋口裕次郎(九州大学大学院農学研究院)

黒穂病菌Ustilago maydisは主にトウモロコシに感染する植物病原性の担子菌二形成酵母である。その名の通り、U. maydisがトウモロコシに感染すると、実の部分に黒い胞子を内在した腫瘍を形成することから、食糧生産に多大な影響をもたらす。そのため、これまでにU. maydisの植物感染の分子機構がよく研究されてきた。U. maydisの酵母細胞は、植物感染時に接合し、二核菌糸として植物細胞に侵入し、感染を成立させる。日本ではあまり馴染みの無い菌であるため、今回は生活環や研究ツールの紹介から始めたいと思います。また、U. maydisは酵母としての扱いやすさから、基礎研究の良いツールでもあり、

植物感染やタンパク質分泌経路の分子機構も含めた研究の紹介を致します。さらに、応用研究の観点による、U. maydisを用いた有用物質生産のお話しも致します。

Basic and applied researches on the corn smut fungus Ustilago maydis

Yujiro Higuchi (Faculty of Agriculture, Kyushu University)

15:00~16:00

Yarrowia lipolytica による含有油脂排水への適用可能性」

倉根 隆一郎 (中部大学 客員教授)

食品工場やレストラン厨房等には炭水化物、たんぱく質、油脂類が含まれており、これらの中で油脂類(特に動物性油脂)の分解は困難とされています。 この為、加圧浮上装置やグリーンストラップ等の除去設備の設置が義務化されています。

除去率の効率化、メンテナンス負荷及びコスト低減化等に向けて排水環境条件下でも適用可能な微生物製剤の開発が注目されています。

私共の研究室では、大手の食品工場でなく、小規模なレストラン厨房排水環境条件下でも活性を有する微生物製剤の開発を目指してスクリーニングを開始し、Yarrowia lipolytica を自然界より探索取得しました。Yarrowia lipolytica による含有油脂排水への適用可能性について話

題を提供いたします。

Feasibility study for application to oil and fat-containing wastewater by using Yarrowia lipolytica

Ryuichiro Kurane (Chubu University)

休憩 (16:00~16:15)

MINCYサロン

16:15~17:00

Kluyveromyces lactis由来産業用β-ガラクトシダーゼの研究・開発」

柚賀 正樹 (合同酒精(株) 酵素医薬品工場 品質管理グループリーダー)

β-ガラクトシダーゼ(ラクターゼ:EC3.2.1.23)は二糖である乳糖を加水分解する酵素であり、微生物からヒトまで広く分布していることが知られている。産業用酵素としての利用方法は、乳糖不耐症緩和のための乳糖分解処理、甘味付与、ざらつき(結晶化)低減など多岐にわたっており、

世界的に市場規模が年々拡大している。

合同酒精では、長年の酒造りの経験をベースに、発酵技術を利用した製品を作り続けており、産業用酵素、医薬品原料、医療用診断薬、健康食品素材などを開発・商品化してきた。今回の発表では、当社で商品化されているKluyveromyces lactisの生産するβ-ガラクトシダーゼ(ラクターゼ)製剤に関する、これまでの研究・開発について紹介する。

Research and development of commercial beta-galactosidase from Kluyveromyces lactis

Masaki Yuga (GODO SHUSEI CO.,LTD)

17:00~17:45

「酵母由来のバイオ界面活性剤マンノシルエリスリトールリピッドの農業用展着剤への応用」

越山 竜行 ((株)クレハ 有機合成研究所農薬研究室 )

作物保護分野においては、人畜毒性が低く安全性に優れ、環境への負荷が低く、農作物の有害生物に対して高い効果を示す作物保護剤(農薬)が求められている。そのような農薬の活性成分の効果を高めるために、界面活性剤などで代表される農業用展着剤を添加する方法がある。農業用展着剤の多くは、化学合成によって製造されているが、人畜毒性および環境毒性、環境中での分解性などで課題がある。一方、微生物由来の界面活性物質であるバイオ界面活性剤(BS)は、安全性が高く、生分解性が速いことが知られている。そこで、数種類のBSの農業用展着剤としての効果を殺菌剤への添加効果を指標に調べた。その結果、供試したBSの中で、酵母由来のマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)が最も高い効果増強作用を示すことを見出した。本講演では、MELの農業用展着剤としての可能性に関する知見を紹介する。

Application of mannosylerythritol lipids to adjuvants for agrochemicals

Tatsuyuki Koshiyama(Agrochemical Research Department, Organic Synthesis Research Laboratories, Kureha Corporation)

17:45~18:00 総会

講演会参加費:会員無料

非会員 一般2000円、学生1000円 (当日会員登録された方は無料)

総会終了後、同会場にて情報交換会を開催いたします(参加費2000円)。

連絡先:農研機構 北本宏子・産総研 森田友岳 mincy-ml@ml.affrc.go.jp

電話 029-838-8355(メールにて参加申し込みして頂きたくお願いします)

入構登録のため〆切り 2019 年 5 月 7 日(火)正午厳守